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イエメン、大統領ヘリで脱出

米国人全員帰還、

シーレーン防衛、チョークポイントの行方

青山貞一

掲載日:2015年3月26日
独立系メディア E-wave Tokyo
無断転載禁


 一昨日、イエメンの大統領がヘリコプターで逃げ出すなど実質的にイエメンは反政府勢力の支配下にあります。米国もあらゆる現地組織を引き上げています。
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 イエメンを掌握した反政府勢力フーシ派はシーア派の一部です。周知のように世界最大のイスラム、シーア派はイランです。一方、エジプトはスンニ派です。
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 先にお送りしました論考にあるように、写真にある3つの★のチョーク・ポイントは、実質的にエジプト、イラン、イエメンといずれも現在反米諸国となっています。

 言うまでも無く一つ目のチョークポイント★、スエズ運河はエジプトが、二つ目のチョーク・ポイント★、ホルムズ海峡はイランが、そして三つ目のチョーク・ポイント★、アラビア半島最南端がイエメンが実効支配することになります。

チョークポイント( choke point)とは

 海洋国家系地政学における概念のひとつ。地政学上、シーパワーを制するに当たり、戦略的に重要となる海上水路である。見方を変えればいくつかの表現ができる。例えば、シーレーン防衛において、重要な航路が集束している部位である。

 すなわち、水上の要衝を意味する。ボトルネックという語で表されることもあるが、重要なのは、チョークポイントは水上航路のみを指す概念であり、陸上輸送は含まない。したがって、必然的に、「海峡」「運河」などを指す(港を指すことも)。ただし英語での"choke point" は、文字通り「絞めることで、相手を苦しめられるポイント」を語源とし、軍事的な意味合いにおいても海峡や運河などの海上に限らず、陸上における峡谷や橋なども含めた要衝、隘路を表す。 

出典:Wikipedia
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シーレーンとは

 シーレーンとは、一国の通商上・戦略上、重要な価値を有し、有事に際して確保すべき海上交通路のことである。英語の類義語はSLOCs(Sea Lines of Communication)です。

 元々、海の上にきまった通航路があるわけではなく、航海が一般化するにつれて、ほぼ一定した航路のようなものが自然に形成されるようになり、そうした海上交通ルートを陸上の小途になぞらえたものがシーレーンです。

 また、シーレーン防衛上、その要衝となる地点をチョークポイントといいます。海洋国家にとって、シーレーンの安全保障は最重要課題であり、また交易国との経済交流は相互の経済発展において不可欠であると言えます。

出典:Wikipedia


出典:グーグルマップ

 ところで、エジプトは米国と同盟関係にありましたが、ここに来てロシアがエジプトに急接近しています。
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ロシア、エジプトに急接近…米国との同盟に揺さぶり 
  イスラエル紙はオバマ政権批判 New Sphere誌

  http://newsphere.jp/world-report/20150216-1/

 とりわけこの一年。となると、重要な3つの★のすべてが反米諸国に実効支配されることなり、当該地域のEU、米国のシーレーンは反米であり同時にロシアの影響を強く持つ国々により支配されることになるのです。ロシアはスンニ派、シーア派を超えてイスラム諸国への影響力を強めていることに注目すべきです。
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 米国ですら逃げ出す地域に、日本が外交、防衛で影響力を行使など出来るわけがありません。その意味でも米国盲従、一辺倒の日本は、まるで国際情勢を独自に監視判断しているとは言えません。もっと多極分散的外交をすべきでしょう。
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