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ベルリン紀行(8)
〜思う存分、鉄道を利用する〜

青山貞一

   
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 ドイツのと言うよりEUの大都市、ベルリンの人口は現在約350万人。大都市ベルリンの交通がどうなっているのか、非常に興味深い。東京都と比らべてどうかについても。

 ベルリンの面積は東京都内(23区)の1.5倍、バリの5倍−6倍と広い。となればベルリンを移動する際、どうしても鉄道、バスの利用が大切となり、交通ネットワークやそのシステムを知ることがポイントだ。以下、1週間滞在した経験をもとにベルリンの交通利用について書いてみた。

・鉄道ネットワーク

 下図は、ベルリン市内の鉄道ネットワークを1枚の図にしたものだ。ベルリンには、東京顔負けの一大公共鉄道網が整備されているようだ。


ベルリンの交通網は、大別して鉄道とバスがある。上のネットワーク図は鉄道である。

・都市間鉄道、国際鉄道(EU内都市間を含む)

 ベルリンとブリュッセル、ベルリンとドレスデン、ベルリンとライプチヒなど国際、国内を問わず都市の間をつなぐ鉄道が整備されている。

 EUの諸都市間をつなぐ新幹線並のICE(Inter City Express)やIC(Inter City)がある。ICEは最高時速280kmなど日本の新幹線並だが、他の列車と同じ軌道を走っているところが興味深い。

日本の新幹線並の速度で都市間を走るICE

 寝台車のNZ(Nacht Zug)もある。さらにRE(Regional Express )、IR(Inter Regio)と言った比較的限定された地域を結ぶ列車もある。

 上記の切符は最寄りのZB(ドイツ鉄道)の駅なら、いつでも買える。ベルリン市内だと、動物公園駅、フリードリッヒ通り駅、アレクサンダー広場駅、東駅などたくさんある。

 通常EU諸国の都市間鉄道では、ICEからREまで一等と二等がある。通常の旅なら二等で十分である。切符にはさらに二等の場合でも座席指定とそうでないものがあるので買うときに要注意だ。NZの場合、同じ二等車のコンパートメントが座席指定とそうでないものがある。入り口のドアに紙で座席指定の場合、その旨が貼られている。さらに言うと同一列車に禁煙コンパートメントと喫煙可能コンパートメントがある場合もある。

 ちなみに今回私たちはベルリンードレスデン間のNZに乗った。@二等、A座席指定なし、禁煙席、B往復で料金は一人当たり45ユーロだった。距離はおおよそ70kmほどで片道3000円弱と言うところだ。

 さらに都市間鉄道、国際鉄道には各種周遊切符がある。ドイツ国内ならジャーマンレイルパスがよい。EU全体を鉄道でまわる場合には、有名なユーレイルパスがある。

 ※EU内の各種鉄道周遊券

・都市内鉄道(TRAM、MRT、地下鉄等)

 都市間鉄道とは別に、ベルリン市内をネットワーク化している都市内鉄道がある。ベルリン市内を縦横無尽にネットワーク化している。

 ベルリン市の場合、大別してUバーンとSバーンの2種類がある。これを使えば大部分の場所に廉価に行ける。速度はあまり早くないが、タクシー、バスなどのように渋滞がないので至極便利である。

 上図(全体ネットワーク図)では小さくよく見えないが、図のおそらくネットワークの8割はUバーンである。以下の写真にあるように地上部も走る地下鉄である。通常の市内見学や移動ならUバーンで大半はOKである。

ベルリンの壁が残るワルシャワ通り駅近くを走るUバーン

 今回、国際学会で1週間ベルリンに滞在し、土日はもとより、平日も早朝、昼休み、学会のセッション終了後にUバーン、Sバーンそれに後述するバスを思い切り利用し、ベルリン市内を縦横無尽に移動した。

・結構面倒な切符

 都市内鉄道の切符の料金だが、切符を買うのが結構面倒で難しい。また一回きりの切符は3駅までが、1.2ユーロ、2時間以内が2.1ユーロ、長距離2時間以内(往復可)が2.4ユーロなど至極複雑であるからだ。

 そこで旅行者は間違いなく1日周遊券、3日周遊券、7日周遊券など、周遊券を購入、利用するのが良い。私たちの場合、約1週間ベルリンに滞在したので、はじめら7日間周遊券を購入した。価格は24.3ユーロである。この周遊券は、U、Sバーン以外に、バスも乗れる。バスには空港から都心への高速バスも含まれる。

 周遊券は至極快適だ。ベルリン市内はこの周遊切符でどこにでも楽々移動できる。バス路線が分かるとさらに良い。私たちも空港往復だけでなくシャーロッテンブルグ宮殿などにバスでに行くときも、7日間周遊券を思う存分使いこなした。 

 この周遊券も他の切符同様、使い始めに月日、時間のスタンプを押さないとダメだ。これについては次の項で説明する。これはベルリンに限らず、EU内のどの都市でも共通。

7日間周遊券(24.3ユーロ)

・EUの鉄道利用上の注意!

 EU諸国の鉄道を利用するとき面食らうことがある。ウィーンでも、プラハでも、バルセロナでも、アムステルダムでも同じだ。それはEUの鉄道の場合、都市間であれ、都市内であれ通常日本のように改札がないことだ。

 利用者は買った切符を駅で所定の装置に入れると、上の周遊券のように日付が印刷される。この日付が印刷されていないと、車内で車掌が来て検札で違法となる。

 私の欧州での経験では、車内で車掌の検札に会ったのはごく希だったが、改札がないからと<無賃乗車>を決め込み、もし検札に会うと差額の数倍以外にかなり巨額の罰金が科せられる。

 以前、プラハの地下鉄で終点駅で一斉の検札があったが、今回も一度Uバーン車内に乗り込んできた2名の車掌が全員に検札をしていた。ゆめゆめ切符をもたずに乗車することがないように!

