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激落続く原油・ガソリン・
灯油価格の最新動向

青山貞一
掲載月日:2008年12月19日


 今年7月、1バレル当たり147ドルまで暴騰したWTI先物原油(WTI Crude Oil Spot)だが、その後は崖を転げ落ちるように価格が低下してきた。

 図1はすべての基本となるWTI先物原油の価格である。図より分かるように2008年7月にピーク時147ドルまで暴騰した原油価格は、2008年12月2日現在、43.6ドルまで激落、12月18日には40ドルを切っている。
http://www.chron.com/disp/story.mpl/hotstories/6148285.html


図1 WTI先物原油価格

 OPECは、この間原油の減産を継続してきた。また40ドルを切ったことを受け、理事会を開き、さらなる減産を決議したとのことだが、原油価格はとどまるところ知らず、下落している。

 ということは、この夏の1バレル、147ドルなどの暴騰は、明らかに人為的な投機によるものであり、原油消費の実態を反映したものでないことが明白になった。

 1バレルが40ドルを切るのは2005年1月以来のことである。

 これを受け、無鉛ガソリン、灯油価格も激落している。図2は無鉛のガソリン価格、図3は灯油価格である。単位はともに1ガロン(=3.8リットル)当たりのドルである。


図2 無鉛ガソリン価格

 ガソリン価格は1ガロン当たり1ドルを切っているが、これを一リットル当たりの価格に返還すると、1リットル=26セントとなる。1ドルを90円とした場合、1リットル当たり、何と24円である。

 日本の場合、例の暫定税率など高額の税金、それに卸、小売りなどの流通経費を含めても1リットル当たり90円以下になってもおかしくない。実際、90円台のガソリンスタンドが出始めている。


図3 灯油価格

 では間違いなく便乗値上げをしてきた航空業界の燃料サーチャージのもととなる灯油価格はどうか?

 図3は灯油価格の推移である。2008年7月のピークでは1ガロン当たり4.2ドルまで暴騰したが、現在はと言えば2008年12月8日現在、1.4ドルである。約1/3に激落していることが分かる。

 この秋、成田ー米国路線の燃料サーチャージを片道3万3千円、往復で6万6千円まで上げたJAL、ANAだが、来年1月1日より往復で2万2千円値下げすることになった。

 しかし、現在の燃料価格水準が2005年1月レベルにあるとすれば、急激な円高などの為替動向を合わせ、日米間の燃料サーチャージは往復で2万円以下でよいはずだ。

 その意味で、国土交通省はじめ各航空会社は相も変わらず、燃料サーチャージを便乗値上げしていると言える。

 筆者は、これについて詳細分析を行っている。