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長野県の審議会事情(15)
〜浅川ダム問題で、委員会、意見書を提出〜

青山貞一

2008年4月3日



 2008年3月28日、午後1時15分に、長野県公共事業評価監視委員会の福田委員長は、長野県知事の代理、副知事(長野県再評価委員会委員長)に、『浅川ダムに関す意見』を提出した。

 福田委員長と保母委員は、午後2時から県庁三階にある会見場で記者会見を実施した。

 一方、村井知事様は、3月14日の委員会の後、記者会見で、「公共事業評価監視委員会が、何を出そうと言うのか聞いていない。出されてからの対応を考える」 とのコメントを発表している。

 以下は、上記を伝える朝日新聞の記事である。


浅川ダム 「制度骨抜き」と指摘
公共事業委が県に意見書


朝日新聞 2008年3月29日 長野中南信版

 県公共事業評価監視委員会(福田志乃委員長)は28日、「浅川ダムに関する意見」を腰原愛正副知事に提出。県が浅川(長野市)に建設予定の穴あきダムの是非を委員会に諮らなかったことについて、「公共事業評価制度の骨抜き行為で由々しき事態」と厳しく指摘した。副知事は「敬意を表して受け止め、県政に生かしたい」と答えた。

 県は国土交通省が定めた要領に「学識経験者などによる審議を経て河川整備計画をつくった場合は、再評価をしたとみなせる」という趣旨の一文があることなどを根拠に、浅川ダムを今年度の再評価委員会の審議案件にせず、国交省への認可申請の手続きを進めて認可を得た。委員会はこれに反発し、独自の意見書をまとめることを決め話し合ってきた。

 「意見」は全国の注目を集めた浅川ダムについて「委員会が何も相談を受けなかったでは存在意義が問われ、社会の常識からしても県民の理解を得ることは難しい」、「審議にのせるべきだった」「委員会がいかに形骸化したところにおかれているかを露呈した」などと県の対応を非難した。

 「脱ダム宣言」でいったん中止になった計画が再開された経緯をめぐっても「県民への説明責任が果たされたのか」と疑問を投げかけている。

 「意見」を提出後、記者会見した保母武彦・島根大学名誉教授は「(委員会のてんまつは)地方自治をどう切り開いていくかを考える材料にもなる。浅川ダムに関する議論を県民の間でもう一度、起こして欲しい」と述べた。

 16人の全委員の任期は今月末で切れ、夏までに新しい委員が決まる。