 改札がないので混雑時にも渋滞がない。実に合理的だ。

・都市内鉄道の駅と行き先表示

 ベルリン市内には、U-Bnf Kurfurstendamm、と言うようにUバーンなりSバーンの駅表示があちこちにしつこく大きく出ている。いやっというほど表示があるので、間違うことはない。

 下の写真にあるU-Bnf Kurfurstendammは、私たちが宿泊したホテルに最も近いUバーンの駅だ。ベルリン市内の主要駅、通称クーダム駅である。

地上部を走行するUバーン Uバーンの主要駅、通称クーダム
Sバーンは上部に架線がないのが特徴 Sバーンの主要駅、ポツダマープラッツ駅の地上部
 現在ここにはソニーセンターがある
ベルリンフィルオーケストラのホールなどもこの駅が近い。

 都市内鉄道を利用する上で戸惑うのは、駅の行き先表示である。日本の駅のように、次の駅名が表示されていない。したがってどちらの方向にこの電車が行くのか簡単に分からないことだ。日本方式になれている私たちにとって、大変困った。

 実は先頭電車の表示に、最終的な行き先が表示されており、それから判断するか、駅にある電子掲示板にやはり最終的な行き先が表示されているので、それで判断するしかない。実際、最初の頃は、次の駅の表示がないので次の駅まで行き、違うので戻ってきたこともあった。

 大きな駅などには、下の写真のような表示板があり次の駅名も表示されているが、これは例外と思っていた方がよい。したがって、旅行者は全体ネットワーク図を絶えず持っていないと行き先を間違える。

 なお、ベルリンのUやSバーンの駅の多くでは、待ち時間が電光掲示板に示される。あと何分で電車が来るかがリアルタイムで表示されている。

分かりやすい乗り換え案内
この案内は動物公園駅のU2バーン用

乗り降り

 これもEU内鉄道にほぼ共通したことだが、乗り降りは原則として自分でボタンを押すなり、ノブを引くなりして鉄道のドアを開ける。日本のように全部のドアが自動的に開閉しないので要注意だ!

 これには大きな理由がある。理由の中でもっとも合理的なのは、EUの寒冷地ではドアを全部開けると冷気が車内に入り車内温度が下がる。必要なドアのみ開閉すれば、開閉による温度低下が防げると言うものだ。

 人によって開けられたドアは、出発時に自動的に閉められる。

自転車持ち込み自由!?
 
 ベルリン市に限らず、現在、欧州各国の鉄道の多くは、自転車の持ち込みがOKとなっている。ベルリン市のUバーンやSバーンそれに都市間鉄道の多くも自転車持ち込み可である。下の写真はSバーンだが、窓に自転車持ち込み可の絵がある。

 またベルリンの道路という道路は、ごく例外を除きいずれも自転車専用道路があり、自転車がスイスイ走っていた。歩道とサイド・バイ・サイドとなることが多いので、歩行者側が注意しないと高速で走る自転車とぶつかる可能性もあるので注意!

Sバーンの窓に自転車マークが 繁華街の駅前度オロにもある自転車専用道。
広い歩道の一部で煉瓦色となっている部分。

先に見える駅はかつて西ベルリンの表玄関
動物公園駅。早朝なので人通りがない。

飛行機の利用

 以上、鉄道系について詳しく見てきた。次に、航空機とバスについても触れておこう。

 EUの場合、都市間の高速鉄道ならICEが便利だが、かかる費用となると航空機の方が安いこともある。

 たとえばティーゲル空港のルフトハンザ航空のチケットカウンターには、期日時間限定だと、ベルリンからケルンまで往復2万円程度の航空券がある。ICEと同額あるいはICEの方が高額となることもあるので要注意だ。さらに国内コミュータ便にはルフトハンザ以外に多数の小さな航空会社があり、それらの場合さらに廉価となることが多い。

 ベルリンには3つの空港があり、旧西ベルリンにあるティーゲル空港では国内線、国際線と言う分け方がなく、空港では航空会社単位に離発着ゲートが割り振られている。そのため手荷物検査やパスポートコントロールを含め非常に簡単、敏速、日本のように空港到着後、実際に登場するまでにかかる時間は大幅に短縮される。

バスの利用

 ティ−ゲル空港からベルリン中心までは高速バス(X9)や路線バス(109)で15分〜30分で行ける。間隔も頻繁なので非常に便利だ。空港とベルリン中心部を行き来する高速バスも周遊券の対象となっているから、3日以上、ベルリンに滞在するひとは、空港で周遊券を買うのが一番合理的である。

 当然、市内移動、それもきめ細かい移動やUバーン、Sバーンが通っていない地域への移動はバスが利用できる。周遊券があれば、搭乗時に見せるだけ。バス停には、Hのマークがあるのですぐに分かる。問題は路線番号である。たとえば、動物公園駅(ツオー駅)からシャーロッテンブルグ宮殿に行く場合、109,119,121,126,146のバスであればどれでもOKだ。下車はScholoss Charlottenbrugとなる。

 もっぱらベルリン中心部なら、Uバーン、Sバーンを使えばだいたい目的地までそれほど難なく行ける。それがベルリンの魅力と言えよう。

ベルリン市内を走るバス