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霞ヶ関と自民党は
すでに無節操な
「財政焦土化作戦」
にでている!その続編

青山貞一
2 October 2009
 6 June 2009、24 2009、11 July拡充


独立系メディア「今日のコラム」


 私はこの6月と7月に、『霞ヶ関と自民党は、すでに無節操な財政省度か作戦に出ている!』という警告を独立系メディアに出していた!

 2009年10月2日付けの日刊ゲンダイは、一面で次のように述べている。すなわち「選挙の敗北を見越した麻生自公政権はデタラメ補正予算で埋蔵金を使いつくす焦土作戦をやっていた」と。

 記事によれば、民主党は当初、埋蔵金の財政投融資特別会計と外為特別会計から4.3兆円を捻出できると計算していた。しかし、自公政権の野放図な財政運営で両特別会計は底をついている、と。

 さらに、財政投融資特別会計として積み立てている準備金は2007年度末に20兆円あったが、定期給付金に代表されるバラマキの財源として4.2兆円まで落ち込む。外国為替特別会計の場合は2008年度の剰余金3.4兆円のうち2.4兆円がすにで使われてしまった。積立金は20兆円あるが、地方自治体に長期で回している分もあり、簡単には手を付けられない、と。

 簡単に言えば、自民党は政権交代前夜に国庫に残っていたカネを役人達と山分けしたのである。これについて山口朝雄氏は次のように述べている。「麻生政権は最後の補正予算で、真っ先に14兆円という枠組みをきめました。その上で、各省庁に好きなだけ予算をねだるよう求めました。国の将来とか財政規律とかをすっ飛ばし、どうやればその金を使い切れるかだけを考えるように指示。使い切れない分は、基金をつくり積み上げておこうとしたのですから、極めて悪質です。寄ってたかって国民のカネを食い潰したのです。

 まぁ、私が以下の論考で述べたことが案の定、白昼堂々と行われていたのだ。モラルハザードもここにきわまれりと言うべきか?


 ここ一年の政府・自民党の行状をつぶさに見ていると、明らかに「財政焦土作戦」とでもいえる末期的で卑劣な行為に出ていることが分かる。

 私が「財政焦土作戦」と呼ぶ霞ヶ関官僚と自民党による卑劣な「財政焦土作戦」は次のようなものだ。

 この一年の政治状況を見るまでもなく、いくら検察やマスコミを総動員して「国策捜査」したとしても、傲慢で無謬性な霞ヶ関や知性、見識のかけらすら感じられない自民政治に、国民は愛想を尽かしている。

 ひとことで言えば、どう転んでも、どうあがいても、次の総選挙で自民党は民主党に衆院の第一党を譲らざるを得ない状況にある。衆院で民主党など現在の野党が第一党となれば、いわずもがな、政権交代が生ずる。

 情報操作によって世論誘導されやすい日本の国民だが、その日本国民にもいくらかは学習効果がある。

 東京地検特捜部と大メディアの共同合作による民主党への集中攻撃も一時は、「効果」があったものの、有識者のみならず国民からも総攻撃にあった。国民をそう簡単に騙すことは難しくなった。

 大阪地検特捜部の捜査も、当初、民主党を標的にしたものだったようだ。厚生労働省のキャリアー局長まで逮捕し、起訴したが、その実、本当の下手人はどうも自民党幹部であることが分かりかけ、大阪地検はうろたえているようだ。

 それでも、政府や自民党はあの手、この手で悪あがきしている。

 ....

 ところで民主党が衆院の第一党になると、参議院同様、野党が衆参両議院で多数となり、実質的に半世紀以上続いてきた自民党の独裁政治が終わることになる。

 その結果、半世紀にわたり現状を追認し、既得権益を謳歌してきた世界に類例を見ないさすがの利権政治の終焉、「おだぶつ」となるのである。

 いわゆる「国策捜査」によって、小沢前代表を東京地検がリークする情報を大メディアが連日垂れ流しても、実は国民が民主党に投票するという流れや勢いは変わらなかった。

 それひとつをみても、次の総選挙で民主党が衆院でも第一党になり、政権交代が実現することは誰の目から見ても明らかだ。

 そこで政府・自民党は、政権が交代する前に、100年に一度の金融危機をいいことに、建設国債、赤字国債を乱発し、世紀のバラマキ、大盤振る舞を行い、さらに各種特別会計から得たいわゆる埋蔵金を使い果たそう、という作戦に出ているように思えて仕方がない。

