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ドクターX、最終回

青山貞一 Teiichi Aoyama

掲載月日:2013年12月20日
独立系メディア E-wave Tokyo



 一昨日(2013年12月19日)、木曜日の夜、テレビ朝日のドクターXの2013年の最終回がありました。2013年は、全部で9回、その9回目となります!

 毎年スイスのダボスで開催される通称ダボス会議、正式には世界経済フォーラムの世界各国ランキングで、女性の社会経済参加度ランキング世界100位以下、国民幸福度43位など、先進国最下位の日本にあって、外科技術の実力と病人という社会的弱者を救出するというミッションだけで生き抜く女性医師、ドクターXの物語です。


出典:青山貞一、公共政策論授業ppt


出典:青山貞一、公共政策論授業ppt

 このテレビドラマでは、大学病院が舞台となっていますがおそらく、大学一般や学会組織にも通ずる話ですね。さらに言えば日本のあらゆる組織に共通なことともいえます。

 そのような日本の閉塞組織の中で、組織を嫌い、権威を嫌い、叩き上げのスキルを武器に、アホな男社会をことごとくぶった切るドクターXこと、大門未知子の一匹狼な生き方を描くドラマです。

 舞台となった権威主義を象徴する帝都大学の建物は、前橋にある群馬県庁、病院の医局は東京の八王子にある東海大学病院を使っていますが、病院そのものは都心近くにある設定です。


舞台となった帝都大学の建物は、前橋にある群馬県庁
出典:株式会社 佐藤総合計画公式Web


病院の医局は東京の八王子にある東海大学病院
出典:Wikipedia

 最終回は1時間半の時間枠でエキサイティングな展開となりました。

 臓器のあちこちに深刻な障害をもつ四国高松の9歳の少女を超難病の少女の命を救うには、多臓器体外摘出腫瘍切除、すなわち内蔵を一旦すべて体外に摘出し、ばらばらにして、それぞれの臓器、部位を外科手術し、再度、少女の体に統合するという、信じられない手術しか助かる道はありません。


手術名:多臓器体外摘出腫瘍切除
内蔵をすべて体外に摘出し、ばらばらにして、それぞれの
臓器、部位を外科手術し、再度、少女の体に統合

出典:テレビ朝日 ドクターX 2013-12-19


術前会議   出典:テレビ朝日 ドクターX 2013-12-19

 度を超す権威主義の病院組織内、そして権力、利権収奪の争いに明け暮れる男社会の病院内で、ざまざまなシカト、嫌がらせ、パワハラ、非協力などを受けながら、それをものともせず、世界で2例、日本に手術例がない少女の超難病にドクターXが挑み、見事、初志を貫徹し手術を成功させます。

 まさにドクターXの口癖、「私、失敗いたしません」の真骨頂です!

 通常、毎回一回のドラマで完結していたドクターXですが、最終回の一回手前から最終回、それも1時間半に拡大した総集編は、大変見応えがありました。、

.......閑話休題

 昨日は「ドクターX」の最終回、どういう終わり方をするのかな、と期待していましたが、ごらんのように、なかなかすさまじい終わり方でしたね。1億円のギャランティーを蹴っ飛ばしてしがらみのない世界に羽ばたくさまは、さすがでした!

 テレ朝のプロデューサー、内山聖子氏は、中間管理職としての海老名教授に自分をなぞらえ「組織の中で生きるには、自分を殺さなければならない瞬間が必ずある」なんて言っていましたが、それは彼女がテレビ朝日という会社組織のなかで、毎日、毎日しがらみの中で働く日本の男性サラリーマンがもつ感想と同じですね(笑い)

 番組では、上向志向と、正義感や倫理観との間で揺れ動く近藤教授や海老名教授の中途半端な生き方に対し、主演の大門未知子(ドクターX)は、まさに組織を嫌い、群れるのを嫌い、しがらみを嫌い、叩き上げのスキルをもとに、剛速球一本勝負で生きぬくのです。

 
もちろん誰でもできない、どころか稀有中の稀有の生き方ですが、そんな彼女の生き様にこそ、私は大きな感銘を受けました。

 それにしても、最終回、四国高松の少女の手術は、すさまじい信じられない手術でしたね。内蔵をすべて体外に摘出し、ばらばらにして、それぞれの臓器、部位を外科手術し、再度、少女の体に統合、というか英語でいえばEmbodyするわけです。マジスカ!です。


高松の分院で幼い少女のカルテを真剣なまなざしで見る
ドクターX、大門未知子(米倉涼子)
出典:テレビ朝日 ドクターX 2013-12-19

 さすがのドクターXも、この時ばかりはいつもの「私、失敗しないので!」という名セリフははきませんでしたね。子供の患者だけには、安心させる意味で「失敗しないから」と 言ってましたが。男勝りのじゃじゃ馬のように見えますが、大門さんは子供にや心優しいおねいさんだったのです。馬やねずちゃんなど動物にも。


ドクターX、大門未知子に懐き頼りにしだす少女
出典:テレビ朝日 ドクターX 2013-12-19

 3年前、私が自宅の階段から落下し第二頸椎を完全に骨折しました。

 慈恵医科大学脳神経外科に緊急入院した10日後、8時間以上の大手術をしました。術前に担当の外科医と麻酔の主任の女性医師から、同意書への署名を要請され、承諾したことを思い出しました。

 私の場合、完全な Informed Consentすなわち、患者が医者と徹底的に議論した上で、納得し同意しました。しかし、日本の場合、圧倒的多くの場合、患者や家族は、医者の言いなりに同意するのが一般的です。

