エントランスへはここをクリック   


新潟県知事の再質問を
めぐる梶山弁護士との議論
青山貞一
掲載月日:2012年5月30日
 独立系メディア E−wave Tokyo


 以下は、青山貞一が泉田知事が環境省に出された再質問を巡っての青山と梶山正三弁護士との議論の一部です。

梶山正三氏
東京工業大学大学院博士課程卒、東京都公害研究所(現、東京都環境科学k研究所)を経て弁護士登録。丹沢やまなみ法律事務所を経て現在、駒ヶ岳法律事務所の弁護士。理学博士で弁護士という希有の経歴の持ち主であり、過去、数多くの廃棄物訴訟、環境訴訟、公共事業関連訴訟に係わる。ゴミ弁連会長。ゴミ弁連は、たたかう住民とともにゴミ問題の解決をめざす(100人の)弁護士連絡会の略である。

◆青山、池田との関係
梶山弁護士は、青山貞一が代表幹事、池田こみちが副代表となっている環境行政改革フォーラムの司法担当幹事を歴任されている。また青山が長野県知事の政策顧問をしていたときは、梶山正三(座長、弁護士)、青山貞一(当時、武蔵工業大学教授)、北村(上智大学法学部教授)の3人が、知事の依頼により全国に先駆けた廃棄物関連条例案づくりを3年かけ行っている。池田こみちとは、嘉田由紀子氏が滋賀県知事に就任したとき、知事の依頼によりRD最終処分場問題対策委員会滋賀県RD最終処分場関連検討会にともに委員として参加、群馬県下仁田町の産業廃棄物最終処分場建設を巡る生活環境保全専門委員会に委員として参加、長野県北御牧村上田広域廃棄物焼却施設建設に係わる対策委員会に委員として参加している。

◆青山、池田と連携関係したゴミ関連事件
梶山弁護士と青山貞一が実際に関わった主な裁判には、東京都日ノ出町に設置されている巨大な広域最終処分場事件、そして神奈川県米軍厚木飛行場産業廃棄物ダイオキシン事件、渋谷清掃工場住民訴訟などがある。とくに米国政府からの依頼で実施した厚木基地ダイオキシン裁判(民事操業差し止め仮処分)は実質勝訴。産廃施設は操業を停止するだけなく、焼却施設・処分場はすべて撤去されている。さらに池田こみちとは沖縄県宮古島産廃事件がある。



青山貞一様

 こんにちは。梶山です。

 情報ありがとうございます。
至極まともな質問内容ですね。感心しました。

 18年前に新潟県知事を被告とする産業廃棄物処分業許可取消請求訴訟の代理人を務めましたが、その時の新潟県の対応はほんとうにひどいものでした。誰にでも分かる業者の嘘を庇い、80トン/日の焼却炉を5トン/日と認定し、明白なる不法投棄の事実を認めないなど、正に「事業者代理人」としての県行政の面目躍如たるものでした。

 この訴訟は、判決直前に、新潟県知事が自ら産業廃棄物処分業の許可を取り消したので、訴え取り下げで終わりましたが、当時の「ひどすぎる県政」(当時の知事は平山征夫)と比して、上記質問内容のまともさは、正に隔世の感があります。



梶山正三様

 青山貞一です。

 先ほどの地震は東京で震度4とのことですが、すごい揺れました!
 
 ところで新潟県知事の再質問ですが、仰るとおり秀逸ですね。

 調べたところ、この方は京大法卒、キャリアー官僚として通産省に入省し、その後、通産省系、国土交通省系などの省庁を経て知事になっています。

1981年3月 新潟県立三条高等学校卒業
1987年3月 京都大学法学部卒業
1987年4月 通商産業省入省。同期に棚橋泰文など
1994年6月 ブリティッシュコロンビア大学客員研究員
1995年4月 資源エネルギー庁石油部精製課総括班長
1996年4月 産業基盤整備基金総務課長
1998年6月 通商産業省大臣官房秘書課課長補佐
2001年7月 国土交通省貨物流通システム高度化推進調整官
2003年7月 岐阜県知事公室参与
2003年11月 岐阜県新産業労働局長
2004年10月 新潟県知事選挙出馬、当選(1期目)。
2008年10月 新潟県知事選挙出馬、当選(2期目)。

 うがってみれば、環境省なんて三流官庁と思っているでしょうし、現在の知事という立場からすれば、「一体、環境省は何様なんだ」と言うことだと思います。行間からそういう息づかいが感じられます(笑い)。