 財源は「霞が関埋蔵金」の一部が充当されるものの、その多くは建設国債と赤字国債に頼ることになるのだ。


 簡単に言えば、財政焦土作戦は、政権が交代する前に政府と自民党が組んで税金、埋蔵金、借金で得たカネを、無責任に使いたい放題使う。歴史上かつて無い空前のムダ使い、バラマキを行うということを意味する。同時に、自分たちにとって都合の悪い行政文書、公文書などを焼き払う作戦が「財政・公文書」の焦土作戦である。

 昨年暮れまで、自公政権は次の定額給付金や子ども手当など、衆院選挙対策用と揶揄されるバラマキをしていた。だが、今国会で無理矢理通過させた補正予算の内容を見ると、未だかつて無い政府(官僚)と自民党による、大バラマキとそのツケの先送りであることが分かる。

 そもそも2009年度本予算が通過した直後に、2009年度の補正予算、それも総額13兆9200億円といまだかつてない巨額の補正予算を組むこと自体、噴飯ものである。

 しかも、それらの中身は、エコカーやエコポイントなどは、いずれも自動車業界や家電業界など経団連の輸出型産業、起業の要望に応えたものだ。

 トヨタ・パナソニックなど、自動車・家電など特定業種へのバラマキによる「経団連対策」、霞ヶ関官僚の天下り先への先行バラマキが目立つ。

 さらに、文部科学省の場合、750億円を超す独立行政法人 科学技術振興機構(JST)へのバラマキ、一件90億円で30件に及ぶ科学研究費の創設※、独立行政法人 国立青少年教育振興機構などのはこもの整備へのバラマキもある。

 従来、大学などへの各種科学研究費助成は、一件当たり数100万から大きくても数1000万円だった。これを一件あたり90億円※という途方もない高額かつそれを30もばらまくというのだから、御用学者ですら当惑するのは無理もない。


 ※文部科学省が最先端の研究30プロジェクトを選定し、各々90億円
   ずつ総額2700億円にのぼる研究強化基金の創設をと一部報道
   されているのがそれだ。

 大学などへの研究費補助、助成は、通称JST,独立行政法人「科学技術振興機構」と日本学術振興会(略して学振)の2つがある。ここでも巨額のバラマキがある。JSTの産学連携拠点建設の予算として700億円近い施設建設がつけられている。

 すでに各地に拠点が整備されているのだが、さらにそれを全国各地に整備しようというのだ。

 上記の一件90億円の研究費と言いこのJSTへのハコモノを含む巨額の予算は、バラマキ以外のなにものでもない。

 政権交代する前に、何でもやってしまえという魂胆がミエミエである!

 だが、研究費という利権に群がっている大学や独立行政法人系の研究者からはまともな批判がでない。御用学者だけでなく、比較的まともな学者も利権にそまっていると言われても仕方がない状況だ。KYは政府、自民党だけでなく、大学教授や研究者にも万円していると言える。

...

 次に、テレビのバラエティー番組までが問題にした「マンガ・アニメの殿堂」もある。

 文化庁はどうてもいい「マンガ・アニメの殿堂」には建設費だけで117億円が用意されている。

 この施設は正式には「国立メディア芸術総合センター」である。これには自民党の政治家のなかからも異論、批判が出ている。自民党の河野太郎代議士も、マジに批判している。

 この3月、私が現地調査でポーランドに行ったとき、アウシュビッツ・ビルケナウにある強制収容所を視察する途中、近くにある古都クラクフに立ち寄った。

 ここに日本政府が国際協力で建設したという「マンガ・アニメの殿堂」に類する施設があったのだ。ヴァヴェル城のすぐ南である。


クラクフに日本が援助し設立された日本美術技術センター・マンガ館


クラクフに日本が援助し設立された日本美術技術センター・マンガ館

 クラクフなど、地元のひとに聞けば、日本美術技術センター・マンガ館は、磯崎新氏が設計したというマンガ・アニメ施設は世界遺産の古都クラクフにまったくそぐわないものだという。

