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第二次世界大戦後、世界で起きた戦争

青山貞一 (東京都市大学名誉教授)
      

独立系メディア E-wave Tokyo 2021年7月11日

 

 第二次世界大戦では、以下のグラフにあるように、ソ連が約2400万人、中国が約2000万人の兵士と一般民間人と膨大な人々が亡くなった。ソ連では一般民間人が1200万人以上、中国では1600万人以上が亡くなっている。この一般民間人の割合が多いという事実は、1946年以降、世界で起きた戦争にも引き継がれる。


出典: Source:Wikimedia Commons

 第二次世界大戦における人的被害があまりにも大きかったこともあり、それがトラウマとなり、第二次世界大戦後、世界には戦争がほとんど無かったと思っている人が多い。

 しかし、以下のグラフのように、1946年から2017年までを見ると、朝鮮戦争、ベトナム戦争はじめ多くの戦争があったことがわかる。


Source:Trends in Armed Conflict, 1946–2017,PRIO

 1946年以降では、朝鮮戦争、ベトナム戦争、イラク戦争などでは、日本が沖縄、横須賀などを中心として主に米国、NATO側で兵站、補給、支援などで関わっている。

 1980年代の主な戦争は以下のとおりであり、多数ある。

1980年~1988年 - イラン・イラク戦争
1980年~ - ペルー紛争
1982年 - フォークランド紛争
1983年~2004年 - 第二次スーダン内戦
1983年 - グレナダ侵攻
1983年~2009年 - スリランカ内戦
1979年―1990年 - 中越国境紛争
1986年~1987年 - トヨタ戦争(=チャド内戦)
1987年~(継続) - ブルンジ内戦
1988年~1994年 - ナゴルノ・カラバフ戦争
1989年~2001年 - アフガニスタン内戦

 その後については、2000年以降も、世界では多くの戦争、紛争が起きている。以下をご覧いただきたい。

2001年~(継続) - アメリカのアフガニスタン侵攻
2001年~(継続) - パキスタン紛争
2002年~2003年 - コートジボワール内戦
2003年 - リベリア内戦
2003年~2011年 - イラク戦争
2003年~(継続) - ダルフール紛争
2004年~(継続) - サリン紛争
2004年~(継続) - タイ紛争
2004年~(継続) - ワジリスタン紛争
2006年 - 東ティモール内乱
2006年 - イスラエルのガザ侵攻・レバノン侵攻
2006年 - エチオピアのソマリア侵攻
2006年~2009年 - スリランカ内戦
2008年 - 第二次南オセチア紛争(グルジア紛争)
2008年~2009年 - イスラエルのガザ紛争
2011年 - シナイ紛争
2011年 - リビア内戦
2011年~(継続) - シリア内戦
2012年~(継続) - マリ北部紛争
2013年 - スールー王国軍によるラハダトゥ侵攻
2014年 - ISISによるイラク内戦
2014年 - イスラエルのガザ侵攻
2014年〜(継続) - クリミア危機・ウクライナ東部紛争
2014年〜2020年 -2014年リビア内戦
2015年〜(継続) - 2015年イエメン内戦
2017年 - マラウィの戦い

 だが上のリストの最後にある、2017年だけをとってみても、シリア戦争、イラク戦争、アフガン戦争、イエメン戦争など多くの戦争が継続しており、年次をまたがる累積的死者数はかなりのものになっている。

 注)イラク戦争は、イラン・イラク戦争などいくつかあるが、ここでは
  米国が主体となり2003年3月20日から、イギリス、オーストラリア、
  NATO諸国により戦争、アフガン戦争は第一次、第二次、第三次
  と3回あるがここでは2017年に起きていた戦争を意味する。

  たイエメンは、2015年からイエメンで進行中の主に内戦を指す。

 2000年代の戦争については、その象徴的な年となっている2017年だけをとってみると、 大きなものだけをとってみても以下の積み上げグラフにあるように、イラク戦争、アフガニスタン戦争、シリア戦争がある。

 これら3つの戦争は、いずれも米国主導により行われたが、国連安保理決議もなく、まともな宣戦布告もないまま戦争がはじまり、いずれもずるずるだらだらと長期間継続して行われており、アフガニスタン戦争は2021年9月に米国、NATO諸国が完全撤退することになっている。このアフガニスタン戦争もベトナム戦争同様、米国は負けた。


Source:Trends in Armed Conflict, 1946–2017,PRIO

2017年に死者の多かった戦争

 その戦争は大部分が中東地域で起きており、多くの無辜の市民が米国、NATO諸国、豪州、韓国などによって殺害されていた。


Source:Trends in Armed Conflict, 1946–2017,PRIO

 大局的に見ると、世界の国家レベルの武力紛争数は2016年の53件から2017年で49件へわずかに減少したが、2017年における、「イスラム国」が活動したのはそのうち31%を占めている。

  非国家系紛争の数は2016年の62件から2017年に82件と大幅に増加した。2017年の紛争犠牲者数は 2016年に比べ22%に増加した。

 だが、シリアは依然として世界で最も死者の多い紛争であり、2017年の国家ベースの紛争における犠牲者の3分の1は2017年の国家ベースの紛争における犠牲者の3分の1がシリアであった。

 上記の戦争を別の角度から見ると、いずれも米国主導、NATO諸国が追随している。そして上述したように、国連安保理の決議がなく、まともな宣戦布告もなく、9.11後、ガリバーとしてユニラテラリズム(Uniraterarism、一国行動主義)をとる覇権国のまさにやりたい放題となった。

 なお、以下はその米国の歴代米国大統領のうち、湾岸戦争があった1989年~2021年までの大統領、所属政党及びその任期を以下に示す。

ジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュ
共和党 1989年1月20日- 1993年1月20日

ウィリアム・ジェファーソン・クリントン
民主党 1993年1月20日- 1997年1月20日
民主党 1997年1月20日- 2001年1月20日

ジョージ・ウォーカー・ブッシュ
共和党 2001年1月20日- 2005年1月20日
共和党 2005年1月20日- 2009年1月20日

バラク・フセイン・オバマ2世
民主党 2009年1月20日- 2013年1月20日
民主党 2013年1月20日- 2017年1月20日

ドナルド・ジョン・トランプ
共和党 2017年1月20日- 2021年1月20日

 その米国については、東大経卒後、米国30年以上ワシントン在住の伊藤貫氏の講演録をご覧いただきたい。米国の場合、共和党が好戦的と思われがちだが、実際は民主党の方が好戦的といえる。とりわけ、オバマが大統領の時に、中東や北アフリカで多くの人々が殺されている。それについては以下をご覧いただきたい。

◆米大統領の知られざる真実
Balance of Powerの視点から世界を見る

伊藤貫氏(東大経卒後、米国30年以上在住)
トランスクリプト 池田こみち Komichi Ikeda
独立系メディア E-wave Tokyo 2020年1月18日