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<緊急解説>
米国、平均株価(NYダウ)さらに激落!

青山貞一
掲載月日:2008年7月12日
2008年7月13日追加
無断転載禁



 日本のメディアでは、ベタ記事にしかなっていないが、7月11日付けの以下の共同通信の記事にあるように、サブプライム住宅ローンシステム崩壊の影響で経営が悪化していた米政府系の住宅金融大手、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)について、さらに経営状況が悪化した場合、両社またはどちらか一方を国の保護管理下に置く国有化を検討している、と伝えたことを受け、ダウ・ジョーンズなど米国の株価がさらに急落した。

米住宅金融の国有化案も 経営不安説で株価50%急落
【ニューヨーク11日 共同通信】

米紙ニューヨーク・タイムズは11日、サブプライム住宅ローン問題の影響で経営が悪化している米政府系の住宅金融大手、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)について、経営が一段と深刻化した場合に備え政府当局者が、両社またはどちらか一方を国の保護管理下に置く国有化を検討している、と伝えた。

両社は政府系機関だが民間企業として上場。経営不安説から、11日のニューヨーク株式市場で両社の株価は50%前後の急落となった。同紙は、国有化される場合の政府買い取り株価は、ほとんどゼロになると指摘。計約5兆ドル(約530兆円)に上る両社の債務を政府が保証する法律も検討しているという。

 一方、米紙ウォールストリート・ジャーナルは同日、深刻な資本不足に陥った場合、現行法に基づき両社を事業継続のため保護管理下に置く案を「一つの可能なシナリオ」と伝えた。

米住宅公社の信用不安、FRB頼みで重い負担
日経新聞 2008/07/13 22:45

 【ワシントン=藤井一明】米国の金融混乱が収まらない。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)の問題で揺れた昨年8月以降、今年3月の米証券大手ベアー・スターンズの経営危機に続き、今度は米住宅公社の信用不安が浮上した。

 当局は米連邦準備理事会(FRB)の資金供給を柱に安定化の試みを重ねるが、政策の逐次投入の懸念がつきまとう。市場ではFRBの財務体質が傷つき、ドルへの信認が揺らぐことにもなりかねないとの見方も出ている。

 株価の下落が続く米連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)は11日、声明で「資本は法定の最低基準を十分に上回っている」とし、健全性を訴えた。ブッシュ大統領は同日、ポールソン財務長官と並んで記者団の前に現れ「フレディマックとファニーメイは非常に重要な機関だ」と強調した。

 ダウ平均株価の急落幅は50%と甚大であったが、よく7月12日のJNNは、以下にあるように、政府系住宅金融会社の経営不安から、売りが殺到し、一時、250ドルを超える下げ幅を記録した。

 その後は値を戻したものの、1万1100ドル54セントで取引を終え、終値も再び年初来安値を記録してい
る。

NYダウ、一時1万1000ドル割れ

 11日のニューヨーク株式市場は、アメリカの政府系住宅金融会社の経営不安から、売りが殺到しました。

 ダウ平均株価は一時、250ドルを超える下げ幅を記録するなど、取引途中としてはおよそ2年ぶりに1万1000ドル台を割り込みました。

 その後は値を戻したものの、1万1100ドル54セントで取引を終え、終値も再び年初来安値を記録しています。

 一方、ニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油先物市場は、産油国の供給不安が広がり、指標となる8月ものが一時、1バレル=147ドル27セントまで上昇し、史上最高値を塗り替えました。

JNN (2008年7月12日06:22)

 上記の2つの記事内容をグラフで示すと以下のようになる。

 図1は、私のコラムで先に示した米国の平均株価(ダウ・ジョーンズ)の推移と将来予測だ。今年3月に底をついた平均株価は、Market Vectorの予測によれば、12,000まで盛り返し、この7月下旬から秋(10月)にかけ13,000台まで回復するとされていた。


図1 米国の平均株価(ダウ・ジョーンズ)の推移と将来予測
    出典:Market Vector

 今回の平均株価の下げ幅は図2の赤い点線に相当するものであり、以下に下げ幅が大きなものかが分かる。


図2 米国の平均株価(ダウ・ジョーンズ)の急落(赤い点線)
    出典:Market Vectorの図1より作成

 米政府が今後、どう救済策を打ち出すかによっては、さらに下落することも予想され、サブプライムローン破綻→世界的株価の低迷→ヘッジファンドによる原油・穀物先物への投機という流れが一段と加速する可能性も否定できない。