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寺社仏閣の「明治村」?

狭山山不動寺(所沢市)

4.石灯籠の全国移築1

青山貞一 Teiichi Aoyama
池田こみち Komichi Ikeda


December 11 2014
Alternative Media E-wave Tokyo
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@調査の背景と目的 E第二多宝塔、康信寺 J桂昌院宝塔 O御成門
A狭山不動寺全体 F大黒天 K本殿、書院晴明閣 P台徳院霊廟詳細1
B桜井門・石灯籠 G羅漢堂 L徳川霊廟門 Q台徳院霊廟詳細2
C石灯籠の全国移築1 H鐘楼・総門 M丁子門 R崇源院霊廟詳細
D石灯籠の全国移築2 I第一多宝塔 N勅額門
歴代徳川将軍家家系 徳川歴代将軍の生誕・没年月日と将軍在位期間

撮影:池田こみち Nikon Coolpix S6400 2014-11-12

◆全国各地にばらまかれていた増上寺の石灯籠

 増上寺の石灯籠に関連し、以下のようなホームページがありました。伊藤 友己氏が全国各地の寺に移築された増上寺の石灯籠を継続的に追跡していたのです。

 伊藤 友己氏 増上寺の石灯籠

 これを見ると、狭山山不動寺には、桂昌院11、惇信院1、清揚院28、台徳院5、文昭院7、不明1の計53の石灯籠が移築されていることが分かります。

 その他、東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県、山梨県、長野県、新潟県、青森県などの寺にも多数が移築されていることが分かります。しかし、一つの寺に53もの石灯籠が移築されたのは、この狭山山不動寺だけです。理由はおそらく旧コクドの堤一族が増上寺の両側にあった広大な土地を購入し、そこにあった焼け残った石灯籠を他に移したからです。

 石灯籠には、その他正室、側室の院号もありますが、以下は徳川将軍14代までの院号と呼び名です。黄色に塗ったのは、狭山山不動寺にある石灯籠です。

徳川家康  安国院(あんこくいん)
徳川秀忠  台徳院(だいとくいん)
徳川家光  大猷院(たいゆういいん)
徳川家綱  厳有院(げんゆういん)
徳川綱吉  常憲院(じょうけんいん)
徳川家宣  文昭院(ぶんしょういん)
徳川家継  有章院(ゆうしょういん)
徳川吉宗  有徳院 (ゆうとくいん)
徳川家重  惇信院 (じゅんしんいん)
徳川家治  浚明院(しゅんめいいん)
徳川家斉  文恭院(ぶんきょういん)
徳川家慶  慎徳院(しんとくいん)
徳川家定  温恭院(おんきょういん)
徳川家茂  昭徳院(しょうとくいん)

 たとえば、池田が住んでいる東京都練馬区でも、以下のように5つの寺院に石灯籠が移築されていることが分かりました。

・法融寺 練馬区関町東1-4-6 03-3920-0785
・長命寺 練馬区高野台3-10-3 03-3996-0056
・道場寺 練馬区石神井台1-16-7 03-3996-0015
・正覚院 練馬区豊玉南2-15-7 03-3991-2249
 ここはうちの地区の氏神様の氷川神社に隣接するところです。うちから環七にでてすぐの所にあります。
・三宝寺 東京都練馬区石神井台1-15-6
  当寺院は、応永元年(1394年) に鎌倉・大徳寺の幸尊法印によって開かれた。当時石神井城を築き付近を治めていた豊島氏からも帰依を受けていた。豊島氏が滅んだあと、後北条氏や徳川家からも保護を受け、発展した。徳川家光の 鷹狩の際に休憩場としても使われ、朱印地十石を与えられ、また無本寺になり格式ある寺院となった。山門は徳川家ゆかりの門ということで、御成門と呼ばれ、 現在のは1827年に建てられたものである。また境内にある長屋門は勝海舟の邸宅 にあった門である。

