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放射線と生活習慣の
リスク比較調査報道について

青山貞一 Teiichi Aoyama
東京都市大学環境情報学部教授
環境総合研究所所長
掲載月日:2011年5月16日
独立系メディア E−wave

 
 以前、日本経済新聞が一面にトップに同じ内容の記事を掲載していましたが、ついにNHKも政府の「問題ない、影響ない」キャンペーンの片棒を堂々と担ぎ出しましたね!

 2000mSv(2Sv)の放射線による人体影響が喫煙や毎日3合以上の酒を飲む習慣のある人と同じ程度のリスクとのことです。

 2シーベルトと言えば、JCOの事故で亡くなりかけた3人目の方は、確か1.6Svの被曝だったはずです。JCO級の事故をまったく質が異なる喫煙や飲酒と同列にリスクを論じること自体、ナンセンスでしょう。

 この種のリスク評価は、たとえば航空機事故や自動車事故がよく引き合いに出されますが、DNAレベルでの遺伝子損傷や遺伝毒性、催奇形性、胎児毒性などを伴う放射線の人体影響を死亡者数だけで航空機事故や自動車事故と対比することそのものがナンセンスであり、情報操作による世論誘導と言えましょう!

 以下の記事では、周知のように外部からの被曝(外部被曝)だけを問題にしており、食物、水などから体内に入る被曝についてはまったく触れていません。2000mSv(2Sv)の放射線被曝を受けるような生活環境だったら、それこそ飲料水、野菜はじめ口から各種の放射性物質を体内に摂取する可能性は大です。

 国立がん研究センターが出所だとすると、おそらく医療現場でのCTなどの放射線被曝(ただしこれも外部被曝)のパニックを抑える意図も強く感じられます。

放射線と生活習慣 リスク比較調査
(5月15日 22:25更新) NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/genpatsu-fukushima/20110515/2225_houshasen.html

東京電力福島第一原子力発電所の事故で、放射線の影響に関心が高まるなか、1年間に浴びても差し支えないとされる量の100倍に当たる100ミリシーベルトを被ばくしたときのがんの発症率の増加は、野菜不足や受動喫煙の場合とほぼ同じだとする調査結果を、国立がん研究センターがまとめました。

国立がん研究センターでは、放射線の影響を正確に理解してもらおうと、広島と長崎で続けられている被爆者の追跡調査と、センターがこれまで行った生活習慣についての研究を比較しました。

その結果、1年間に浴びても差し支えないとされる量の100倍に当たる100ミリシーベルトを被ばくしたときのがんの発症率は、通常の1.08倍に増加し、野菜不足や受動喫煙の場合とほぼ同じでした。

また、200ミリシーベルトから500ミリシーベルトの放射線を浴びたときのがんの発症率は、運動不足や塩分の取りすぎとほぼ同じく、通常の1.2倍に増加していました。

喫煙や毎日3合以上の酒を飲む習慣のある人と同じ程度の、通常の1.6倍にまでがんの発症率が高まるのは、2000ミリシーベルトの放射線を浴びたときだったということです。