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進む中南米の

新たな反米・左派化

青山貞一

2006年12月7日

独立系メディア E-wave Tokyo


 日本のマスコミを見ているだけではまったく分からないことだが、かつてアメリカの裏庭と呼ばれた中南米諸国は、反米、反ブッシュを旗幟鮮明にしている。

 ただ反米、反ブッシュだけでなく、過去何百年と続いたスペインから米国まで、欧米諸国による植民地、分断統治、その結果として抑圧されそして虐げられてきた諸国民が中南米全体として一体として独立するため、共同歩調をとりだした。

 先に報じた 青山貞一:中南米の国際メディア、「テレスール」とは にみるように、すでにアルジャジーラあるいはCNNなど国際メディアのラテンアメリカ版の構築に動き出している。その中心は言うまでもなく、反米、左派を自認するチャベス・ベネズエラ大統領である。

 2006年12月6日、中南米における反米・左派化の震源地、ベネズエラでチャベス氏が大統領3選を果たした。

 中南米では、ここ半年だけをとっても、ブラジル、ニカラガ、エクアドルなどの中南米諸国で反米の大統領が次々に当選している。とくにニカラグアの大統領選ではオルテガ氏が16年ぶり返り咲きを果たした。

 今後、米国流の資本主義でもなく、古い社会主義でもない新たな社会経済、政治システムを目指すチャベス大統領率いるラテンアメリカの動向に大いに注目したい。

チャベス氏3選 ベネズエラ大統領選
CNN/AP/REUTERS

 カラカス──3日投開票のベネズエラ大統領選で、強硬な反米姿勢で知られる現職チャベス大統領(52)が大差で3選を果たした。選管の中間発表(開票率78%)によると、チャベス氏の得票率は61%と、対立候補のロサレス・スリア州知事の38%を大きく引き離した。

チャベス氏は、大統領府前に赤いシャツ姿で集まった数千人の支持者に向けて勝利を宣言。支持者らに感謝を示すとともに、落選した他の候補者らに対し、独自の社会主義革命に向けた協力を呼びかけた。チャベス氏はまた、「社会主義革命万歳。世界を支配しようとする悪魔は再び敗北した。帝国主義を打倒せよ。われわれは新世界を求めている」などと語った。

政府系の出口調査では、投票締め切りの前からチャベス氏圧勝の見通しが伝えられ、同氏の支持者らは首都カラカスの中心街で祝勝デモを繰り広げた。チャベス氏は事前の世論調査でも、大差での勝利が予想されていた。

チャベス氏は98年の初当選以来、貧困層の救済を掲げ、世界第5位の石油収入を背景に急進的な経済政策を進めてきた。反米、親イランの言動で注目を集め、3選後には大統領の再選制限撤廃を目指すと明言している。一方、ロサレス氏は野党統一候補として、チャベス政権下での犯罪や汚職のまん延を批判していた。