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ウクライナ最前線から最も遠いワシントン、
最も戦争を望んでいる
グローバルタイムズ社説
Furthest from Ukraine frontline, Washington
is most eager for war:
Global Times editorial
2022年2月7日

翻訳:青山貞一 (東京都市大学名誉教授)
 独立系メディア E-wave Tokyo 2022年2月7日
 

2022年2月3日、ノースカロライナ州フォートブラッグのポープ陸軍飛行場からヨーロッパに向けて展開する米軍。写真 AFP

本文

 ジョー・バイデン米大統領はこのほど、欧州東部への米軍3000人規模の部隊配備を承認した。第一陣がドイツとポーランドに到着した。

 これは、米国がアフガニスタンとイラクから軍を撤退させた後に行った、目を覆うような動きである。国防総省は以前、8500人の米軍を東ヨーロッパに展開する可能性があるとして、警戒態勢を強化すると発表している。

 さらに、NATOの国防相は、2月16日と17日に開かれる次の会合で、さらなる強化について話し合う予定だ。これらの部隊はウクライナに直接配備されるわけではないが、この動きは事実上、東欧が戦争の瀬戸際にあると人々に思わせることになった。

 注意しなければならないのは、ワシントンはウクライナの最前線から最も離れているが、最も戦争を切望している。一方、ロシアもウクライナも戦争や武力による問題解決の意志がないことを繰り返し表明していることである。

 ウクライナの大統領と国防相は、状況は米国が描くほど緊迫していないと公言した。しかし、この地域から遠く離れているワシントンは、戦争が勃発する寸前であると大げさに宣伝しているのである。

 米メディアBloombergは、「ライブ」というフェイクニュースまで流している。ロシアがウクライナに侵攻」 米国は世論の炎を煽るだけでなく、ウクライナに武器を提供し、欧州の国周辺への軍事配備を強化したのである。米国の意図は、ウクライナにロシアとの対決に「遅れをとるな」と促すことである。

 ワシントンは戦争を扇動するつもりだ。NATOの存在の正当性を高め、ブロック内部の結束力を高め、ワシントンから離脱する兆しを見せているヨーロッパをより強固にアメリカに結びつけようとするのである。

 他のアナリストの中には、アメリカはこの機会に武器を売ることができると言う人もいる-歴史に基づくと妥当な疑いである。

 要するに、アメリカは一石二鳥を狙おうとしているのだが、不道徳で危険なゲームをしているのである。ニューヨーク・タイムズ紙は、「両党の信頼できるタカ派的な声の多くでさえ、米軍がウクライナのために戦い、死ぬ可能性があるのを見たいとは思っていない」と報じている。米国はウクライナを戦線に追い込んでいるが、米国自身は巻き込まれるのを避けるために、脇によけている。

 ワシントンの狙いの一つは、ロシアを不快にさせることだが、ウクライナは被害者になる可能性が非常に高い。ウクライナが本当に必要としているのは武器であることは、目の肥えた人なら誰でもわかる。

 米国がウクライナに武器を寄贈したり売却したりしても、ロシアとウクライナの軍事バランスは変えられない。ウクライナに必要なのは、平和で安定した内外の環境である。経済発展、人々の生活向上、ロシアとの緊張緩和などに注力しなければならない。

 米国が主張するように「ウクライナに寄り添う」のであれば、これらの分野で必要かつ実質的な支援をウクライナに提供すべきであった。今、ウクライナにとって最も耐え難いのは火に油を注ぐことだが、ワシントンはロシアとウクライナの間の状況をエスカレートさせる機会を繰り返し「作って」きたことを強調する必要がある。

 そんな中、中露が発表した最新の共同声明も、アメリカの不興を買うきっかけとなった。ホワイトハウスのジェン・プサキ報道官は、ロシアとウクライナの間で武力衝突が起きれば、「全世界の中国の利益に影響を与える」と北京に「警告」している。

 アメリカのこのような動きは、中国に対する小言のようなものだ。この中ロ文書は、経済・貿易、安全保障、地域情勢、世界秩序に関する幅広いコンセンサスと共通の要求を網羅しており、ウクライナには一言も触れていない。

 ワシントンのビジョンは明らかに今日の世界の本当の風景を見るには低すぎる。もはや古い考え方の「階級代表」のようなもので、前世紀の古いラッパで誇らしげに嘘を誇示している。彼らは自分たちが誰よりも賢いと信じているが、自分たちを過大評価しているのだ。

 実際、中露の共同声明には、はっきりとこう書かれている。「平和、発展、協力は現代の国際システムの中核にあり...国際社会は平和的かつ緩やかな発展を目指すリーダーシップへの要求が高まっている」。

 このような背景の中で、ワシントンは依然として他国を損ない、戦争を扇動することで覇権を維持しようと考えている。これは唖然とするような地政学的白昼夢である。このような夢物語から覚めるために、ワシントンの政治エリートたちは、この共同声明を注意深く読み、米国を時代の流れに適合させ、真に責任ある大国にする方法を理解する必要がある。