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国民投票の基礎知識
(6)脱原発条項を!

青山貞一 Teiichi Aoyama
東京都市大学名誉教授(公共政策論)
掲載月日:2017年11月3日  
独立系メディア E−wave Tokyo


 @手続の概要  A一度あった原案提出  B改正案の落とし穴
 C同床異夢の2/3  D世論調査の行方  E脱原発条項を!
 F改憲・立憲トピックス

 最後に、これは私見だが、野党系は、改憲派が2/3議席を超えることが確実となった時点で、どの条項に加えるかは別として、日本国憲法に脱原発と脱核兵器に関する条項を入れたらどうかと考える。

 もちろん、ステップ1で憲法改正原案としての脱原発を提出するのである。ステップ2 の原案の憲法審査会での審査はまだしも、2/3採決は容易ではないだろうが、衆院を例にとれば、希望の党を含め立憲民主、無所属の会、共産、維新、社民など野党は賛成する可能性は高く、公明はもとより、自民党の会派によっては賛成する可能性もある。

 筆者は今から42年前の1975年、米国カリフォルニア州で行われた原発稼働停止の州民投票(イニシアティブ)現場に立ち会ったことがある。この時、原発稼働停止のプロポジションは失敗したが、周知のように、その後米国各地で原発稼働停止の州民投票(イニシアティブ)が行われ、多くの州で賛成を得ている。

 詳しくは以下の文献をご覧いただきたい。

 ※ 青山貞一  米国いおける市民運動〜原発開発へのかかわりを中心として 技術と経済 1976年2月 

 ※ 山岡則推  カリフォルニア州における直接民主制 国立国会図書館
   
 ※ 大場 淳一=日経BPクリーンテック研究所 2016/06/24 18:24
   米カリフォルニア州のPG&Eが2025年までに原発を廃止〜省エネ、再エネ、畜エネを増加させ、2031年までに電力の55%を再エネに

 米国は連邦国家のため、直接民主制度には日本のような国民投票制度はなく、醜態でのイニシアティブ、レファレンダムがその役割をもっている。多くの場合、イニシアティブでは案件ごとに番号が付けられる。これをプロポジションと言う。

 このイニシアティブは完全な直接民主制度であり、州民の賛否は、州議会を超え決定内容が執行能力をもつことになる。これは州だけでなく、地方自治体にも同様の制度がある。

 日本の場合の住民直接請求や住民投票は、結果を議会に戻すことになっており、多くの場合、住民意思は議会で毀損されている。

 しかし、もし、憲法改正による国民投票で憲法のある条項に、明確に脱原発そして核兵器不所持を盛り込み、国民がその条項に賛成すれば、間違いなく個別政党の政策を超えて、脱原発そして核兵器不所持が日本国の国是となる。

 以下のように、各種世論調査でも、脱原発に国民の過半数以上が賛成していることからも、野党はいざとなったら、ぜひ、これを実現してほしい。

 ※ 原発再稼働に反対6割 本社世論調査  政府の復興対応「評価せず」52% 日経新聞 2016/2/29付日本経済新聞 朝刊

 ※ 原発再稼働「反対」59% 朝日新聞の世論調査 朝日新聞・ハフポスト 2014年03月17日 23時14分 JST | 更新 2014年03月17日 23時18分 JST


つづく