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今日のコラム論説

北朝鮮の「核保有」で
憂慮される課題(2)


青山貞一

2006年11月5日



◆青山貞一:北朝鮮の「核保有」で憂慮される課題(1)

 「北朝鮮の「核保有」で憂慮される課題(1)」を執筆している最中に、DPRK報道官が6カ国会議開催に際し、以下の立場の表明を行った。

北朝鮮の立場表明要旨  日本の参加要請したことない

 【北京4日共同】

 北朝鮮外務省が6カ国協議への日本の参加を強くけん制した4日の立場表明の要旨は次の通り。

 一、われわれはこれまで日本に6カ国協議に参加してくれと要請したことはない。

 一、国際社会は6カ国協議再開の合意を一致して歓迎しているが、協議再開の合意が発表されるや、日本の首相、外相、官房長官らは相次いで、核保有国との前提で北朝鮮を6カ国協議に受け入れる考えはないなどと、立場をわきまえず騒いでいる。

 一、協議に米国が参加しており、米国の1つの州と何ら変わらない日本が、(米国の)地方代表として協議に参加する必要はなく、米国から結果を聞けば良い。

 一、日本では(新)政府が発足したばかりで国内的に忙しいだろうから、無理して6カ国協議に首を突っ込まず、家の事情(国内政治)に神経を使う方が良いだろう。

 一、日本が6カ国協議に参加しないとするならこの上なく良く、参加国が減ることは協議の効率性を高める上でも決して悪くはない。

(共同通信社)

 日本の新聞各紙は、たとえば「暴走を続ける独裁国家は、一体何を考えているのか?」(ディリースポーツ)と感情的になり、「北朝鮮の核実験や拉致問題で厳しい姿勢を取る日本を強くけん制するとともに、協議が進展しなかった場合の責任を日本に押しつける布石と見られる」(読売新聞)など、後述する内容から見るとトンチンカンなことをと書いている。

 いずれにしても「北朝鮮は、これまでも6カ国協議で拉致問題を取り上げようとする日本の出方を批判。「日本は協議への参加資格はない」などと主張してきたことがあるが、日朝の関係正常化も目標の一つとして盛り込まれた昨年9月の共同声明以降、日本の参加を強く牽制(けんせい)したのは初めて」(サンケイ新聞記事)なのは確かである。

 その背景に何があったのかを考えることがきわめて重要となるのは言うまでもない。

 上記は共同通信の配信速報だが、DPRK自身の生の声を聞いてみよう。

北「日本は6カ国協議に参加しないのがよい」

  北朝鮮外務省スポークスマンは4日、日本が6カ国協議に参加しなければ会談の効率性を高めるうえでも助けになる、と明らかにした。

  スポークスマンはこの日、朝鮮中央通信との問答で「日本が6カ国協議に参加しなければ、それは非常によいこと」とし「参加人員(参加国)が少なくなるのは会談の効率性を高めるうえでも決して悪くはない」と強調した。

  スポークスマンは、麻生太郎外相が「北朝鮮が核保有国の資格で6カ国協議に参加するのは認められない」と述べたことなどに触れながら、「われわれは一度も日本に6カ国協議に参加してくれと要請したことはない」と指摘した。

  外務省スポークスマンは「われわれはこれまで日本が協議に参加することを歓迎してこなかったが、他の参加国との関係を考慮して適当に対応してきた」と語った。

  彼は「6カ国協議に米国が参加する条件のもと、米国の一州と変わらない日本が地方代表として協議に参加する必要はない」とし、「米国から会談の結果でも受けていればよいのではないか」と皮肉った。

  また「日本は新政権が発足したばかりで国内的にもやるべきことが多いはずだ。6カ国協議の場をしきりにのぞき込まず、自国のことに力を注ぐのがよい」と付け加えた。

  一方、安倍晋三日本首相は1日、ミサイルと核、拉致問題が解決しないかぎり対北朝鮮制裁を解除しないという立場を明らかにするなど、6カ国協議の再開に関係なく対北朝鮮強硬政策を続けるという立場を明らかにした。

