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カナダの大虐殺は単なる謝罪では済まない
~サスカチュワンにさらに751の無縁仏~
環球時報社説
 2021年6月25日
Canadian genocide needs more than
simple apology
: Global Times editorial June 25

翻訳:青山貞一 (東京都市大学名誉教授)
 独立系メディア E-wave Tokyo 2021年6月26日 推敲中

 

201年6月4日、カナダ・オタワで殺害された原住民族の子どもたちに敬意を表する人々。写真:新華社

本文

 今週、カナダのサスカチュワン州にある先住民族のレジデンシャル・スクール跡地に751基の無縁墓が発見され、カナダと国際社会に衝撃を与えた。カナダ・ブリティッシュ・コロンビア州の同様のレジデンシャル・スクールで215人の先住民の子どもたちの遺骨が見つかってから数週間後のことだ。


カナダのサスカチュワン州の位置
Source: WikimediaCommons: CC 表示-継承 2.5, リンクによる

 問題は、カナダにはあといくつの墓があり、どれだけの先住民族の子どもたちが、強制的な同化の過程で極度の虐待を受け、亡くなったのかということである。

 カナダのジャスティン・トルドー首相は、メディア向けの声明で悲しみを表明した。一見、同情心に満ちた声明だが、よく見ると、その同情心には政治的なご都合主義が込められていることが感じられる。

 この声明では、恥知らずな殺人者たちにどのような責任を取らせるか、生き残っているカナダ先住民にどのような補償をするかという、根本的な問題を飛ばしている。

 カナダの土地は、先住民であるインディアンやイヌイットのものであったことは広く知られている。ヨーロッパからの移民は、殺戮と追放によって彼らの土地と財産を奪い、力と強制的な同化によって白人主導の秩序を確立した。

 白人は、土地から財産まで、カナダのほとんどの資源を奪い続け、先住民は組織的な差別と排除に苦しみ続けている。カナダは、文化的・民族的なジェノサイドの上に成り立っている。もし今日のカナダ政府に良心があるならば、先住民族に補償すべきである。

 先住民族から奪った土地を返還すべきだ。

 その土地が公共施設で使われていたり、複雑な理由で返還できない場合は、政府は財政的な手段を検討すべきだ。それでも解決できない場合には、政府はその旨を説明すべきである。一連の施策の最終的な成果は、先住民の状況を根本的に変えることであるはずだ。

 歴史上、非常に多くの犯罪が行われ、その結果が残っている。カナダ政府は、単なる謝罪でいわゆる和解を実現しようとしてはならない。真実和解委員会の設立は、カナダ政府が植民地時代の歴史に突然終止符を打ち、先住民に自分たちの運命を受け入れさせようとする試みである。カナダ政府は、先住民が謝罪に感動して現実を受け入れてくれることを期待する一方で、政府は何の費用も払わず、悲劇を風化させている。

 トルドー政府は、先住民に対する文化的・権力的な傲慢さをいまだに持ち続けている。「和解」のプロセスと手段を強引に先導し続け、先住民が政府のすることに感謝することを望んでいる。先住民の生存者に真の補償をするために多額の資金や資源を投入することは考えていない。それどころか、政治的な利益を追求し、高尚なものに見せかけようとさえしている。

 トルドー政権は、次々と表面化する大量虐殺スキャンダルを「適切に」処理したことで道徳的に満足し、中国の新疆ウイグル自治区の問題にまで非難の矛先を向けるほど傲慢である。

 このような政治的恥知らずな態度は、同国で先住民の新たな遺骨が発見されたときのトルドー政府の本当の態度である。トルドーの謙虚さは見せかけであった。彼は口にはしなかったが、彼の本当の態度は、大量虐殺があってもカナダは常に正しく、常に道徳的な高みに立つということだと誰もが感じている。

 先住民族は簡単には騙されない。彼らは自分たちの尊厳と権利のために戦っているのである。国際社会は、遅ればせながら彼らが正義を実現するのを支援する必要がある。また、世界はこの問題を調査し、植民地時代の果実を享受している政権に恥を感じるよう促すべきである。