30年間の軌跡 総目次はここをクリック   

環境総合研究所 
自主調査研究 30年間の軌跡


広域環境資源管理計画策定支援

Area Wide Environmental Resources Management Plan Support
概要、論考、論文、報告、記事、文献

主担当:青山貞一
掲載月日:2017年6月10日
独立系メディア E−wave Tokyo
無断転載禁

<概要>

 当時、地域環境管理計画との関連で青山貞一は、環境管理の環境は、具体的に何を意味するかについて、「環境資源」という概念を提案しました。たとえば、大気、水、森林、土壌などを環境資源と見立て、それらの資源の量、質、機能の3つの側面から管理することを提案しました。たとえば、分かりやすいのは水資源、森林資源の需要と供給の管理です。大気については従来、大気資源の質を指標として管理してきたことになります。

 初年度の調査(広域環境管理の理念の確立に関する調査 (所管、環境庁環境管理課))の多くは、上記の環境資源論についての概念整理など理論に費やしました。その後、環境資源管理論のうち大気汚染の管理、すなわち大気資源の質的側面としての大気汚染の将来動向を地域の開発同以降との関連で予測、評価することになりました。

 広域環境管理の理念の確立に関する調査 (環境庁環境管理課)1988

 具体的には、東京湾岸、伊勢湾岸、大阪湾岸の3大汚染地域の汚染源の多くは、固定発生源よりは自動車などの移動発生源が主因となっていることから、3大地域における将来社会経済動向との関連で大気汚染(二酸化窒素 NO2)がどうなるかについて3か年で調査を行うことになりました。

 これらは、以下の3地域を対象とした広域環境資源保全活用調査として具体化してゆくことになります。

 広域環境資源保全活用調査(大気環境の動向予測調査:東京湾岸)
 広域環境資源保全活用調査(大気環境の動向予測調査:大阪湾岸)
 広域環境資源保全活用調査(大気環境の動向予測調査:伊勢湾岸)

  第一期目の広域環境資源管理計画は、首都圏、なかんづく東京を中心とした東京湾岸地域で自動車交通量を増やす開発事業が行われた場合、すでに二酸化窒素大気汚染(NO2)の環境基準を超過している東京23区の大気汚染がどうなるのかについてコンピューターシミュレーション手法を用いて予測、評価するための計画です。

 この広域環境資源管理計画(東京湾岸地域)の大きな特徴は、自動車交通量の増加のもととなる、社会経済動向としての人口及び東京臨海副都心計画、横浜みなとみらい21正確、幕張メッセ五開発計画など、当時構想、計画されていた各種開発計画がもたらす発生集中交通量の推計をもとにしていること、さらに当時すでに構想され一部実施されていた地域分散計画を代替案として考慮したことだと思います。

 地域分散構想には、東京臨海部への一極集中を神奈川県横浜市臨海部、埼玉県大宮市、千葉県千葉市幕張市
などへの地域への分散を意味します。


広域環境資源管理計画(東京湾岸地域)における将来開発計画の一部
出典:広域環境資源管理計画(東京湾岸地域)1989


広域環境資源管理計画(東京湾岸地域)における将来発生交通量の一部
出典:広域環境資源管理計画(東京湾岸地域)1989


広域環境資源管理計画(東京湾岸地域)における将来発生交通量の一部
出典:広域環境資源管理計画(東京湾岸地域)1989


広域環境資源管理計画(東京湾岸地域)におけるシミュレーション結果の一部
赤色メッシュ:自動車排ガスだけで二酸化窒素の環境基準を超過しています
出典:広域環境資源管理計画(東京湾岸地域)1989

 この広域環境資源管理計画は、環境庁企画調整局の肝入りの調査であり、当時、独自に開発したパソコンを使ったコンピュータ環境情報システム(
Super Air AW)を使い、環境庁の企画調整局、大気保全局の類似の業務を行ってきた環境総合研究所が匿名随意契約により実施した計画策定調査と言えます。
 
<関連する論文・論考・資料>
タイトル 主担当 掲載媒体
広域環境管理の理念の確立に関する調査 (環境庁環境管理課) 1988 青山貞一 報告書・計画書
広域環境資源保全活用調査(大気環境の動向予測調査:東京湾岸) 環境庁企画調整局 1989 青山貞一 報告書・計画書
広域環境資源保全活用調査(大気環境の動向予測調査:大阪湾岸) 環境庁企画調整局 1990 青山貞一 報告書・計画書
広域環境資源保全活用調査(大気環境の動向予測調査:伊勢湾岸) 環境庁企画調整局 1981 青山貞一 報告書・計画書




30年間の軌跡 総目次はここをクリック