平壌朝鮮中央通信=聯合ニュース 


 なぜ、かくもDPRKがいままでになく日本に対し、強弁姿勢となったのか?これが 「北朝鮮の「核保有」で憂慮される課題(2)」の主題である。
 
 ここで読み取れるのは、6カ国協議そのものが、もともとDPRKの核開発に関する停止を定めた米国との枠組み合意(1994年)においてDPRKと米国の間で行われた協議をもととしていることである。

 日本は拉致問題やミサイル実験などをからめて6各国協議に臨んでいるが、DPRKは最大の関心は「一にも二にも米国」にある。DPRKは核保有を切り札に金融制裁など各種の制裁措置の解除を要求している。

 「北朝鮮の「核保有」で憂慮される課題(1)」で明らかにしたように、米国はクリントン政権時代からDPRKの核開発、核保有を阻止すべく、硬軟両様、アメとムチで対応したきた。しかし、クリントン政権がDPRKとの約束を反故にしたことに象徴されるように、あくまでも米国との直接協議を要求するDPRKの要求に正面から応えてこなった歴史がある。

 一方、ブッシュ政権は「悪の枢軸」発言で分かるように、当初からDPRKを敵視した結果、北朝鮮はミサイル実験、偽札製造、麻薬製造など、どんどん国際社会からの離反、孤立を強め、ついには米国がもっとも恐れていた核実験までしてしまったのである。

 中国の仲裁で6各国協議が行われたものの、DPRKはあくまでも米国に矛先を絞ってきた。そうこうしているちに、イラク問題で手一杯、財政も悪化し、そもそも支持率が40%を下回っているブッシュ政権は、「北朝鮮の「核保有」で憂慮される課題(1)」において書いたように、

 本来、DPRK問題に正面から取り組むべきブッシュ政権が、6各国協議はまだしも、2国間協議で責任を持ってDPRKと国交の正常化を行うとは到底思えない。かといって、DPRKが核実験を行い、核保有を宣言している以上、イラクのときのような物理的な政権交代(レジーム・チェンジ)を行う余裕はない。

 もちろん、中期的には上述のように共和党が連邦議会における与党の座から転げ落ち、2年後の大統領選挙で民主党政権ができることになれば、その民主党政権がクリントン政権時代の政策失敗の後始末の一環として、DPRKとの約束を果たし核問題の解決に向かうと言うシナリオもないことはない。

 だが、果たしてこれから2年と言う時間のなかで、核保有国となったDPRKの金正日体制が座して死を待つなどとは考えられない。いずれにしても、DPRKの核保有問題の多くの原因はこれらは米国の失政、失敗,にある。それをどうするかが大きな課題となる。


というジレンマ、トリレンマに遭遇することになったのである。

 しかも、米国の将来を決する中間選挙はこの11月7日に迫っているのである。

 そこでブッシュ政権が最後の考えたサプライズは、今や国際社会でもっとも懸念、憂慮される懸案事項であるDPRK問題の電撃的対応であったはずだ。ひょっとすると米朝が国交正常化までこぎ着けるのではないかという日刊ゲンダイの以下の記事もあながち穿っているとも言えない。

 もっぱら、DPRKは、そのような米国、ブッシュ政権の足下を見透かしていたとも思える。 今回の6各国協議再開は、まさにハード、ソフトあらゆる手段を行使し、揺さぶりをかけていたDPRKと、中間選挙を間近に控えたブッシュ政権の思惑が一致したところにあるのではないかと思える。

 それがDPRKの日本へのいつにない強腰発言となったのではないか!

 以下の日刊ゲンダイの速報は、6カ国協議再開の裏側をえぐっている。

 それにしても、「暴走を続ける独裁国家は、一体何を考えているのか?」(ディリースポーツ)、「北朝鮮の核実験や拉致問題で厳しい姿勢を取る日本を強くけん制するとともに、協議が進展しなかった場合の責任を日本に押しつける布石と見られる」(読売新聞)などと書いている日本の大メディアの思考停止でワンパターンさには今更ながら呆れる。


北朝鮮問題は劇的に解決を迎える!


