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 シルクロードの今を征く
Now on the Silk Road

 イラン5 政治・国際

青山貞一 Teiichi Aoyama  池田こみち Komichi Ikeda 共編
掲載月日:2015年1月23日 更新:2019年4月~6月、2020年7月31日公表予定
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イラン
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 次はイラン5です。

◆イラン

人権問題

 1979年のイラン・イスラーム革命後、シャリーアに基づく政治体制が導入されたこともあり、同性愛者・非ムスリムの人権状況は大きく低下しました。

 憲法では公式にシーア派イスラームの十二イマーム派を国教としており、他のイスラームの宗派に対しては“完全なる尊重”(12条)が謳われています。

 一方非ムスリムに関しては、ゾロアスター教徒、キリスト教徒、ユダヤ教徒のみが公認された異教徒として一定の権利保障を受けていますが、シャリーアにおけるイスラームの絶対的優越の原則に基づき、憲法では宗教による差別は容認されています。

 バハーイー教徒や無神論者・不可知論者はその存在を認められておらず、信仰が露呈した場合は死刑もありえます。また非ムスリム男性がムスリム女性と婚外交渉を行った場合は死刑なのに対し、ムスリム男性が同様の行為を行った場合は「鞭打ち百回」であるなど、刑法にも差別規定が存在します。

 イスラームからの離脱も禁止であり、死刑に処されます。2004年にはレイプ被害を受けた16歳の少女が死刑(絞首刑)に処されました。なお加害者は鞭打ちの刑で済んでいます。

 女性に対してはヒジャーブが強制されており、行動、性行為、恋愛などの自由も著しく制限されています。イラン革命前では欧米風の装束が男女ともに着用されていましたが、現在では見られません。同性愛者に対しては、共和国憲法で正式に「ソドミー罪」を設けており、発覚した場合は死刑となります。

 刑罰においても、シャリーアに基づくハッド刑の中には人体切断や石打ちなど残虐な刑罰が含まれており、また未成年者への死刑も行われています。

 イランにおけるこれらの状況は、世界の多数の国の議会・政府、国際機関、NGOや、隣国イラク国民からも人権侵害を指摘され、人権侵害の解消を求められています。

軍事

 国軍として、陸軍、海軍、空軍などから構成されるイラン・イスラム共和国軍を保有しています。

 イランは核拡散防止条約(NPT)に加盟しています。

準軍事組織

 また、国軍とは別に、パースダーラーン省に所属する2つの準軍事組織保有しています。1979年にイスラム革命の指導者ホメイニー師の命で設立された、志願民兵によって構成されている準軍事組織「バスィージ(人民後備軍)」が存在しています。設立時には2,000万人の若者(男女別々)で編成されました。この数字は国民の27%超です。

 内務省法秩序警備軍:国家憲兵に相当。
 イスラム革命防衛隊(パースダーラーン)
 ゴドス軍(Quds Force)
 バスィージ(Basij):民兵部隊

国際関係


イラン国内に外交使節を派遣している諸国の一覧図。
Aquintero82 - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, リンクによる
Source:Wikimedia Cmmons



アメリカ合衆国のCIAが2004年に作成した、イランの石油と天然ガス関連施設の地図。イランに埋蔵されている石油はモハンマド・モサッデグ首相の罷免や1980年代初頭の第二次石油危機などを通じ、20世紀後半の国際関係に多大な影響を及ぼした。
CIA - CIA World Fact Book, パブリック・ドメイン, リンクによる
Source:Wikimedia Cmmons


イラン政府の対外政策の基本

 2009年現在のイラン政府の対外政策の基本的な思想は、全ての国家、国民との公正かつ相互的な関係構築をすることです。

シリアとの関係

 シリアは他のアラブ諸国と異なり非スンナ派政権である事に加え、イラン・イラク戦争ではシリア・バース党とイラク・バース党との対立も絡み、シーア派が国民の大多数を占めるイランを支持しました。

 イランとは現在でも事実上の盟邦関係を継続中で、反米・反イスラエル、反スンニ派イスラム主義、国際的孤立化にあるなど利害が一致する点が多いと言えます。近年ではシリア内戦でイランがアサド政権を支援するなど、政治面の他、経済・軍事面でも一体化を強めつつあります。

サウジアラビアとの関係

 近年ではイラク戦争やアラブの春の混乱で、イラク、シリア、エジプトなどの中東の有力国が国力を落とす中、相対的に中東におけるイランとサウジアラビアの影響力が拡大しました。それぞれシーア派とスンナ派の盟主として、シリアやイエメンの内戦では異なる勢力を支援し事実上の代理戦争の様相を呈している他、両国の外交官の追放など対立が表面化していまする。


イラン6へつづく

North part of Tehran photographed from the top of Milad tower in a clean air. On Nature Day people leave
the city to go out into the countryside and the number of cars decreases. Because of that, favorable wind
and after three days of rain, it was possible to photograph Tehran in its cleanest condition.
Amirpashaei - استودیو پاشایی, CC 表示-継承 4.0, リンクによる
Source:Wikimedia Commons