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南相木ダムと上野ダム
日本最大の神流川揚水発電所

青山貞一・池田こみち
掲載日: 2012年12月27日
独立系メディア「今日のコラム」
無断転載禁

●日本最大の揚水ダム

 ところで、暮れもおし迫った2012年12月21日に実施した秩父事件についての現地調査の際、群馬県神流町、同じく上野町を車で走ったとき、以下のような巨大な変電、送電施設が沿道近くに見えた。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

 今考えれば、これらはすべて、稼働すると日本で最大の揚水タイプの巨大水力発電所、東京電力「神流川水力発電所」に関係するものであった。

 神流川水力発電所は、下図のように長野県の南相木ダムを上池とし、群馬県の上野ダムを下池とする巨大な揚水式水力発電である。

 現在すでにダム、発電所は完成しており1号機、2号機が運転している。最終的に当初予定の6機すべてが稼働すると実に282万kwとなり、日本最大の水力発電所になるという。282万kwと言えば、ゆうに原発3基分である。

 以下は南相木ダム、上田ダムの位置を示す断面図と平面図である。

南相木ダム(上池)ー上野ダム(下池)とする
神流川揚水発電所の構造イメージ


出典:東京電力


南相木ダム・上野ダムの位置  導水管の位置は推定
図中左側が長野県、右側が群馬県
出典:グーグルマップ地形図

 一方、以下は南相木ダム、上田ダムの概要と揚水発電を行う神流川揚水発電所の概要である。

南相木ダム(上池)

 長野県南佐久郡南相木村、信濃川水系南相木川に建設されたダム。高さ136メートルのロックフィルダムで、東京電力の発電用ダム。 同社の揚水式水力発電所・神流川発電所の上池を形成。下池・上野ダムのと間で水を往来させ、最大282万キロワットの電力を発生する計画である。 ダム湖の名は奥三川湖。

出典:Wikipedia

◆上野ダム(下池)

群馬県多野郡上野村、一級河川・利根川水系神流川の最上流部に建設されたダムである。東京電力が管理する発電専用ダムで、高さ120メートルの重力式コンクリートダムである。全面稼動すれば日本最大の発電能力を持つ水力発電所・神流川発電所の下部調整池として、上部調整池である南相木ダムと共に揚水発電を行うことで最大282万キロワットの電力を生み出す。ダムによって形成された人造湖は奥神流湖と命名されている。

出典:Wikipedia

◆神流川揚水発電所
 神流川発電所は南相木ダム湖(奥三川湖)を上池、上野ダム湖(奥神流湖)を下池として利用する揚水発電所である。南相木ダムは、その上池として1995年(平成7年)より建設開始、2005年(平成17年)に完成した。現在1・2号機(各470,000kW)が稼動しているが、最終的には6台の水車発電機により揚水発電所としては世界最大となる2,820,000kWの発電を行う予定である。

神流川揚水発電所沿革

1993年7月: 神流川水力調査所を設置。建設に向けての調査に着手。
1995年7月: 第130回 電源開発調整審議会開催。神流川発電所の建設を決定。
1997年5月: 本体工事着工。
2003年10月: 上野ダムの湛水(たんすい)を開始。
2004年9月: 南相木ダムの湛水を開始。
2005年12月22日: 神流川発電所1号機が運転を開始。
2012年6月7日: 神流川発電所2号機が運転を開始。

出典:Wikipedia

 以下の揚水発電所の諸元をみると、この発電所がいかに巨大なものであるかがよく分かる。

神流川発電所の概要

@揚水式水力発電所概要
 最大出力2,700,000kW
 有効落差 653m
  1号水路系 導水路  内径8.2m    延長 2,445m
  水圧管路  内径8.2m〜2.3m 延長 1,398m(1,366m)
  放水路  内径4.1m〜8.2m 延長 2,270m
 地下発電所空洞(1号空洞)地表下500m 幅33.0m 高さ52.1m 長さ215.9m
  450,000kW発電機×4台設置予定
 発電開始予定 2005年7月(初号機450,000kW、現在同規模の2号機が稼働)

Aダムの概要
 上部調整池ダム(長野県南相木村、信濃川水系南相木川)
 中央土質遮水壁型フィルダム、高さ136.0m、提頂長444.0m、提体積7,220,000m3
 総貯水量 18,400,000m3
 下部調整池ダム(群馬県上野村、利根川水系神流川)
 重力式コンクリートダム、高さ 120.0m、提頂長350.0m、提体積720,000m3
 総貯水量 19,100,000m3

出典:東京電力