 なお、以下は増上寺の石灯籠の主な移築先についての文献資料調査結果の一部です。


◆主な石灯籠移築先

 以下では移築した石灯籠の数の多い順に示しています。ただし、以下の表では、移築した石灯籠が原則として4つ以上を対象としています。

都県名 市町村名 寺院名及び院号別数 合計数
埼玉県 所沢市 狭山山不動寺(桂昌院11・惇信院1・清揚院28・台徳院5 文昭院7・不明1))  53
東京都 日の出町* 大久野 (台徳院(内銘文確認分12基) 44
群馬県 嬬恋村* 鬼押出し園 (大猷院9・厳有院28・浚明院3 )  (40)
東京都 港区* 増上寺 (惇信院12・文昭院10・有章院10・台徳院5)  37
埼玉県 所沢市* 金乗院(別名山口観音) (有章院8・台徳院2・惇信院6・文昭院7)  23
埼玉県 飯能市*  能仁寺 (文昭6・有章院6・惇信院10)  22
千葉県 君津市* 神野寺 (大猷院2・常憲院2・有徳院13・浚明院1)  (18)
東京都 清瀬市* 長命寺 (惇信院8・文昭院1・有章院4・台徳院2 常憲院1・有徳院3寛永寺)              15
山梨県 塩山市* 恵林寺(台徳院3・文昭院1・有章院3・惇信院3・清揚院3) 13
東京都 練馬区* 長命寺(武蔵野札所1) 文昭院7・有章院5・桂昌院1 13
長野県 大滝村 太陽寺入り口バス亭近く 不明 銘文に増上寺を確認  約10
東京都 西東京市 東禅寺 (文昭院1・有章院5) 6
東京都 東村山市* 正福寺 (文昭院6) 6
埼玉県 小鹿野町* 鳳林寺 (有章院2・惇信院2)  4
 以下については省略   *はすでに現地調査、文献調査した寺院

出典:伊藤 友己氏 増上寺の石灯籠 
 


◆文献資料調査に見る石灯籠の移築

1)東京都日の出町の大久野(44)

 下は東京都日の出町の大久野にある石灯籠です。この石灯籠は増上寺の石灯籠を移築したものと推定されます。


東京都日の出村の大久野の石灯籠
出典:http://8tagarasu.cocolog-nifty.com/sakamitisannpo/2007/06/1_a0f4.html


2)埼玉県飯能市にある能仁寺

 下は埼玉県飯能市にある能仁寺の石灯籠です。この石灯籠は増上寺の石灯籠を移築したものと推定されます。この寺には増上寺の文昭6・有章院6・惇信院10、合計225の石灯籠が移築されているはずです。


埼玉県飯能市の能仁寺の石灯籠
出典:飯能市公式Web


3)東京都清瀬市にある長命寺(15)

 下は東京都清瀬市にある長命寺の石灯籠です。この石灯籠は増上寺の石灯籠を移築したものと推定されます。この寺には増上寺の惇信院8・文昭院1・有章院4・台徳院2、常憲院1・有徳院3、合計15の石灯籠が移築されているはずです。

 なお、この東京都清瀬市にある長命寺には、石灯籠だけでなく六代家宣正室、天英院の近衛熙子、また十一代家斉正室の廣大院近衛寔子の二つの宝塔があることが分かりました。


東京都清瀬市にある長命寺の石灯籠と宝塔
出典:http://d.hatena.ne.jp/hakyubun/20140119/p1 


4)東京都練馬区にある長命寺(13)

 下は、池田が住んでいる東京都練馬区にある長命寺の石灯籠です。この石灯籠は増上寺の石灯籠を移築したものと推定されます。この寺には増上寺の文昭院7・有章院5・桂昌院1、合計13の石灯籠が移築されているはずです。


東京都練馬区にある長命寺の石灯籠
出典:http://www.tesshow.jp/nerima/temple_takanodai_chomei.html


5)山梨県にある恵林寺(13)

 下は、山梨県にある著名な恵林寺の石灯籠です。この石灯籠は増上寺の石灯籠を移築したものです。この寺には増上寺の台徳院3・文昭院1・有章院3・惇信院3・清揚院3、合計13の石灯籠が移築されているものと思われます。


山梨県にある恵林寺の石灯籠
出典:http://tutinosiro.blog83.fc2.com/blog-entry-757.html


6)千葉県君津市の神野寺(18)

 下は千葉県君津市の神野寺には、大猷院2・常憲院2・有徳院13・浚明院1、合計18の増上寺から移築した石灯籠があるものと思われます。下の写真にある石灯籠はその一部と言えます。


千葉県君津市にある神野寺の石灯籠
出典:http://blogs.yahoo.co.jp/oohara_o/31870618.html


7)東京都東村山市の正福寺(6)

 東京都東村山市の正福寺には、文昭院6が増上寺から移築した石灯籠があるものと思われます。下の写真にある石灯籠はその一部と言えます。


東京都東村山市にある正福寺の石灯籠
出典:東村山市公式Web


8)埼玉県小鹿野町の鳳林寺(4)

 埼玉県小鹿野町の鳳林寺には、増上寺から移築した有章院2・惇信院2の石灯籠が4つがあるものと思われます。下の写真にある石灯籠はその一部と言えます。


埼玉県小鹿野町の鳳林寺び石灯籠
出典:http://tcapmi5.jugem.jp/?eid=179


つづく