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BS放送は電波の
大いなる無駄遣い


青山貞一

2006年11月25日


 私はもともと、ニュース以外あまりテレビは見なかった。

 たまたま見たNHK-BSのデジタルハイビジョンの高品質な映像に惹かれ液晶テレビを入れたのをきっかけに、世界各地の紀行や音楽、歴史ものを中心にデジタル・ハイビジョンを見るようになった。
 
 実際に見てみると、高画質な映像だけでなく、ドルビー、dts、AACなどの臨場感ある音響でオーケストラなどのクラシック音楽がで聞け、掛け値なしですばらしいと感じている。

 すばらしいと感じたのはここまで。

 ウィークデー昼間の民放のBS番組を見てみてびっくり。

 ところかまわずテレビショッピングをしているではないか!

 同じ音楽番組でもここでは、曲の頭出しだけをするだけで、結局、DVDを視聴者にウルための広告・宣伝に変わるのである。

 あるとき家族で民放のドキュメント番組的な番組をみていた。青汁が健康に良いと言っているので、あれ〜とおもったら、案の定、あとになってこの番組が粉末の青汁の広告・宣伝であることが分かった。

 以下は、2006年1125日 () BSテレビ番組表の一部。



以下は、1130日 (13時〜のテレビ番組表


 ことごと左様、地上波で深夜、早朝に行われているテレビ・ショッピングが、BS民放では日中から堂々、それも連日行われていることが分かった。何だこりゃ!!

 もちろん、民放のBSでもまれに高画質と高音響を生かした番組を流している。しかし圧倒的多くは、テレビショッピングか広告・宣伝、劣悪な地上波の番組を思われるものばかりだ。

 ところで、日本の放送法の第一条では、以下にあるように、その目的をきわめて明快に述べている。

第1条 この法律は、左に掲げる原則に従つて、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。
1.放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。
2.放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。
3.放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。

 有限で希少な電波を使ったデジタルBS放送のどこが一体、上記の1.、2.、3.の目的に合致しているのであろうか?

 上記の放送法は公共放送であるNHK向けにあるとしても、その主旨は、当然のこととして民放にもあてはまるはずだ。であるからこそ、テレビ、ラジオは国の免許事業となっている。

 最近、あるテレビ番組の政策関係者と立ち話をしたら、私とまったく同じ考えを持っていた。

 デジタル系で巨額の設備投資をさせられたはずの民放テレビ局だが、現在、中央のテレビ局(キー局)は空前の好景気だそうだ。その理由は、まさに地上波に加え、まるで「一日中、コマーシャルが流せるBS」のおかげで思わぬ広告料が入るためだそうだ。

 信じられないような話だが、本当のようだ。

 BSではなくCSは元々、ペイテレビで有料であれ、スポーツや映画など個別具体のニーズに対応することになっていた。これらはいずれも通常のアナログテレビである。

 一方、高画質、5.1チャンネルのドルビー、dts、AACなどの臨場感ある音響で聴けるBSのデジタルハイビジョン番組は、もともとペイテレビとしてアナログ時代からBSにいたWOWOW(これは現在もアナログ)以外、地上波のテレビのキー局である日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日が免許を得て設置したものである。

 それらのキー局がわざわざBS、それも高画質、高音響を売り物としたBSの局免を取得しやっていることが、テレビショッピングや地上波まがいの番組では、「有限で希少な電波資源の無駄遣い」と思われレも仕方ない。

 有限で希少な電波資源をごく一部のテレビ・メディア企業に免許を出している総務省にも放送法第一条の主旨からして大きな責任がある。

 与党・政府は、教育基本法改正を云々する前に、もっと日常の足もとをしっかりみるべきだ。 

 現代は限界効用を過ぎた「過度な消費社会」であることは間違いない。これでもかこれでもかと新製品をメーカーが売るためにBS放送が使われるのは、明らかに間違いである。

 ここ数年、不祥事に次ぐ不祥事のNHKだが、ことBS放送、とくにBSハイビジョン放送は、民放のあまりにも酷いコンテンツと言う敵失もあるが、よほどまともに見えてくるのは不思議だ。 

 もちろん、BSにNHKが3波は不要だろう。せいぜい2波でよいと思う。