朝日新聞 2003年1月31日朝刊 愛知県

ひと 吉川三津子さん(48)
  津島市で松葉のダイオキシン調査をした市民グループ代表


 
代表を務める「海部農業と暮らしを守る会」の仲間と、昨年11月、津島市の
産業廃棄物処理施設の周辺で、松葉のダイオキシン類濃度の調査をした。松葉1
グラム当たり15ピコグラムという高濃度の結果に驚いた。

 施設周辺の住民は、何年も前から黒煙や異臭の苦情を県に訴えてきた。調査費
用14万円は、住民からの寄付やバザーで集めた。「行政が真剣に対応してくれ
ていれば汚染は防げたはず」

 産廃問題にかかわるようになったのは、97年、自宅近くで廃プラスチックの
焼却炉建設計画が持ち上がったことがきっかけになった。コンピューターのシス
テム設計の仕事の合間に、法律や条例を勉強し、津島市と海部郡の産廃処理施設
の実態も調べてまわった。

 99年からはメールマガジン「あまごみ情報」の配信も始めた。個人と団体で
計100カ所に送っている。県内や九州で、産廃処理施設建設に反対する市民か
ら助言を求められることが増えた。

 市民や行政の問題意識が高まり、活動しやすくなったと感じている。「ごみ焼
却炉のダイオキシン類規制など法整備は進んだ。今後は、法律が守られているか
監視体制づくりを行政に提案したい」

 (立田村早尾)