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アンコール遺跡群現地調査報告


クメール建築様式
(Khmer architecture)

青山貞一 Teiichi Aoyama 池田こみち Komichi Ikeda
2019年2月24日公開
独立系メディア E-Wave Tokyo 
無断転載禁
アンコール遺跡全体目次

東南アジア巨大石造遺跡に魅せられて
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視察・見学の方法と注意   遺跡・寺院の概要・場所
<参考>
カンボジア基礎知識  シェムリアップ基礎知識  博物館
クメール王朝について  創建順による遺跡・寺院
アンコール関連用語解説  クメール建築様式  アプサラとデヴァタ


  ここではアンコール朝の建築についてWikipedia(英文版)を日本語に翻訳し紹介します。

◆クメール建築(Khmer architecture)

 クメール建築(Khmer architecture)は、アンコールの時代、西暦8世紀後半から西暦15世紀前半までのクメール帝国の時代を指しています。

 アンコール建築に関するどの研究も、必ずと言って良いほど宗教建築を中心に据えていますが、それは、今も残るアンコールの建築物が本質的に宗教的な建物であるからです。

 アンコールの時代には、寺院や他の宗教的建造物だけが石で造られ住居のような非宗教的な建物は木のような腐りやすい材料で作られていたので、残っていません。

 アンコールの宗教建築は、以下の分析で特定されるような特徴的な構造、要素、そしてモチーフを持っています。 アンコール(Angkorean)時代には、さまざまな建築様式が相次いで花開きました。

 しかし、それらの特徴と機能のすべてが、その時代を通じて等しく反映されたわけではありません。実際、学者たちはそのような特徴のを特定する上での根拠有無を遺跡の年代を特定する上での根拠として言及してきました。

建築様式の年代区間

 カンボジアがインドシナ地域の大部分を支配するクメール帝国の強力な王国になる前に、多くの寺院が建てられました。当時、カンボジアにはクメール帝国の前身の国であるチェンラ王国がありました。

 アンコール時代(Angkorean)以前の建築様式は3つあります。

 Sambor Prei Kuk 様式(610〜650 AD):Sambor Prei Kuk(サンボー・プレイ・クック)は、チェンラ王の首都であるIsanapuraとしても知られています。 Sambor Prei Kukの寺院は球形を含む円形のコロネット (coronet) で造られました。コロネット (coronet) は元々小さな王冠 (corona) を意味しますが、建築では側柱を意味します。

 Prei Khmeng 様式(635〜700 AD):Prei Khmeng(プレイ・クメン)の建造物には、彫刻の傑作が多数みられますが、建築はほとんどありません。前出のサンボー・プレイ・クック様式より大きくなっています。建物はより装飾が施されていましたが、一般的に水準が低下しています。

 Kompong Preah 様式(700 〜 800 AD):(コンポン・プリア)様式は、コロネット (coronet) の上に装飾的な輪を持つ寺院であり、レンガ造りの建築が主流でした。

 学者たちはアンコール時代(Angkorean)の建築様式の年代の特定に取り組んできました。そのなかでは、次の期間と様式が区別されることがあります。その様式のパラダイムと見なされる特定の寺院の名前が付けられています。

 Kulen(クーレン)様式(825-875 AD):クーレン寺院は、アンコール時代より前の様式を継続した寺院です。クーレンはチャム(Cham)寺院の様式を革新するとともに、引き継いだ時代のものでした。主塔は正方形であり比較的高いだけでなく、ラテライトの壁と石のドアを囲むレンガの壁もあります。このころ、正方形の境内の形と八角形の側柱(コロネット)が現れ始めます。

 Preah Ko(プリア・コー)様式(877〜886 AD):Hariharalaya(ハリハララヤ)は、アンコール地方にあるクメール帝国の最初の首都でした。その遺跡は現代の都市であるシェムリアップの南東約15キロのロリュオスと呼ばれる地域にあります。最も早く発見されたハリハララヤの寺院はプリア・コーです。ロリュオスの他の寺院にはバコン(Bakong)とロレイ(Lolei)があります。 プリア・コー様式の寺院は、小さなレンガ造りの塔とそのまぐさの素晴らしい美しさと繊細さで知られています。

 Bakheng(バコン、(注)ロリュオスにあります)様式(889〜923):バコン(Bakheng)はシェムリアップのすぐ北にあるアンコール地域に建設された最初の寺院群です。バコンは首都ヤソダラプラの周りに築いたヤソヴァルマン王の州寺でした。丘の上(プノンペン)に位置し、現在は最も崩壊の危険にさらされている寺院遺跡のひとつであり、アンコールでの輝かしい日没を目の当たりにできることで、観光客に人気のあるスポットとなっています。

 Koh Ker(コーケル)様式(921〜944):ジャヤーヴァルマン4世(Jayavarman IV)の治世中、クメール帝国の首都はコーケルと呼ばれる北部にあり、その場所はアンコール地方からはずれています。 コーケルの寺院の建築様式は、建物の規模が中心に向かって減少していくことにあります。まだ主材はレンガですが、砂岩も使用されています。

 Pre Rup(プレ・ループ)様式(944〜968):Rajendravarman(ラジェンドラヴァルマン)王の下で、アンコール・クメール(Angkorian Khmer)はプレ・ループ、東メボンおよびピミアナカスの寺院を建てました。これらの寺院に共通な様式はプレ・ループの州寺にちなんで名付けられました。

 Banteay Srei(バンテアイ・スレイ)様式(967〜1000):バンテアイ・スレイは、君主ではなく廷臣によって建てられた唯一の主要なアンコール寺院です。バンテアイ・スレイは、その小規模さと装飾的彫刻の極度な洗練さがあり、インドの神話のシーンを扱う有名な物語のレリーフを含んでいることで知られています。

 Khleang(クリアン)様式(968-〜1010):クリアンの寺院。クリアンははじめてギャラリーを利用しています。十字形のゴープラもあります。八角形の側柱の装飾的な彫刻を抑制しています。この様式で建てられたいくつかの寺院としてはタ・ケオやピミアナカスがあります。

 Baphuon(バプーオン)様式(1050〜1080):Udayadityavarman(ウダヤーディチャヴァルマン) 2世王の巨大な寺院群であるバプーオンは、13世紀の終わり頃にアンコールを訪れた中国人旅行者のZhou Daguanを最も印象づけた寺院でした。バプーオンのユニークなレリーフ彫刻は、他の時代の典型的形態とは対照的に、素朴でダイナミックな品質を持っています。 2008年の時点で、バプーオン寺院は修復中であり、現在その完全な壮大さで評価することはできません。

 古典様式またはアンコールワット様式(1080〜1175):スーリヤヴァルマン2世(Suryavarman II)王のおそらく霊廟)はアンコールの寺院の中で最大のものであり、アンコールの古典様式として知られるようになったものを定義します。


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