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シルクロードの今を征く
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ヴェネツィア( Venezia、イタリア)

はじめに 3 

青山貞一 Teiichi Aoyama  池田こみち Komichi Ikeda 共編
掲載月日:2019年4月20日
独立系メディア 
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 本稿の解説文は、現地調査に基づく解説に加え、Veneziaイタリア語版を中心にVenice英語版からの翻訳及び日本語版を使用しています。また写真は現地撮影分以外にWikimedlia Commons、さらに地図はグーグルマップ、グーグルストリートビューを使用しています。その他の引用に際しては、その都度引用名を更けています。 

◆ヴェネツィア はじめに3

ヴェネツィア市街


ヴェネツィア  魚の形をしているのが本島
出典:グーグルマップ

 都市としてのヴェネツィアは、アドリア海の最奥部、ヴェネツィア湾にできた潟「ラグーナ(Laguna di Venezia または Laguna Veneta)」の上に築かれた、運河が縦横に走る水の都です。

 ヴェネツィア本島は大きな魚のような形をしており、さらに本島全体が小さな島々からできています。

 その真ん中を全長約3kmにおよぶ逆S字形の「カナル・グランデ(Canal Grande、大運河)」がヴェネツィアの北西から南東へ、市街を2つに分けながら湾曲して流れています。

 鉄道路線と土手を走る車道が島々と本土を結び、ラグーナの外側の長い砂州や海岸の防波堤がこの町を海から守っています。

 実に150をこえる運河が177の島々を分け、運河には400におよぶ橋がかかっています。本稿で紹介する橋はそのうちのごく一部の著名なものです。また市街地と南端のジュデッカ島の間には幅約400mのジュデッカ運河があります。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8



撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

 ヴェネツィア本島の地上では、迷路のように狭くて曲がりくねった路地や通りに自動車は一切入れず、リアルト橋はじめすべての橋は歩行者専用となっています。何世紀もの間市内の輸送を担ったのは、ゴンドラ (gondola) と呼ばれる手漕ぎボートでしたが、今は水上バスやフェリーが市民や貨物を運んでいます。ゴンドラは主に観光用に利用され、人気を博しています。


 ヴェネツィアは、6区を意味するセスティエーレ (sestiere) から成っています。

 6つの区は、①ドルソドゥーロ (Dorsoduro)、②サンタ・クローチェ (Santa Croce)、③サン・ポーロ (San Polo)、④サン・マルコ (San Marco)、⑤カンナレージョ (Cannaregio)、⑥カステッロ (Castello) です。

 ヴェネツィアでは干潟に建物を建てるため、大量の丸太の杭を打ち込みそれを建物の土台としています。そのため、"ヴェネツィアを逆さまにすると森ができる"(地中に丸太が乱立するがごとく大量に打ち込まれたため)、と言われています。

 かつてヴェネツィアは海上に浮かぶ孤島でしたが、オーストリア帝国治世下の1846年にイタリア本土との間に鉄道が敷かれ、後に自動車用道路の「リベルタ橋」も架けられることで、イタリア本土との往来は容易になっています。ただし、ヴェネツィア本島内は自動車での移動は不可能であり、自転車の使用も禁止されています(乳母車、車椅子)は可です。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

 また、カンポ (campo) と呼ばれる広場では、子供用自転車の乗り回しはできますが車や自転車は通れないため、 車はリベルタ橋を渡ってすぐの所にある「ローマ広場」の駐車場に置いて、島内を徒歩か船舶で移動することになります。

 車が入れず、一方で運河が発達していることもあり、主な交通機関は必然的に船になります。水上タクシー、水上バス、渡し船などが運河を用いて頻繁に運行されています。なおゴンドラと呼ばれる手漕ぎの舟がヴェネツィアでは有名ですが、現在では一部の渡し船を除き観光用途で運航されています。

 交通に運河を用いた水上交通が頻繁に用いられることから、運河に面した玄関を持つ建物も多くなっています。また警察や消防、救急輸送も車に代わり、船舶を用いてその業務を行っています。

 現代のヴェネツィアは、他地域への人口流出、水害や地盤沈下、大気や水の汚染、建造物の老朽化など多くの問題に直面しています。1966年の大水害の後には、歴史的な町を守るための国際的な運動がユネスコの主唱で組織されました。

 大潮、低気圧、そしてアドリア海の東南から吹く風「シロッコ (scirocco)」の3つの要因が重なると、「アックア・アルタ(acqua alta、高水の意)」と呼ばれる異常潮位を起こす高潮がヴェネツィア湾で起こります。

 このとき、ヴェネツィアの街中まで水が入り込み、特に一番低い「サン・マルコ広場」は水没します(広場や道路には臨時の高床が組まれ、通行を確保します)。過去に北の対岸の本土マルゲーラ地区で工業用の地下水のくみ上げが行われたことにより地盤沈下が起こり、アックア・アルタによる浸水の水位が1m以上になったこともあります。

 建造物の沈下は、地下の帯水層の流出が原因とされるため、地下水使用の制限やアルプスからの水道の導入などで対処しています。

 更に今後の地球温暖化によって海面上昇が加速されることとなれば、将来ヴェネツィアの街全体がアドリア海に水没してしまうことが懸念されています。

 水没を防ぐために、アドリア海との間の3カ所に可動式の防潮堤を設ける「モーゼ計画 (Progetto Mose)」が提案され、工事も着手されていますが、環境やヴェネツィアの潟(ラグーナ)に与える影響が懸念されるため、市長や多くのヴェネツィア市民の反対もあります。


ヴェネツィア4つづく