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    ボロブドウール寺院遺跡群
  Archaeological site of Borobdur temple

     ボロブドゥール寺院の歴史概要
 
青山貞一 Teiichi Aoyama  池田こみち Komichi Ikeda
掲載月日:2017年1月31日
独立系メディア E−wave Tokyo
 
無断転載禁
@ ボロブドゥール寺院遺跡へ A 寺院の概要・場所 B 寺院の歴史概要
C 仏像と三界の思想 D 寺院の外観・構造・建築 E 方形壇回廊レリーフ
F 方形壇東第1壇レリーフ G 方形壇東第2壇レリーフ H 方形壇東第3壇レリーフ
I 方形壇東第4壇レリーフ J 方形壇東第5壇レリーフ K 方形壇回廊スナップ
L 方形壇個別レリーフ M ストゥーパ(仏塔) N ストゥーパ(仏塔)撮影
O ストゥーパ・スナップ撮影 P 仏像スナップ撮影 Q 寺院の夕焼け・朝焼け

◆ボロブドウール寺院の歴史と概要

 ボロブドゥール寺院遺跡群は、インドネシアのジャワ島中部にある仏教寺院の石造遺跡群で、ユネスコの世界遺産(文化遺産)の一つです。

 シャイレーンドラ朝の時代、大乗仏教を奉じていたシャイレーンドラ王家によって、ダルマトゥンガ王治下の780年頃から建造が開始され、792年頃に一応の完成をみたと考えられ、サマラトゥンガ王(位812年-832年)のときに増築されています。

 ボロブドゥールは、寺院として人びとに信仰されてきた建造物ですが、内部空間を持たないのが際だった特徴となっています。最も下に一辺約120mの基壇があり、その上に5層の方形壇、さらにその上に3層の円形壇があり、全体で9層の階段ピラミッド状の構造となっています。この構造は、仏教の三界をあらわしているとされています。
 
 5層の方形壇の縁は壁になっていて、露天の回廊がめぐらされています。方形壇の四面中央には階段が設けられており、円形壇まで登れるようになっています。

 
総延長5kmにおよぶ方形壇の回廊には、仏教説話にもとづいた1460面におよぶレリーフが時計回りにつづいています。

 
仏像は、回廊の壁龕(くぼみ)に432体、3段の円形壇の上に築かれた釣鐘状のストゥーパ72基の内部に1体ずつ納められており、合計では504体あります。

 レリーフは、その構図の巧みさ、洗練された浮き彫り彫刻の技法、細部表現の優雅さで知られ、仏像とともにインドのグプタ様式の影響が強く認められるとされています。

 
ボロブドゥールはまた、その形状から世界最大級のストゥーパ(仏塔)でもあります。


円形壇の上に築かれた釣鐘状のストゥーパ

 ストゥーパとは、釈迦の遺骨や遺物などをおさめた建造物ですが、ボロブドゥールは、さらにその内部にも多数のストゥーパを有する特異な構造を呈しています。

 ストゥーパの釣鐘状になっている部分は、一辺23cm大の石のブロックを交互に積み上げ、中の仏像を拝することができるようになっています。漆喰などの接着剤の類を一切用いることなく積まれています。

 ストゥーパ72基は、全体では三重円を描くように並び、頂上には釈迦の遺骨を納めたとされるひときわ大きなストゥーパがあり、天上をめざしています。この中心塔には大日如来を置かず空っぽにしており、大乗仏教の真髄である「空」の思想を強調しているとされ、ジャワ仏教の独自性が示されます。



ジョグジャカルタの北西にあるボロブドゥール寺院遺跡群 出典:Wikipedia

 ボロブドゥールは、それ自体が仏教的宇宙観とくに密教的宇宙観を象徴する巨大な曼荼羅といわれ、一説には、須弥山を模したものとも考えられています。ボロブドゥールは、その規模と構造の特異性より、ミャンマーのバカン、アンコール・ワットと並び、東南アジアの代表的な仏教遺跡とされています。



1873年のボロブドゥール

 2006年5月27日に起こったジャワ島の大地震で寺院の石塔の一部が崩れるなどの被害を受け、学者群が調査のあと、修復を予定しています。


◆ボロブドゥール寺院遺跡群の世界遺産登録   

 ボロブドゥール遺跡(Borobudur)は、インドネシアのジャワ島中部のケドゥ盆地に所在する大規模な仏教遺跡で世界的な石造遺跡。世界最大級の仏教寺院であり、「ボロブドゥール寺院遺跡群」の一部として
ユネスコの世界遺産に登録されています。

◆ボロブドゥール寺院遺跡群の世界遺産 登録基準について

 ボロブドゥール寺院遺跡群は世界遺産登録基準における以下の基準を満たしたと見なされ、世界遺産に登録がなされています。

(1) 人類の創造的才能を表現する傑作。

(2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。

(6) 顕著で普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰または芸術的、文学的作品と直接にまたは明白に関連するもの(この基準は他の基準と組み合わせて用いるのが望ましいと世界遺産委員会は考えている)。

※登録された遺跡

・ボロブドゥール遺跡 本件


・パオン寺院(パワン寺院)

・ムンドゥッ寺院(マンドット寺院)


出典:ユネスコ(UNESCO)


つづく