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「ハンセン病を知っていますか?」

(NHK)を視聴して

青山貞一 Teiichi Aoyama
池田こみち Komichi Ikeda

June 11, 2015
独立系メディア
E-wave Tokyo
Alternative Media E-wave Tokyo

 
 昨日(2015年6月10日)夜、 NHKの「探検バクモン−Deep Inside」「ハンセン病を知っていますか?」という番組がありました。

 この春、フェイスブックの「友達」、川辺美佐子さんに案内され「全生園・国立ハンセン病資料館」を視察したこともあり、大変興味深く視聴しました。

 私達が資料館に入館した際、入り口で撮影禁止となっていましたが、昨日の番組では、ほぼありとあらゆる場所にテレビカメラが入り、かつ爆笑問題の田中さんがデジカメでその都度撮影している場面がありました。

 今回、NHKが全国放送で取り上げ、多くの人に見てもらいたいということで、お笑いの人気タレントがデジカメを持って施設内を回っているにもかかわらず、一般の入館者に対して「撮影禁止」としているのは、国立の施設であることからしても極めて不思議です。

 番組中でも、「より多くの人に知ってもらいたい」とか、さらに「無知が偏見を生む」などと繰り返していたことからも、不可思議です。

 ちなみに、後述するように海外の類似資料館の多くは有料、無料を問わずデジカメ、動画撮影が可能なところが圧倒的なはずです。

青山・池田・山形:全生園・国立ハンセン病資料館視察記(1)
 http://eritokyo.jp/independent/aoyama-col5717.htm
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◆青山・池田・山形:全生園・国立ハンセン病資料館視察記(2)
 http://eritokyo.jp/independent/aoyama-col5718.htm

 ハンセン病は、おそらく日本における過去の人権侵害の最たるもののひとつであると思います。だからこそ、せっかく訪問した人たちがどれだけそこで見聞きしたことを持ち帰り、多くの人に伝えるかが大切ではないでしょうか。

 その意味で昨日のNHKの番組は、お笑い芸人らによる視察ではありましたが、それなりの意味と価値があったと思います。 

全生園の隠れた史蹟案内板
撮影:青山貞一・Nikon Coolpix 8  2015-3-24


◆海外の資料館、博物館における撮影問題

  私たちの経験では、東欧諸国、中央アジア諸国の場合、写真撮影、動画撮影は許可するものの、それぞれ入場料以外に撮影料金をとっているところが結構あります。

 さらにカメラ撮影でも三脚を使うか否かで料金が異なるものもありました。たとえば、リトアニアのヴィルニスにあるKGB博物館などがそれです。

 東欧ではナチス・ドイツの強制収容、ガス室跡が世界遺産となっているアウシュビッツ・ビルケナウ博物館のうち、アウシュビッツ収容所跡の室内展示場が撮影禁止となっていますが、海外からの多くの視察者は、写真を撮っていました。 

 一方、ビルケナウ強制収容所、マイダネク強制収容所などは内外ともカメラ、ビデオともに撮影OKでした。 リトアニアにおけるナチス・ドイツの強制収容所、第九要塞は入場料は必要ですが、撮影はOKでした。 

 今年3月の中央アジアのウズベキスタンでは外観はすべて無料で撮影OK、施設内部は有料なものが多く、動画は別途料金というものが多かったと記憶しています。 ただし、入場料はわずかなものが圧倒的でした。これらの料金収入は、世界遺産の維持管理などに使われるはずです。

  一方、西欧諸国ではイタリアの世界的に著名なバチカン博物館・美術館は、そこそこ高額の入場料はありますが、超有名な絵画はじめ文物の写真、動画撮影は無料で自由でした。 ただ、コンクラーベなどが行われるシスティーナ礼拝堂だけは、撮影禁止となっていました。ここにはミケランジェロの有名な天井画があります。

 総じて、海外の資料館、博物館、それも国立、公立博物館で撮影禁止はまれであると言えます。その意味でも、「全生園・国立ハンセン病資料館」はじめ日本の公的な資料館、博物館における「撮影禁止」措置は早急に見直されるべきであると思います。


全生園・国立ハンセン病資料館への提案

 ハンセン病の資料館の場合、撮影を認めると、施設管理者側から「プライバシー問題や差別問題が起きる可能性がある」と指摘されそうですが、NHKの番組では上述のようにテレビカメラが隅々まで写していましたし、出演者もデジカメで撮影しながら館内を回っていました。

 万一、プライバシーにかかわる展示物がある場合は、当該展示物だけ撮影禁止のマークをつければよいと思いますし、実際、日本の他の資料館ではそうなっているものもあります。

 今回のNHKの番組では、最後の部分で、この資料館の建設に尽力された88歳の元患者・平沢保治さんが出演者と対談され、ご自身のつらい体験を話され、「より多くの方に知ってもらいたい」、「無知が偏見を生む」と仰っていたことからも、資料館を訪問した一般入館者への撮影を許可すべきであると強く感じました。

 もとより差別を問題としている資料館が差別をしていたのでは、なにをか況んやです。

 今後、国民一般にデジカメ、動画を問わず撮影を許可するように働きかけてみたいと思います。