京都新聞 2002.9.20
Kyoto Shimbun 2002.09.20 News


 国の環境基準下回る
 京都市周辺、松葉ダイオキシン濃度調査

 生活協同組合「エル・コープ」(京都市南区)が京都市周辺地域で実施していた、松葉を用いた大気中ダイオキシン濃度の調査結果がこのほどまとまった。調べた地域すべてで国の環境基準を下回ったものの、北部地域と比べ久御山町など南部地域が五倍近くの濃度になることなどが分かった。

 「市民参加による松葉ダイオキシン調査実行委員会」(東京都)が中心となり、全国的に進めている調査の一環。事務局の環境総合研究所(東京都)によると、松葉は大気中のダイオキシンをため込む性質があり、測定分析の環境指標として活用されているという。これまでにも約五百五十地域が参加しているが、府内では同組合が初めて実施。五月に市民約二百人が参加し、京都市内十一区と久御山町や長岡京市など六市町の計二百六十二カ所でクロマツの葉を採取、同研究所に送りカナダの分析機関で調べていた。

 まとめによると、調査したすべての地域で国の環境基準である大気中ダイオキシンの年間平均濃度、大気一立方メートルあたり0.6ピコグラム(1ピコグラムは1兆分の1グラム)を下回ったものの、久御山町では約0.4ピコグラムと下京区の約0.08ピコグラムの五倍となった。また検出されたダイオキシンは、いずれも焼却した
際に排出されたものであることも分かった。

 今後は八幡市や京田辺市などでも調査することを計画しており、同組合の出口志鶴子実行委員長は「日本の環境基準は満たしたが、欧米と比べるとまだ高い。発生要因と考えられる焼却施設の改善や、環境教育の一環として今後調査が継続されるよう働き掛けていきたい」としている。