 このように今回の補正予算にある「マンガ・アニメの殿堂」に類する施設はすでにポーランドにあったことになる。

 そもそも私たちの巨額の税金を使い国際協力で他国の地に「マンガ・アニメの殿堂」を建築したこと自体、日本人は誰も知らないだろう。

 もとより廃止の対象となっている独立行政法人に、巨額の補正予算が施設整備費などとしてバラまかれていること自体、節操のないふざけた話しだ。

 財団、社団系を含めこの種の省庁の外郭、天下り団体に特命随意契約で巨額の税金が毎年流れ込んでいること自体大問題である。

 民間企業、中小零細企業は、必死に自力でやっているのに、これら省庁の天下り組織には黙っていても毎年一定の資金が国から注ぎ込まれ、その何割かをピンハネしたあと、民間組織に仕事、研究などを再委託している。

 これら独立行政法人や怪しげな省庁の隠れ天下り先に国から毎年流出するカネは12兆円規模に登っていることがすでに判明している。これらの大部分を廃止するだけで、国の一般会計予算(財源)は一気に増える。

 この12兆円問題に関し、自民党の細田幹事長が鳩山民主党代表に噛み付いているが、自民党の河野太郎衆院議員も
国家公務員が再就職している法人は確かに4696法人ある。しかし、このうち国から公費が投入されているのは1766法人。1766の内訳は、特殊法人が23、独立行政法人が82、財団・社団法人が990、国立大学が40、学校法人が282、株式会社が220、その他が129。(その他の129のうち、80が更生保護法人)。この1766法人に天下っているのは16230人。この他の一万人は、国費投入されていない法人に再就職している。正確には1766法人に16230人が天下り、そこに12.6兆円が流れていると12.6兆円の存在をみとめている。

 
出典:河野太郎ブログ、「ごまめの歯ぎしり」よりそのまま引用。

 省庁や自民党による現状追認的な既得権益は多数あるが、この種の外郭団体に絡むムダ、利権は底なし状態である。

 さらに地方分権改革推進委員会で廃止の方向が打ち出されている国土交通省、経済産業省、農林水産省の地方の出先機関の施設整備、すなわち潰すはずの省庁の出先機関のハコモノ整備に巨額の予算が付けられている。

 周知のように日本では、政権交代に絡めて、地方主権、地方分権を強化し、国の省庁の地方への出先機関を廃止しようとしているのに、今回の補正予算で出先機関を整備拡充し、強化しようとしているのだから笑止千万だ。

 これら国などの役所の施設や建物関係の「その他施設費」は当初予算の4倍以上も増やされていた。

 そもそも本予算で6490億円しか予算が計上されない公的部門の施設整備費に2.8兆円もの国費が投入されること自体、理念、政策なき官僚主導のバラマキ以外のなにものでもないだろう。

 さらに自民が総選挙の負けを見越して、下野した後も食っていけるように「基金」という名の資金を、自分たちのためにバラまくという話まで出ている。

 にもかかわらず、大メディアは、ろくな勉強、調査もせず、まともな批判をしていない。

 これひとつみても、大メディア自身、政権交代すると自分たちの既得権益がなくなるのでまともな批判をしない、できないと国民から思われても仕方ないだろう。


 要約すれば、今回の巨額な補正予算は、霞ヶ関の官僚と腐りきった自民党そして経団連の合作による「あとは野となれ山となれという、財政・公文書の焦土作戦」といえるきわめて無責任、無節操なものだ。

 まさにドサクサまぎれ、一時しのぎのバラマキ予算は将来にそして若者に甚大なツケをのこすだけである。


 こうなると、今回の補正予算は、今まで現状を追認し、既得権益を謳歌してきた「政「官「業「学「報ペンタゴン、すなわち政治家、官僚、財界、御用学者、御用報道と連携した「国策捜査」ならぬ意図的な「国策経済犯罪」とでも言えるものだ。

 政権交代が実現したら、上記の予算はすべて執行停止措置をとらねばならない!