朝日新聞 2003年1月21日朝刊 愛知県

ダイオキシン3倍ー環境基準比
愛知・津島の産廃施設周辺
松葉調査から推計


 
愛知県の市民団体が20日、同県津島市大縄町の産業廃棄物処理施設の周辺で昨年11月に行ったダイオキシン類の調査で、松葉から1グラムあたり15ピコグラム(ピコは1兆分の1)が検出されたと発表した。99年度に全国で始まった同様の調査では過去3番目、02年度に全国150カ所で行われた中では2番目に高い数値という。

 松葉に含まれるダイオキシン濃度は、大気中の濃度のほぼ10倍とされ、換算すると環境基準の約3倍に当たる。調査した「海部農業と暮らしを守る会」(吉川三津子代表)は、市や県に施設や土壌の調査を求めている。

 環境総合研究所(東京都)の呼びかけで99年度から全国で実施している調査の一環。産廃処理施設から300m以内の計13地点から松葉計100グラムを採取。同研究所を通じて、ダイオキシン類の「ポリ塩化ジベンゾパラダイオキシン」と「ポリ塩化ジベンゾフラン」の合計値を測
定し、15ピコグラムを検出した。

 同研究所は過去の研究から、別にダイオキシン類に分類されるコプラナーPCB(ポリ塩化ビフェニール)も測定値の10〜20%含まれると推計。大気環境濃度は15ピコグラムにコプラナーPCBの推計値を足した値の10分の1である、1.7〜1.9ピコグラムと推計している。これは大気中の環境基準0.6ピコグラムの約3倍にあたる。

 今回の結果について、県海部事務所環境保全課は「今回の対象となっている施設は、過去のダイオキシン類の排出測定では問題なかった。今後も黒煙などの苦情があれば指導していきたい」と話している。