エントランスへはここをクリック   

あのパロマの広告塔が
初代『製品安全広報大使』!?



青山貞一

掲載月日:2008年5月22日


 2008年5月21日夜のテレビ各局のデーリーのニュースで、女優の竹下景子さんが「製品事故の防止を目的に経済産業省が初代『製品安全広報大使』に任命した女優の竹下景子さんが辞退を申し出でた」ことを放映していた。

 竹下さんは沈痛な面持ちで辞任の弁を語っていたが、ブラックジョークそのものである。被害者に気持ちを逆なでするだけではないのか。パロマはもともと名古屋に本社のある会社、竹下さんは名古屋出身の女優と言うことで、永年、竹下さんはパロマの広告塔となっていたのだろう。

株式会社パロマPaloma, Ltd.

主にガスコンロ、湯沸器、ガス暖房装置などを製造する金属製品メーカー。本社は愛知県名古屋市瑞穂区で、正式名称はパロマコンソリデーテッド(Paloma-Consolidated)という。なお、企業理念・キャッチフレーズが長らく設定されていなかったが、後述する湯沸器死亡事故以降は「お客様品質へ、全力で。」を全面に掲げている。

出典:Wikipedia

 それにつけてもPL法を所管する経済産業省が、こともあろうか製品安全広報の大使に、21人もの人命を失わせた機器の広告塔となっていた女優をつかうというのだから、無神経でノー天気と言われても仕方ない!

 どうしようもない役所だ。

 下の記事にもあるように、パロマの湯沸かし器では今までに21名が犠牲となっている。この種の製品による死亡事故としては最も重大事故であろう。

 パロマのWebを見ると、湯沸かし器だけでなく、多くのお詫びがある。経済産業省はよぞく、パロマの広告塔を初代「製品安全広報大使」に任命したものだ。

 以下はパロマのWebのトップページである。

  【重要なお知らせ】

 いったいどうなっているのだろうか?

 ......

 ところで、製品広告とは別に、悪徳商法やマルチ商法紛い商法の広告や宣伝に安易に芸能人や著名人が出ている。芸能人の場合は、個人の判断というよりは、所属事務所がろくに事前調査もせず、営利第一で安易に引き受けているのだろう。

 ごく最近も、広告塔になっていた男優が訴えられている。カネにさえなれば何でも広告を引き受ける芸能事務所が圧倒的であり、人身事故などの問題があってもメーカーは謝罪しても、事務所が謝罪することは少ない。

 いずれにしても監督責任を持つ省庁がこのていたらくなのだから、『製品安全広報大使』イベントも知れたものである!

竹下景子さん:経産省「製品安全大使」を辞退
20年間パロマCM出演を理由に

 経済産業省は21日、「製品安全広報大使」に任命したばかりの女優、竹下景子さんが大使を辞退したと発表した。一酸化炭素中毒事故を起こした湯沸かし器の販売元・パロマのCMに出演していた経緯があり、竹下さんの事務所が21日朝、「事故の被害者をおもんぱかって考え直した」と電話してきたという。

 経産省によると、竹下さんは86年から約20年間パロマのCMに出演していた。消費者行政一元化をめぐって事故の被害者らが福田康夫首相と面会したニュースを見て辞退を決めたという。同省は19日に大使に任命していた。

 経産省は大使による広報活動や啓発セミナーの事業について競争入札を実施し、竹下さんの起用を提案した広告代理店「アサツー ディ・ケイ」が落札。その際は竹下さんのパロマのCM出演について確認できなかったという。

【奥山智己】

毎日新聞 2008年5月21日 東京夕刊



竹下景子さん、製品安全広報大使を辞退

日経新聞 2008年5月21日

 製品事故の防止を目的に経済産業省が初代「製品安全広報大使」に任命した女優の竹下景子さんが辞退を申し出、同省は受理したと21日発表した。19日に就任したばかりだった。

 竹下さんは、21人が犠牲となった一酸化炭素(CO)中毒事故を起こしたパロマ工業製ガス瞬間湯沸かし器のCMに、事故発覚前の2005年7月まで19年間にわたり出演。

 事務所は同省に「任命された日に遺族が福田康夫首相と面会したのを竹下さんが見て、当事者の心情に配慮して考えた結果」と説明したという。

 同省は「パロマのCM出演は知らなかった。辞退は重く受け止める」としている。後任は未定。

(21日 13:23)


 その後、この一件には大きな「落ち」があることがわかった!
 
 以下は名古屋に本拠地を置く中日新聞の記事だ。2008年5月19日付けとなっており、まったくパロマの件はふれていない。

 しかも、任命式に出席した竹下さんは「便利なものも使い方を間違えれば、命にかかわる事故になりかねない」と語っている。

 21人の死亡事故を出しているパロマの器具の広告塔に20年間もなっていた竹下さんが、語った「迷言」である。以下を見る限り、竹下さんなり所属事務所は初代『製品安全広報大使』を業務として一端は引き受けていることが分かる。

 おそらくクレームが寄せられ急遽、辞退したのだろう。何ともおそまつだ!

製品安全大使に竹下さん 家庭に潜む危険訴える

2008年5月19日 19時53分

 経済産業省は19日、家電や燃焼機器などによる事故を防ぐため、製品を正しく安全に使うことを呼び掛ける初代の広報大使に、女優の竹下景子さんを起用した。

 竹下さんは、経産省が毎月開いている製品安全セミナーに参加し、家庭で火災や大けがにつながる恐れがある製品事故の危険性を訴える。

 任命式に出席した竹下さんは「便利なものも使い方を間違えれば、命にかかわる事故になりかねない」と語った。

 経産省は昨年5月から、死亡や火災などを招いた重大事故の公表を開始。1年間で約1300件に達した。

(共同)