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上山市ガス化溶融炉予定地で
3次元シミュレーション試行
青山貞一、鷹取敦
環境総合研究所
掲載月日:2013年4月17日
独立系メディア E−wave Tokyo
無断転載禁


 ところでガス化溶融炉が計画されている上山市川口地区周辺の地形は非常に複雑です。

 下図にあるように、北側には西から東にかけて壁のように里山や山脈が連なっています。

 したがって、一年を通じて西風や東風が大きく卓越しており、60mの溶融炉の煙突から出た排ガスは500m離れたさくらんぼ農家を直撃することが想定されます。


出典:環境総合研究所(東京都品川区)、
国土地理院50mメッシュデジタル標高データより作成


出典:環境総合研究所(東京都品川区)、グーグルマップより作成

 また溶融炉の高さは30−35m、煙突の高さが60m程度とのことなので、間違いなくダウンドラフト、ダウンウォッシュ現象により、クラフト社はかなりの高濃度の排ガスに見舞われることは間違いありません。

 というのも、国や自治体、業者が行うこの種の大気汚染シミュレーションは、正規プリュームモデルと言って、まったく地形を考慮することが出来ない北海道から沖縄まで一律の単純な非常に非現実的なシミュレーションを行っているからです。

 そもそも3次元の流体力学が分かっていれば、この位置にガス化溶融炉など計画するわけがありません!

 下図は、環境総合研究所(東京都品川区)の3次元流体シミュレーションモデルを使い、地形と気象を考慮したシミュレーションを西風について行ってみた結果です。

 前提条件は、

 @風向:西南西
 A風速:2m/s
 B有効煙突高:60m
 C排出強度:ダイオキシン類排出濃度 1ng−TEQ/m^3
 D地形:国土地理院デジタル標高データ
 Eメッシュ規模:50m

です。

 結果は、案の定、風下地域2kmまでが非常に高濃度となり5kmまでかなりの汚染が到達することが分かりました。

つづく


山形県上山市川口に計画されているガス化溶融炉からのダイオキシン汚染の
3次元流体シミュレーション例、前提となる諸元は本文
 出典:環境総合研究所(東京都品川区)