日刊ゲンダイ

掲載:2006年11月2日


─ Dailymail Businessより ───────
■ はしごを外された安倍政権の強硬路線
■ アメリカと北朝鮮はすでにこのように合意している
■ 北朝鮮問題は劇的に解決を迎えた
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日本は無視されアメリカと北朝鮮の2国間密約が、再開される
6カ国協議をリードし、もちろん拉致問題など相手にされるわけがない
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 北朝鮮が「6カ国協議」に電撃復帰することが決まった。早ければ、今月中にも北京で再開される見通しだ。6カ国協議が突然、再開されることになったのはすべて米国の事情によるものだ。大新聞・TVは「北朝鮮が国際的な包囲網に危機感を持った」「中国が北朝鮮を説得した」などとシタリ顔で解説しているが、まったく違う。

 北朝鮮が6カ国協議への復帰を決断したのは、米国が譲歩を重ねたからだ。これまで「米朝2カ国間協議には応じない」「金融制裁は解除しない」と言い続けてきたのに、ヒル国務次官補は金桂冠外務次官とサシの協議を行い、金融制裁についても「作業部会」を設置することを約束した。

 北朝鮮が米国に突き付けていた「金融制裁を解除するなら、6カ国協議に復帰してもいい」という要求を丸のみしたのである。

 「6カ国協議の再開を強く望んだのは、北朝鮮よりも米国でしょう。11月7日に行われる中間選挙で、ブッシュ共和党は苦戦を強いられている。とくに北朝鮮が核実験を強行したために、ブッシュに対して『外交無策』の批判が噴出。

 ブッシュ大統領は、どうしても投票日前に『外交成果』をアピールする必要があった。それより何より、北朝鮮問題は完全に手詰まりになってしまった。経済制裁を実施しても、金正日体制は崩壊しそうにないし、かといって核を保有した北朝鮮を武力攻撃するのはリスクが大きすぎる。米国は袋小路に入り、方針転換を図ったのでしょう」(コリアレポート編集長・辺真一氏)

 米国が北朝鮮に急接近し始めたのは確かである。

▼ 金正日が引退し「米朝国交正常化」の衝撃シナリオ ▼

 あれだけ頑なに強硬姿勢を崩さなかった米国があっさり折れ、北朝鮮も核実験から1カ月足らずですんなり6カ国協議への復帰を決めた今回の「合意劇」は、話が出来すぎている。

 こうなると、すでに米朝間で「落としどころ」ができていると考えた方が自然だ。ズバリ、米朝は国交を正常化するつもりじゃないのか。

 「表向きは中国が突然、米朝を北京に呼んで3カ国の非公式協議を開き、6カ国協議の再開に合意したことになっています。しかし、以前から、米朝が水面下で交渉を進めていた可能性は十分ある。秘密外交は米国のお家芸。実際、金正日の側近である姜錫柱は、米国の朝鮮半島問題研究者セリグ・ハリソン氏に秘密交渉をほのめかしています」(官邸事情通)

 米朝の「電撃接近」を予測していた元外務省北東アジア課課長補佐(北朝鮮担当班長)の原田武夫氏がこう言う。

 「かつてのニクソン訪中、カーター訪朝の再現は十分考えられます。恐らく、金正日は引退し、その見返りとして米国は“金王朝”の体制を保障、核実験についても不問に付すシナリオではないか。後継者は、長男の金正男です。正男は米国とも中国とも良好な関係を築いているので、米中朝いずれにとっても好都合なのです。その上で、『核開発中止』『原子炉建設』を条件に国交正常化に乗り出す。すでに原子炉は米GE製で、韓国が建設を請け負い、カネは日本に払わせるというシナリオが米朝間でできていても不思議はない。これで北朝鮮危機は一気に解決します」