エントランスへはここをクリック   

バルト3国現地調査 リトアニア
カウナス・ナチスドイツによる
バルト3国殺害数


青山貞一 Teiichi Aoyama
池田こみち Komichi Ikeda

10 April 2010 無断転載禁
初出:独立系メディア「今日のコラム」

デンマーク  リトアニア  ラトビア  エストニア  フィンランド  特集全体
【リトアニア・ヴィリニュス】 【リトアニア・カウナス】
ヴィリニュス到着 ヴィリニュスからカウナスへ
ヴィリニュスの概要 カウナスの概要
【ヴィリニュス歴史地区】 【カウナス第9要塞博物館】
旧市庁舎から夜明けの門 第九要塞博物館@
ヴィリニュス大聖堂 ナチス・ドイツによるバルト3国殺害数
聖ヨハネ教会とヴィリニュス大学 第九要塞博物館A
ヴィリニュス大学周辺の教会 バルト3国におけるユダヤ人虐殺
聖アンナ教会と聖ミカエル教会 【カウナス歴史地区】
聖ペテロ・パウロ教会 カウナス市街へ
杉原千畝記念碑 聖ペテロ・パウロ大聖堂
3つの十字架の丘 旧市庁舎・ヤコブ教会
【ヴィリニュス博物館】 カウナス城・ネムナス川
KGB(絶滅)博物館@ 【シャウレイ・十字架の丘】
KGB(絶滅)博物館A カウナスから「十字架の丘」へ
KGB(絶滅)博物館B シャウレイの丘
国立ユダヤ博物館 「十字架の丘」の歴史

●2月17日(水) カウナス、ナチス・ドイツとバルト3国

 ここで私たちがポーランド現地調査時に調べたナチス・ドイツによるユダヤ人の強制連行、強制収容、殺害とバルト3国との関係について以下に紹介しておこう。


■ナチス・ドイツと東欧における強制収容施設


 本研究(昨年のポーランド現地調査)では、ナチス・ドイツによるこれら強制収容所及び絶滅収容所の主な施設を現地視察することにより、第三者として前代未聞の強制収容の実態を把握、分析することにより、日本の若者ら次世代に戦争がもたらす狂気と悲惨、絶望などを周知させることを目的としている。

 第二次世界大戦中、ナチス・ドイツによるユダヤ人などの強制収容、強制労働、銃殺、虐殺などは、欧州各地に及んでいる。

 下図は、ポーランドを中心にドイツ、オーストリア、オランダそしてバルト三国における強制収容所及びいわゆる絶滅収容所の位置を示したものである。


東欧おけるナチスドイツの強制収容所の位置

 最も世界的に有名な施設は、ポーランド南部にあるアウシュビッツ・ビルケナウ強制収容・絶滅所であるが、それ以外にもポーランドのマイダネク、トレブリンカがある。

 また第二次世界大戦の初期に建設されたダッハウ、ザクセンハウゼンなどドイツの施設、マウトハウゼンなどオーストリア、オランダ、ベルギーの施設、さらに北東部のバルト三国にも施設が多数あった。

■初期におけるナチス・ドイツによるバルト3国及びロシア
 における強制収容施設の位置


 下図は、特別行動部隊によりユダヤ人等の処刑が実施された場所を示すもので、1941年12月に作成された報告書に含まれていたものである。


特別行動部隊Aによって実行されたユダヤ人処刑

 「秘密帝国問題」と題されたこの地図は、バルト海沿岸地域で銃殺したユダヤ人の数を示している。

 上図にあるユダヤ人処刑数は以下の通りである。

 リトアニア         136,421
 ラトビア           25,258
 エストニア            963
 
 ウクライナ         41,828
 ロシア(ソ連)        3,600  
 

 資料には「いまだ我々の手元にいるユダヤ人の推定数は128,000」と書かれてiいる。(筆者注、ここでいう推定数はリトアニアにおける数値)

 特別行動部隊の兵士が1941年9月に撮影した写真ではウクライナのヴィンニツァ (Vinnitsa)で、その地最後のユダヤ人を殺害しようと準備している様子が映し出されている。

 ユダヤ人は多数の死体を埋める穴の前で跪かせられており、「ヴィンニツァの最後のユダヤ人」という貼り紙がしてあった。

 ヴィンニツァとその周辺出身の28,000人の全ユダヤ人が虐殺された。ホロコーストはドイツのみでなく、ドイツ占領地域に進攻した連合軍やドイツに追従していた枢軸国によっても目撃されている。

 提出された証拠の中には、連合軍が収容所に踏み込んだときに解放された囚人や付近の住人の証言の他に、収容所の存在を示したフィルムやスチル写真も存在している。

■バルト三国におけるユダヤ人等の虐殺推定数
  1941年12月時点

 エストニア、ラトビア、リトアニアのいわゆるバルト三国におけるドイツナチスによるユダヤ人虐殺数は、1941年12月時点で以下の数字がある。

バルト三国
 ・リトアニア            138,421人
 ・ラトビア               35,238人
 ・エストニア                963人


■バルト三国にあったナチスドイツの強制収容所

 以下はバルト3国にあったナチス・ドイツの強制収容所のリストである。リトアニアのカウナスにある第九要塞収容所だけでなく、リトアニア、ラトビア、エストニアには多くの強制収容所が存在していた。

◆エストニア Estonia

・バリバラ Varivara: 

 エストニア全土でドイツ占領下収容者3万1千人が殺害。
 ソ連占領下でも粛清があった。

・クルーガ Klooga

◆ラトヴィア Latvia

・リガ Riga
 Riga-Kaiserwald   Dundaga  Eleje-Meitenes  Jungfernhof
 Lenta  Spilwe

◆リトアニア Lithuania

カナウス Kanaus 
 Aleksotaskowno   Palemonas   Pravieniske   Volary

■ロシアにおけるユダヤ人等の虐殺推定数
   1942年12月時点

 下の資料は、ナチスのヒムラーからヒトラーへ送られたナチス・ドイツ占領下のポーランドで行われた囚人処刑に関する報告書である。

 本書類はホロコーストで行われた大量虐殺行為に対してヒトラーの共謀と是認があったことの証拠としてニュルンベルク裁判の際に提出された。

 南ロシア地方、ウクライナ地方、ビャウィストク地方にて、無法者の共犯者と容疑者として4ヶ月の間にユダヤ人だけで36万3211人が殺害されているという。


囚人処刑に関するヒムラーからヒトラーへの報告書第51号
(1942年12月)

以下には参考のため現在のベラルーシュにおける数を示す。

ソ連
 ・ロシア(ベラルーシュ)     41,828人
 

つづく


【参考資料】
・地球の歩き方、「バルト3国、エストニア・ラトヴィア・リトアニア」、ダイヤモンド社
・Wikipedeia English Edition