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2017衆院選結果雑感

青山貞一 Teiichi Aoyama
掲載月日:2017年10月27日  
独立系メディア E−wave Tokyo


 以下は2017年、衆議院選挙結果である。



 青山が告示日の10月10日時点で予測した「悪夢の想定」だが、ひとつだけはずれた。はずれた(×)のは、自民+公明+維新で2/3以上である。何と、あれだけ政権批判が渦巻いていたのに、ふたを開けてみれば自民+公明だけで2/3以上となっていた。

 そう! 自公だけで312(残り4議席決定前段階)となり2/3を超えたのである。しかも、公明が前回議席を大幅に減らしたなかで。もっぱら、自民は無所属立候補で当選した数名を公認しているが。


出典:青山貞一 悪夢の想定

 しかし、全国各ブロック比例の総得票数で見ると、自民+公明よりも立憲+希望+共産+維新+社民 の方が多いことがわかる。これはいつものことであり、さして驚くに値しない。

 以下は比例ブロックの南関東の例である。表にはないが社民党もある。


出典:NHK

 また下は比例東京ブロックの場合である。東京地方選挙区では、野党乱立で票を食い合い結局自民党が圧勝している。しかし、下の票を見るまでもなく、立憲民主+共産だけで自民党を遥かにこしているのである。


出典:NHK

 小選挙区は、野党乱立は致命的で各地で議席大幅減。

 一方、共産、維新が議席を大きく減らしたのは共産票は立憲、維新票は希望に流れたと推察される。

 3分裂となった旧民進党系では、今後、希望は民進幹部を排除していたが無所属当選者(幹部)がどうなるか? 他方、希望当選者で立憲に移る議員がどの程度いるかfs?

 不幸中の幸いは、さんざん解体しろと言われ続けてきた民進党が3分裂したことだ。とくにろくに難易も考えず、ホイホイと前原の言われるままに「希望」に行ったノー天気なノンポリ議員が、3分裂で明らかになったことだ。

 そもそも、「排除」論以前に、小池は下の週刊金曜日の分析図を見るまでもなく、橋下や安倍と変わらぬごりごりの差別主義者であり、いわずとしれた極右の独裁者だ。その呼びかけに、「ヒラメ」で「ヒツジ」よろしく、多くの民進党の議員は恥ずかしげもなく連れ込まれた。

 注)
 「ヒラメ」:上ばかり見ているひと
 「ヒツジ」:誰かがある方向に歩き明日と、む思慮についてゆくひと


出典:週刊金曜日

 今回の選挙では、懸案の「雑居ビル」、「選挙互助会」、「松下政経塾系の二流人材」(ビデオ・ニュース・ドットコムにおける宮台首都大学教授の発言など、従来ぼろくそ批判されてきた民進党議員が、結果として3つに分裂したことである。

 なかでも、公示日直前に枝野議員が中心となり、立ち上げた立憲民主党は、「ヒラメ」で「ヒツジ」よろしく「希望」についていった民進党議員(松下政経塾系議員はこれ)とかなり明確にセパレートされたことである。

 立憲民主党は、公示日直前に枝野議員、長妻議員らによって主体的に立ち上げられた政党であるが、たちまち台風の目となった。結果的に参加した民進党の前職は全員当選するだけでなく、比例区でも先の票にあるように大部分のブロックで自民党に次いで第二位の得票を得て、終わってみれば、なんと野党第一党、54議席を獲得していた。

 無理やりあちこちから230人以上の候補を立てた小池「希望の党」は、立憲民主党に及ばず、49議席にとどまったのである。

 今回の立憲民主党を見れば、日本でも、リベラルや中道左派であっても「まっとうな政党」を「それなりの議員」が主体的に立ち上げれば、国民はそれを見逃さず、投票することが分かったのである。事実、立憲民主党は全比例ブロックに候補をたてた結果、同じく全比例ブロックに候補を立てた自民党と比べ、遜色ない得票を得たのある。これは恐るべきことなのである。

 これは何を意味するのか?

 それはそれなりの見識、正義感、良心がある政党、しかもそれなりの理念、政策、規律ある政党を、それなりの人材で立ち上げれば、日本国民もそれに十分こたえることが立証されたことになる・

 政府自民党に囲われたも同然の日本の大マスコミは、この点を報道しない。また御用コメンテーターや御用コラムニストもこの点を書かないが、これは今後の日本の政治を考察するうえで、極めて重要な視点であるはずだ。

 
 ところで、比例の投票数でいつも自民党+公明党の合計得票を凌駕してきた野党得票であるにもかかわらず、「一強多弱」といれてきたのはなぜか? もちろん、野党が乱立し、しかも相互に罵声を浴びあってきたからだ。

 大きな目標のものとに、大同団結できなかったからだ。もちろん、少しずつ政策が異なることがあっても、ここ一番で連携、大同団結できなかったからである。

 しかし、自民党を見れば極右からリベラルまで人材は多様でありながら、政権、権力を維持するうえで、いざというときには大同団結してきた。たとえば、従軍慰安婦問題ひとつとっても、安倍晋三と河野一郎はまるで異なる。

 政権党は外交、防衛で米国に追随すべしとし、仮に野党が政権を取った場合でもそれが当然という。しかし、今の多極化した世界をみれば、EU,NATOですら米国から距離を置こうとしている。多極化した世界のなかで、外交を中心に米国、EU、ロシア、中国などと日本がうまく付き合えば、今のような軍事一辺倒の安倍政権よりよほど安定した外交が可能となる。これは結果的にCIAや軍産複合体、ネオコンに操作され戦争屋になりさがりつつあるトランプ政権に追随するより、先見性があるだろう。

 つまり、野党もより大局的な視野と見識で外交防衛路線を見極めれば、その分野でもなんとかの一つ覚えの自民政権より「まっとうな政治」となるはずである。

 私見では、今の野党が陥っている最大の問題は、野党の各党が自民党の分断統治策にいつまでもひっかかっているからだと思う。

 分断統治とは、ある者が統治を行うにあたり、被支配者を分割することで統治を容易にする手法。被支配者同士を争わせ、統治者に矛先が向かうのを避けることができる。

 また

 分断統治とは、支配階層が世の中を統治し易くするため、支配される側の結束を分断して、反乱を未然に防ぐための統治法である。 支配される側を一級市民と二級市民に分けて、扱いに差をつける。 すると生活に不満があっても、一級市民は二級市民を見下すことで不満のはけ口にする。

とあるように、せっかく国民(有権者)の半数以上が野党系に投票しながら、政権交代に結び付かないのは、間違いなく、野党各党がこの自民党の分断統治の呪文にがんじがらめになっているからである。

 戦時中、欧米列強、その後大日本帝国も、侵攻、侵略した領土で、この分断統治を行ってきた。

 今の日本の政治も、まさに自民党による分断統治術にはまっているだけでなく、今回の小池氏による策術に前原代表がずっぽりは待ったように、野党側が率先して分断統治の術にはまり込んでいるのである。

 これでは国民の負託にこたえられるわけはない。

 その意味で、野党は自民党による分断統治からの脱却しなければならない!!