 下の2枚の絵は、そのとき担当医が私の目の前で描いた手術の概要です。


主治医がInformed Consentで示した青山貞一手術の概念図(1)
慈恵医科大付属病院脳神経外科 2010.11.18


主治医ががInformed Consentで示した青山貞一手術の概要図(2)
慈恵医科大付属病院脳神経外科  2010.11.18


慈恵医科大学脳神経外科にて
撮影:青山淑子 Nikon CoolPix S8 2011.11.07

青山貞一<論考>九十九死に一生
頸椎骨折手術Informed Consent全記録
@ 階段落下事故の現場
A 頸椎(第二頸椎)とその機能
B 頓死か下半身不随となる理由
C 初動検査と本格検査
D 緊急入院
E 手術とその方法

F 検査・入院・手術・治療の全容
  G 術後の養生と退院まで
H 関連する費用
I 謝辞
J退院後初の検診
K一年後の検診

L一年半後の検診

 私の場合、脳神経外科の主治医は、成功率は70%程度だと術前議論の中で話されました。おそらく日本有数の大学病院、慈恵医科大でも頸椎完全骨折の手術は30%が失敗すると、正直に話してくれました。実はわたくしはこの言葉で安心しました(笑い)

 以前ブログに書きましたが、テレ朝のドクターXでは、たくさんのすばらしい脇役として、遠藤 憲一(第二外科教授)、近藤忍(第二外科講師→教授抜擢)、)西田俊之(外科統括部長)、三田佳子(内科統括部長)、岸部一徳(名医紹介所所長)、笹野高史(事務長)はじめ多くの助演者それぞれがいい味をだしていましたね。本当にすばらしかったです。

 ※ドクターXキャストの相関図

 今の日本を代表する多くの名男優、名女優の参加を得て、しがらみだらけの日本社会のなかで、それにしばられない大門未知子の破天荒ながら主体的で一匹狼的な生き方がキラリと光ました!

 組織のしがらみ、社会全体の閉塞感と国家主義化が強まるこの日本のなか、ぜひ、それをぶち壊すドクターXの続編を来年もやってもらいたいものです!


出典:テレビ朝日 ドクターX 

 以下は2013年版の主要なキャスト。  出典:テレビ朝日 ドクターX

・大門 未知子(37)フリーランス外科医 / 米倉 涼子
大学病院の医局に属さず、怪しい医師紹介所に所属しながら、様々な病院を渡り歩いている。勤務時間は絶対厳守。医師免許不要の雑用は一切引き受けず、院内にありがちな権力闘争にも無関心。報酬は桁違いに高いが、外科医としての腕は超一流。自身も自分の腕に絶対の自信を持っている。誰に対しても物怖じせず、言いたいことを口にするため、医局の面々とは折り合いが悪い。趣味・特技が手術だが、手術以外のことにはもっぱら弱い。病院勤務のみならず「船医」「軍医」まで経験したという噂もあり、意外なところに人脈を持っている。


ベンケイシー(にゃんこ)と一緒に大門未知子
出典:テレビ朝日公式Web

・近藤 忍(38)第二外科・講師 / 藤木 直人
優秀なイケメン外科医。内科統括部長の馬淵一代をパトロンに持つ。クールで院内の権力闘争に無関心に見えるが、その真意は…?他の医局員とは違い、未知子の腕には一目置いている。

・城之内 博美(34)フリーランス麻酔科医 / 内田 有紀
帝都医科大学の分院に勤めていたが、未知子と出会いフリーに転身、神原名医紹介所に 属している。的確かつ冷静な判断ができる、頼れるシングルマザー。

・海老名 敬(50)第二外科・教授 / 遠藤 憲一
主任教授を狙っており、関心はもっぱら院内での根回し。外科統括部長・蛭間の腰巾着で、絶対「御意」を貫いている。未知子とことあるごとに対立する。

・鮎川 司(25)第二外科・研修医 / 満島 真之介
純粋に一人前の医者になるべく奮闘中。まだ院内政治に疎く、日々、先輩医師らから色々と吹き込まれている。

・照井 珠緒(31)蛭間の秘書 / 笛木 優子
実は蛭間の愛人。プライドも嫉妬心も人一倍。蛭間に近づく女性に常に目を光らせている。

・橋本 理沙(24)看護師 / 水沢 エレナ
いつも明るく人気者だが、計算高い所も…。近藤にあこがれを抱く。

亀山 久(40)第二外科・准教授 / 猪野 学
海老名に付き従うことで自分も出世しようと考えている。口癖は「御意」。

・鶴田 匠(38)第二外科・助教 / 野間口 徹
いつも亀山と行動を共にし、海老名をヨイショしている。口癖は「御意」。

・鵜沢 信(40)事務長・補佐 / 六角 慎司
烏丸の腰巾着。特に有能でもないがイエスマンとして身軽に動く。

・鷹野 七起(55) / 浅野 和之
主任教授だったが、蛭間から解雇されてしまう。患者思いで穏やかな人柄。

・烏丸 金男(60)事務長 / 笹野 高史
病院経営を管理する、経費削減がモットーの事務長。そのため未知子の法外な報酬が許せない。典型的な「長いものに巻かれよ」精神で蛭間の言いなり。

・神原 晶(66)名医紹介所・所長 / 岸部 一徳
元外科医という噂もある怪しい男。大学病院の内情にも詳しい。趣味は麻雀。

・馬淵 一代(58)内科統括部長 / 三田 佳子
帝都医科大学唯一の女性トップ。蛭間をおいてしても、次期院長と囁かれる女帝。あるきっかけから未知子をスカウト。外科統括部長の蛭間とは過去に何かがあったようで…?

・蛭間 重勝(62)外科統括部長 / 西田 敏行
いわゆる帝都医科大学のゴッドファーザー。エリート集団の外科を一手に束ねる。表向きは温和だが、逆らう者はバッサリと切り捨てる冷血漢。教授選もすべて彼のコントロール下にある。