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Now on the Silk Road 中国歴史・文化概説

西夏(文化・西夏文字)(1038年 - 1227年)

青山貞一 Teiichi Aoyama  池田こみち Komichi Ikeda 共編
掲載月日:2015年1月22日 更新:2019年4月~6月 更新:2020年4月1日
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 本中国の歴史と文化の解説は、Wikipedia(日本語版、英語版)それに中国の百度百科を日本語に訳して使用しています。また写真は現地撮影以外に百度百科、Wikimedlia Commonsを使用しています。その他の引用に際しては、その都度引用名を記しています

 この部分は参考情報です。必要に応じてごらんください!

◆西夏(文化・西夏文字)


The Art of War, Tangut script 
西夏文字
Source :Wikimedia Commons
孫武 - 宁夏档案馆, パブリック・ドメイン, リンクによる


 西夏文字( Tangut characters)は、西夏王朝(1032年~1227年)初代皇帝李元昊の時代に制定された、タングート人の言語である西夏語を表記するための文字です。

 長らく未解読でしたが、ロシアのニコライ・ネフスキーや日本の西田龍雄によって、1960年代にほぼ解読がなされました。

 漢字と、それを作った漢族を強く意識して作成されており、中国人を意味する「漢人」に当たる文字は「小偏に虫」という差別的な構成で表記されています。

 漢字検索、表記ソフトウェアの『今昔文字鏡』およびUnicodeに登録されており、文章等の電子化が可能となっています。

体系


スティーヴン・ウートン・ブッシェル(英語版)によって書かれた、
漢字と西夏文字37文字の対照表
Source :Wikimedia Commons
BabelStone - Scanned from the "Journal of the North China Branch of the Royal Asiatic Society" Vol.XXX (1895-1896), パブリック・ドメイン, リンクによる


 6,000文字ほどの文字数を持ち、冠や偏・旁等の組み合わせで表記するなど、漢字に似た構造を持っています。基本的に一字一音節です。

 漢字とは異なり象形文字起源ではないため、750余りある各構成要素がどのような起源で作られたのかは未だに定かではなく、要素のあらわす意味が全て解明されている訳ではありません。字全体での意味はわかっていても、なぜその要素を使用しているのか不明の文字も多いと言えます。

 契丹文字の一部の字形と近い要素も存在するが、関連は明らかにされていません。

特徴

 漢字の楷書と同じく、毛筆による筆記に適した、直線と曲げの多い筆画を用いています。毛筆で記す場合には、とめ、はらいなどの筆法も使用されています。

 最も画数の少ない西夏文字でも4画あり、画像に示した「人」の意味を持つものはその一つです。一方画数の最も多いものでも二十数画となっています。

 単一の要素で成立している文字は少なく、複数の要素の組み合わせで構成されている文字が大部分であり、その中でも六書で言うところの「会意」、即ち複数の要素の意味を合成している文字が多く、「形声」即ち意符を音符から成っている文字は比較的少ないと言えます。

 以下に示すのは会意の例である。

 例)「鉄冠」に「細い」で「針」、「木冠」に「細い」で「とげ」、等。

 また、(西夏人の思想で)近い概念の文字には近い字形が使用される。

 例)「頭」の旁を「先」に置き換えて「始」、「頭」の偏を「顔」の偏と置き換えると「額」、等。

 漢字を翻訳したのではなく、別の思想体系で造字されているため、部首のカテゴリや総数は漢字とは異なります。また、ある意味の字が漢字とは別の部首に属す場合も多いと言えます。

 例)「鈴」は漢字では金偏だが、西夏文字では音偏です。

 また、漢字にはない意味を表す部首、例えば否定を表す偏や動詞化を表す冠などもあります。否定を表す構成要素には2種類あり、それぞれ「不」の偏を加える「関係否定字」と、「無」の旁を加える「存在否定字」があります。

 例1) 「小」に「不」の偏を加え「大」(関係否定字)。
 例2) 「精気」に「無」の旁を加え「屍」(存在否定字)。

歴史

 1036年(大慶元年)に公布されたとされています。皇帝が野利仁栄に命じて作らせたとされ、およそ6,000文字がほぼ一斉に公布されたと思われます。

 1227年(宝義二年)に西夏王朝は滅亡しますが、西夏文字はその後も一部で使用され続けました。最も新しい使用例としては、弘治十五年(1502年)の記年のある西夏文字が記された石幢があります。


西夏文字で書かれた仏教の経典
Source:Wikimedia Commons
Folio of a wooden typeset book in Tangut printed during the second half of the 12th century - Ningxia Institute of Cultural Relics and Archaeology, Bàisìgōu Xīxià Fāngtǎ 拜寺沟西夏方塔 [The Western Xia Square Pagoda at Baisigou] (Beijing: Wenwu Chubanshe: 2005) Colur Plate XI no.2, パブリック・ドメイン, リンクによる



西夏文字で書かれた仏教の経典 「金光明最勝王經」
Source:Wikimedia Commons
BabelStone - http://iea.cass.cn/mzwz/35/sample35-2.htm, パブリック・ドメイン, リンクによる


宋・歴史つづく