 信じられないことですが、がれき特措法の制定過程でまったく都道府県、政令市、基礎自治体の長らの意見聴取や意見交流をしていないはずです。

 これだけ地方自治の在り方を一変させ、地方自治を蹂躙するような法律を制定するに際し、一番の関係当事者の考えを聞かないなんてありえないわけです。

 国会議員は昨年夏は完全思考停止、「絆」なんていう言葉と心情のもと、また地方自治法、廃棄物処理法、大気汚染防止法などにおける自治体の位置、役割などまともにわかる国会議員がいたとも思えず、形式的には議員提案法案なので、委員会審議もなくいぎなり本会議にもちあげ、一気に全員賛成でつくりあげられた法律だと思います。

 昔から国会議員はとかく環境庁、環境省に甘いです。「環境」=クリーンのイメージをもっていますが、その実態はトンでもありません。外郭団体もたくさんつくり天下りもすごいのです。廃棄物行政が環境省に含まれてからは焼却炉メーカーがらみの利権もあると思います。

 今回、こんな法律が簡単に通ったのは、国会議員が皆勘違いしていることも背景にあると思います。3.11以降、環境省は焼け太りの利権官庁といえます。

 ところで、これほどできの悪い法律、環境法は見たことがありませんし、制定過程に透明性のない法律も見たことがありません。さらに衆議院法制局、参議院法制局などは一体何をしていたのかなとさえ思えます。

 さらに、がれき特措法は、当初除染施策をメインにしており広域処理は実質的には後付けのはずです。したがって、省令、規則はすべてあとまわし、事実施行規則的なものがでてきたのはこの春です。しかも、パブコメも募集しないか、しても1週間足らずで、突然ちんけな改定案がでてきました。

◆鷹取敦:環境省の異様なパブリックコメント-警戒区域等解除地域の廃棄物処理の課題

4.意見募集の結果
(1)意見募集対象
放射性物質汚染対処特措法施行規則改正案について
(2)意見募集の周知方法
電子政府の総合窓口、環境省ホームページ
(3)意見募集期間
平成24年4月3日(火)〜4月9日(月)
。。。。わずか1週間
(4)意見提出方法
電子メール、郵送またはファックス


 これについては鷹取さんが逐次課題を指摘しています。もし、まともにパブコメを募集していれば、指摘することができましたが、実質パブコメがないまま施行規則を出してきたのでどうしようもないのです。

◆鷹取敦:受入自治体の不信と不安を深める災害廃棄物広域処理基準

 泉田新潟県知事は、上記のような経歴を持っているので、なんだこの法律はと思ったと思いますし、いきなり基礎自治体が補助金や交付金欲しさ(95%の補助率、何でもかんでも国が費用を負担する)に飛びついたり、東京都や島田市のように利権的にとびつくありさまをみるに及び、文面からはかなりの怒りを感じます。

 利権とこそ言っておりませんが、以下のように結果的に今回の環境省の政策、施策が利権にまみれていることを示唆していますね。

岩手県のホームページによれば宮古地区広域行政組合の処理単価が1トン当たり16,300円なのに対し、財団法人東京都環境整備公社の広域処理単価(運搬費含む)は1トン当たり59,000円となっている。広域処理引受量162万トンで差額を算出
すると、約700億円となる。)


 いずれにしても、梶山さんや青山、池田が指摘してきたことが第一線の知事、それも原発を抱える新潟県の知事から環境大臣に相当厳しく出されたことの意味は大きいと思います


青山貞一様

 こんにちは。梶山です。

 そうですか。泉田知事の経歴から見れば、確かに環境省は「成り上がり者」という感覚なんでしょうね。

 特措法の成立過程は私自身は、良く知りませんでしたが内容を見ると、「どさくさ紛れに作った」お粗末さが歴然としています。

 2つの特措法(99号と110号)のうち、後者の内容が特にひどいですね。

 令状も必要としない強権的調査、除染の実行、国の基準や手法に該当しない方法は認めず、財政的負担も全て拒否する。

 地域住民に対しては、意見聴取や意見陳述の機会も与えない。県行政、市町村行政に対しては、「意見を聞く」だけでよい。

 除染対象とした土地の「所有者」に対しても、除染やその前提としての調査について「同意を求める」必要はあるが、

 最終的には令状なしに、調査や除染が強行できる。これでは、所有権の蹂躙も恣意的にできます。

 旧建設省や旧通産省の時代でも、これほど、適正手続を無視し、地方自治を無視した法律はなかったと思います。

 もうひとつひどいのは、施行規則ですね。法律110号の条文は60ページですが、国会のコントロールの効かない「規則」の方は110ページもあって、しかも、短期間に作られたためもあって、杜撰そのものです。

 無能な環境省が、これほど強大な公権力を手にするのは、「気違いに刃物」の俚諺がそのまま当てはまります。

草々