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大飯原発再稼働をめぐる
深刻な2つの大きな問題

青山貞一 
東京都市大学名誉教授
環境総合研究所顧問(東京都品川区)

掲載月日:2012年5月31日

 独立系メディア E−wave Tokyo

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 民主党4大臣、それに野田総理が大飯原発再稼働に向けてまっしぐらの状況にありますが、先ほど書きましたように、実際大きな地震、津波が起きた場合は、地政学、地理、気象学的にみて大飯単独の問題ではなく、大飯、高浜、美浜、敦賀からの影響が相乗的、累積的なものとなる可能性が大です。

◆青山貞一・鷹取敦:原発事故の影響範囲推定 B若狭湾地域の概要http://eritokyo.jp/independent/aoyama-3d003.htm

Teiichi AOYAMA <aoyama@eritokyo.jp> wrote:
 現在は大飯原発だけの再稼働を問題にしていますが、現実には上記> のように大飯、高浜、美浜、敦賀が事故となった場合には、4カ所、> 最大約15機の原発からの累積的な積算線量が風下の自治体に到着す> るので、福島第一原発の比ではなくなる可能性もあります。米国の国家環境政策法(National Environmental Policy Act of> 1969)では、単品ではなく、複数の発生源からの累積的な環境影響の> 予測、評価を事業者に義務づけていますが、米国から28年後に制定> された日本の環境影響評価法では計画事業(Planned Project)以外の> 事業はせいぜい背景(Background)の汚染として扱われるにすぎま> せん。私たちが行った若狭湾地域に立地する膨大な数の原発に関しては> この累積的影響の視点はきわめて重要なものとなります。


 もうひとつ、これも以前、指摘したものですが、「テロ」的観点からの対応がありえます。

 以下にそれをブログにしていますので、ご覧ください。

◆青山貞一:原発再稼働審査と「テロ行為」
http://eritokyo.jp/independent/aoyama-democ1501..html

 北朝鮮のミサイル発射に関しては、松下政経塾政権は、沖縄本島、宮古島、石垣島などに膨大な人員それにPAC3などのを配置しました。まるで戦時下みたいな対応でした。

 もし、北朝鮮のミサイル発射にこれだけ対応するなら、なぜ、本海を挟んで北朝鮮から最も近い若狭湾の15機に及ぶ原発にミサイルが撃ち込まれることを考えないのでしょうか?

 リスク管理論から見て、きわめて不可思議なことです。上記のブログに書いたように、米国が湾岸戦争、アフガン戦争などで使ったGPS誘導巡航ミサイル(トマホーク)なら、数百km離れたところから10mの精度で標的を攻撃する能力をもっています。

 この技術はそれほど高度ではありません。

 以前、私の研究所の大気汚染予測システム(ソフトウェア)をシリアの王立科学アカデミーが購入希望し、JICAに購入依頼をしたとき、日本政府は私たちの研究所に、シリアがミサイルの弾道計算に使用する可能性があるので、法にのっとって審査を受けてくれと言ってきました。

 上記のシステムは、今回原発シミュレーションで使用している3次元流体力学モデルと違い、国が憂慮する内容のソフトではないのですが、しかたなく審査を受けました。ただし、審査料は国にもってもらいました。

 国がここまで気をつかうなら、なんで上記のテロが審査の課題、テーマとなっていないのか、それも具体的技術的レベルでなっていないのか、不思議です。