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グアム現地総合調査


チャモロ族と文化

青山貞一 Teiichi Aoyama 池田こみち Komichi Ikeda
2019年1月24日公開
独立系メディア E-Wave Tokyo 
無断転載禁

グアム島全体目次

 チャモロ族と文化    チャモロ族の出自と文化

 チャモロ族 (Chamorro) は、グアムを含むミクロネシアのマリアナ諸島の先住民です。チャモロは、スペイン語の「刈り上げた」や「はげ」という意味を表す言葉です。チャモロ以前は、外部に対してはタオタオ・タノ(土地の人)と自称していました。
 
歴史

 本島には、紀元前3000年から東南アジア系の移住民が住み着いたと考えられており、その人たちが今日の先住民チャモロ人の祖先とされています。

 そのことを裏付ける遺跡が、ラッテストーンです。 スペイン人との接触がある17世紀以前は4万人から6万人の人口を保持していましたが、1710年の人口調査ではグアム島とロタ島の人口は3539人に激減していました。

 人口激減の背景には、スペイン人による殺戮や、天然痘などの疫病があるとされています。

労働者確保のためメキシコ人やフィリピン人を移住させる政策を積極的に採ったことにより、彼らとの混血化が進み、純粋なチャモロ族はすでに存在しないと言われていますが、チャモロ語については、公用語の英語とともに広く使用されています。

親族組織

 母系制のクランが基本単位です。


 以下の主な出典は参考:グアム政府観光局公式Webです。

グアムの島民

 グアムに旅することは、それぞれ違う異国情緒を持つ地球の四大陸をまとめた場所に行くようなもの。グアムは西太平洋の中心地と見なされており、ミクロネシアでは間違いなく最も国際色豊かな観光地であり、人種のるつぼである米国を体現している場所のひとつです。

 グアムには先住民であるチャモロ人や「州」出身の米国人の他に、多数のフィリピン人、中国人、日本人、韓国人、ミクロネシア諸島の人々と、少数のベトナム人、インド人、ヨーロッパ人が暮らしています。

 1990年の国勢調査のデータによると、島の人口構成比はチャモロ人43%、フィリピン人23%、他の民族15%、白人系14%、グアム以外の太平洋諸島出身者5%となっていました。島民の約半数がグアム生まれで、70%が34歳以下の若年層です。

人口

 2010年の国勢調査では、総人口は15万9358人。2000年の人口から2.9%増えています。

チャモロ文化  

 グアムには見逃せない魅力があります。それはグアム独自の文化。征服者の上陸、戦争、伝染病の流行、統治政府の交代を乗り越えて、連綿と受け継がれてきた伝統と習慣は今も島に息づき、島民の誇りとなっています。

 新石器時代に築かれた土台に、さまざまな歴史的事象が影響を与えて形成されてきたグアムの文化は現在、活気にあふれた近代的な生活様式へと発展を遂げています。

 17世紀以来、カトリック教会が島の各地区の活動の中心となってきました。今日でも、地区にはそれぞれ守護聖人がいて、住人が自分たちの守護聖人の祭日には、入念に準備したフィエスタと呼ばれる村祭りを開いてお祝いします。

 こうしたフィエスタには、村人だけでなく、島民全員が参加できます。島民は今でも家族の行事として、洗礼式のパーティー、ファンダンゴ(結婚式、9日間の祈り、葬儀、命日のロザリオの祈り)などを行っています。これらの行事すべてに、豊かなスペインの伝統の影響がうかがえます。

 スペインの影響は、メスティーサと呼ばれる女性のファッションや、島の南部の村々に残る建築様式にも見ることができます。無数の米国人、ヨーロッパ人、アジア人、ミクロネシア人、その他の訪問者たちがそれぞれ、島民の余暇の過ごし方や好みに影響を与えてきました。そのような影響はあらゆる側面に見られますが、島の食文化ほど多文化の影響が鮮明に現れているものはないでしょう。

 島で開かれるフィエスタやその他のパーティーでは、家族総出でレッドライス、シュリンプパティ、フィリピン風焼きそばのパンシット、スペアリブやチキンのバーベキュー、タロイモの葉をココナツミルクで煮たものなど、おいしい郷土料理を山ほどつくってテーブルいっぱいに並べます。

 もうひとつ、忘れてはならない美味はケラグエン。通常は、チキンをあぶり焼きして細かく切ったものに、レモンの絞り汁、削ったココナツ、トウガラシを混ぜてつくります。醤油、レモンの絞り汁またはビネガー、トウガラシ、タマネギを混ぜてつくる激辛フィナデニソースをかければ、忘れられないほどおいしいケラグエンのできあがり。

 島の人々はご馳走を腹いっぱい食べた後に、よくプグア(ビンロウヤシの実)にライムパウダーをふりかけ、トウガラシの葉に包んだものを噛んで楽しみます。

 音楽も、島民の生活に欠かせない要素。バレンバトゥーザンなどの伝統楽器を使った演奏は、チャモロ文化を披露する場で呼び物となっています。

 中が空洞になったひょうたんにワイヤーを1本張ってつくった楽器を、裸のお腹に押し付けるように持って弾くと、誰もが聞き惚れる美しい音が流れます。また、長らく忘れ去られ、消滅しかけていたノーズフルート(鼻笛)も力強い復活を見せています。

 「カンタン・チャモリータ」は、島民の間で世代を超えて受け継がれ、愛されている歌遊びです。編み仕事、トウモロコシの皮むき、刺し網漁など、大勢で長時間をかけて作業を行う際、労働を楽にする手段としても歌われてきました。

 誰かが4小節から成るお決まりのチャント(詠唱)に即興を加え、グループの別の人にロマンチックに、またはふざけた調子で呼びかけます。今度は呼びかけられた相手が歌い手となり、次の誰かに呼びかけ、その人がまた別の誰かに呼びかけるといった具合に、大勢で何時間も歌をつないでいきます。

 現代音楽は、フィエスタ、ファンダンゴ、自宅の庭に集まる気軽なパーティーまで、あらゆる社交の場に欠かせない要素のひとつとなっています。チャモロ、米国、フィリピン、その他さまざまなアジアの楽曲がよく演奏されています。

 タオタオモナ村の民話(先祖の霊の話)、絶望した恋人同士が恋人岬(別名: プンタン・ドス・アマンテス)から身を投げたという伝説、人魚になったシレナという美しい娘の言い伝えなど、グアムに残るさまざまな民話や伝説が、島の豊かな伝統舞踊の題材となっています。

 グアムの伝統工芸は現代にも受け継がれ、確固とした存在感を示しています。文化的なフェアや展示会に足を運べば、大抵は編みや木彫りの名人の技が見学できますし、時には鍛冶屋の作業もご覧いただけます。

 編み職人は伝統的に用いられてきたパンダヌスの木かココナツの繊維を素材に使い、様々な大きさの籠、手提げ袋、帽子、敷物、壁掛けなどを編みます。木彫り職人はイフィルの木やパゴの木を切ってテーブル、壁飾りの額、人間や動物を象った置物、日用品などをつくります。

 伝統工芸は、島に継承されている芸術の伝統を保存することを目的とした徒弟制度をベースとした研修プログラムを通じて、若い世代に受け継がれています。

 最近の例で言えば、ある鍛冶の名工がココナツのおろし金、鍬、なた、銛などの便利な鉄製の農具や漁具をつくれるようになった弟子3人を卒業させました。鍛冶職人はこれ以外にも、ビンロウの実を切るハサミ、編み道具、小刀などもつくっています。



撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900 2018-4


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