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放射線測定器、
文科省が業者に数値改ざんを
要求記事を読んで
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青山貞一
東京都市大学大学院環境情報学研究科
掲載月日:2011年12月10日
 独立系メディア E−wave Tokyo


 ついに心配していたことが起きた!? 

 私たちは今まで福島県に5回、空間放射線量の測定で現地調査してきた。来週(12/25-27)も、福島県会津若松地区を対象に、現地調査を行う。

      
   今までに行った福島第一原発事故関連の放射線測定現地調査

 
 D福島県南部津波被災地現地調査 2011年10月16日
  調査実施者:青山貞一、鷹取敦、青山伸

 C宮城県・福島県北部津波被災地現地調査 2011年9月17日〜19日
  調査実施者:青山貞一、池田こみち、鷹取敦

 A福島県津波被災地現地調査 2011年6月18日〜20日
  調査実施者:青山貞一、池田こみち、鷹取敦

 @福島県南部・茨城県北部津波被災地現地調査 2011年4月15日〜17日
  調査実施者:青山貞一、池田こみち、鷹取敦



 私たちが、なぜ、この種の放射線測定を自腹を切ってまで継続しているかと言えば、その答えはきわめて簡単である。

 国、自治体、東電、研究者らが行う測定結果に疑義を抱いているからである。まして東電や国は事故を起こした当事者である。その当事者が、いくらこれが正しい測定値だと言っても、到底国民の信頼を得ることはできない。

 たとえば計測機器の誤差問題ではないが、放射線測定に関しては、測定の方法についても当事者である文部科学省は、事故当初から測定する高さなどについて明確にせず、地上20mで測定した値も、地上1mで測定したものも何ら注釈なしに測定値としていた。

 私たちが4月上旬、福島県いわき市内で同一測定器で地上1mと地表面で測定したとき、最大で10倍も値が違っていた。

 @福島県南部・茨城県北部津波被災地現地調査 2011年4月15日〜17日
  調査実施者:青山貞一、池田こみち、鷹取敦

 その後、6月に大学付属の原子力研究所の備品であるシンチーション測定器をキャリブレーションした上で、福島県内で512カ所に及ぶ実測を行った結果でも、地上1mと地表面では平均で1.5倍も値が異なり、側溝などでは10倍近く高い場所も確認されている。

 上記、とくに側溝などで値が高いことは、その後、福島県内だけでなく各地で確認されている。

 A福島県津波被災地現地調査 2011年6月18日〜20日
  調査実施者:青山貞一、池田こみち、鷹取敦
 ◆環境総合研究所:福島放射線測定現地調査(詳細報告

 今回浮上した「放射線測定値の数値改ざん問題」 では、国や県が大量の線量計を2700台一括購入し、市町村や小中学校などに配布するような場合、国、自治体の意向で放射線量の数値が操作される危険性を感じていた。

 私自身、この夏、独立行政法人国民生活センターの放射線測定器の専門委員もしてきたが、実はそこでもセンターの意向により市民等が使う線量計が測定誤差の名の下に、使用制限されることを危惧していた。

◆鷹取敦:国民生活センターによる簡易線量計テストの諸課題

 今のところ日刊ゲンダイだけだが、記事によると2700台という膨大な量の固定型検量計の受注、契約を巡り、文部科学省が(アメリカ製)検量計の測定値が高く出るということを理由に、納入業者にデータ処理ソフトウエアを調整(補正)し、測定値を20%低くなるよう指導したという。

 結局、業者はそれに応ぜず、結果的に業者は契約解除されたという。

 本来、この種の検量計の選定や契約、それも合計2700台という膨大な量の機器選定や契約に関しては、省庁やその御用学者ではなく、第三者による選定委員会を設置し、公開の場で議論を行い、その後に委員会の議論をもとに一般競争入札で業者を選定すべきである。

 もっぱら、ひとくちに第三者といっても、御用学者や御用コンサルタントではない第三者を今の日本で見つけるのはきわめて難しいという現実があるが。

 私が専門委員で参加した国民生活センターの委員会でも、携帯検量計の誤差が大きな問題となったが、文部科学省などこの種の問題で一端契約した業務を契約を解除するのはきわめて異例でありおかしい。意図があると思われても仕方ないだろう。

 私が納入業者であるアルファ通信の関係者に直接インタビューしたわけではないが、今回の一件は、文科省は、測定誤差云々以前に、まさに「李下に冠を正した」ことになるのではないか。

 本来、文科省は契約解除の前にアメリカのメーカーと納入業者と第三者の専門家(海外も含め)立ち会いで公開の検証を行うべきだと思う。

追記

 私は参加していないが、文部科学省は全国にある大学の関係学科などの専任教員を動員し各地で放射線測定を行っているが、記事にあるようなことが事実だとすると、同じような疑義がこの調査でもないとはいえない。何と言っても、当該学科の専任教員の多くは、いわゆる「原子力村」の住民であり、常日頃、文部科学省や関連業界から研究費をもらっている人々であるからである。