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高輪泉岳寺入口に隣接した

8階マンション強行建設中!

青山貞一 Teiichi Aoyama
東京都市大学名誉教授
池田こみち Komichi Ikeda
環境総合研究所顧問


September 2, 2015

独立系メディア E-wave Tokyo
Alternative Media E-wave Tokyo



 一昨日、宮崎県からこられた知人の野中公彦さんを品川駅まで池田さんと青山で車でお送りした後、ひさびさに高輪泉岳寺の門隣の8階建てマンション建設現場に寄ってみました。

 添付した写真はその現場で、すでに8階建てマンションがほぼできあがっていました。泉岳寺の門のピッタリ隣です。門の隣には大きな字で「建設反対」と書かれた泉岳寺の看板があります。

 結局、この問題では、民事の建築禁止仮処分などをする前に、業者はどんどん建築を進め、港区議会、区役所などは、何ら影響力を行使できなかった(しなかった)ようです。

 もうひとつ現場で驚いたのは、いうまでもなく今の東京の電線の景観破壊のひどさです。有名なベトナムのホーチミン市並みの酷さと言えます。

 泉岳寺がある東京都港区では、超高層ビル街は電線を地下埋設しているところがありますが、泉岳寺付近は写真のように、景観上、これ以上アグリーはないほど、電柱と電線によりめちゃくちゃな都市景観となっています(下の写真右側)。

 たとえば、今年春に言ったウズベキスタン(中央アジア)などではタシケント、サマルカンドなど歴史的建造物が沢山ある都市の中心部には電柱がほとんどありません。東京電力のkwh当たりの電気料金は言うまでも無く世界一高いのですが、これほど都市の景観を悪化させながら世界一高額の電気料金をとっている電力会社は世界の主要都市で他にはないのではないかと思えます。

◆青山貞一・池田こみち:泉岳寺中門前に見る電柱、電線による景観破壊



 以下のグーグルアースの立体写真では、関係部分以外を灰色でマスクしています。


マンションの建設現場の立体地図
出典:グーグルアース 

 なお、下の写真は2014年10月20日に撮影したものです。このときは、基礎を打ち込んでいましたが、マンションはまだ一階分も出来ていませんでした。
 

撮影:青山貞一 独立系メディアE-wave Tokyo共同代表

 東京では一旦、土地利用規制が緩和されたあと、泉岳寺のような日本の歴史を代表するような重要伝統的な建築物に隣接し高層マンションなどが林立しています。本来、残された空地は防災上からも緑地や公園とすべきなのに、そこにワンルームマンション、それも利殖用のワンルームマンションが都心部で建築されています。かくして相続税対策として東京都都心は稠密かつ景観上もアグリーな高層建築物が林立することになっているのです。

 本来、基礎自治体ある東京都港区があらかじめ文教地区の指定などをすることで歴史的建造物周辺の景観を保全すべきですが、利殖用のワンルームマンション、負債付節税用マンションなどが次々に建設されています。

 一方、東京都港区と言えば、いわゆる森ビルの牙城、次々に巨大な超高層ビルの建築がこの間多くの地域住民を立ち退かせて行われてきました。

 一体、何のための基礎自治体なのかと怒りを禁じ得ません。

 このまま行くと、江戸時代や明治時代の伝統建造物や場所は、どんどん都市再開発でクリアランスされ、現代的な超高層ビルなど、どこにでもある公共空地に代わって行くでしょう。そして江戸の名残は、東京都の江戸東京博物館や羽田空港の江戸村など、マッチ箱的箱庭のなかに部分をとどめるだけになりそうです。

 それにつけても、日本人の大切な心の故郷でもある赤穂47浪士が今も眠る墓のある泉岳寺の「顔」(入口)にチンケナ、高層ワンルームマンションが敷地ギリギリまで環境、景観への配慮なく、泉岳寺周辺地域住民の反対を無視し強引に建築されるさまを見るのは忍びないものがあります。


 以下は本件に関する過去の記事です。

◆特集:泉岳寺隣に景観破壊の8階マンション建設紛争!
◆青山貞一・池田こみち:泉岳寺中門前に見る電柱、電線による景観破壊
◆青山・池田:泉岳寺中門隣に8階建マンション!? 紛争の現場に行く
◆池田こみち:泉岳寺に隣接した8階マンション建設紛争 住民インタビュー
◆鷹取 敦:泉岳寺中門隣にマンション計画

参考:「国指定史跡・泉岳寺の歴史的文化財を守る会」サイト

◆泉岳寺

本堂    所在地 東京都港区高輪二丁目11番1号
山号    萬松山
宗派    曹洞宗
寺格    江戸三箇寺
本尊    釈迦如来
創建年  慶長17年(1612年)
開基    門庵宗関、徳川家康(願主)
文化財  浅野長矩・赤穂浪士墓(国の史跡)


赤穂義士墓所   by Stefan Le Du

山門
泉岳寺(せんがくじ)は、東京都港区高輪二丁目にある曹洞宗の寺院。青松寺・総泉寺とともに曹洞宗江戸三箇寺の1つに数えられる。現在の住職は駒澤大学名誉教授の小坂機融。

歴史
慶長17年(1612年)に徳川家康が外桜田に門庵宗関を招いて創建。寛永18年(1641年)寛永の大火で焼失したが、徳川家光の命で、毛利・浅野・朽木・丹羽・水谷の5大名により、現在の高輪の地で再建された。赤穂事件で有名な浅野長矩と赤穂浪士が葬られていることで知られ、現在も多くの参拝客が訪れる。また、毎年4月初旬と12月14日には義士祭が催される。また境内に、赤穂浪士ゆかりの品を所蔵している「赤穂義士記念館」がある。義士の討ち入り後、当時の住職が義士の所持品を売り払って収益を得たことに世間の批判が集まり、あわててこれらの品を買い戻しに走ったことがある。他に、「高島易断」で知られる高島嘉右衛門の墓もある。

出典:Wikipedia