宮古毎日新聞 2003年12月23日版
http://www.cosmos.ne.jp/~miyako-m/htm/news/031223.htm

専門委が健康への影響を否定/西原産廃火災問題

 平良市西原の産業廃棄物最終処分場火災問題で、県の委託により同問題を第三者的立場から評価している「宮古産廃処分場調査の検討評価等に関する専門委員会」(委員長・渡邊昌東京農業大学教授)は21日、大浦公民館で住民説明会を開き、科学的根拠から導いた調査結果を報告した。渡邊委員長は火災時を含めてダイオキシン類による汚染度は極めて低いことを強調し「健康への影響は起きない」と断言した。ただ、説明会に参加した大浦地区の住民や一般市民、旧平良市調査委員会のメンバーは県が実施してきた調査を疑問視し、そのデータから導かれた結果に不快感を示した。専門委員会は答申をめぐって再度の調整を検討する。

 同委員会は県の委託により発足。第3者的立場から見解を示すために行政関係者を除外し、主に学識者を中心に構成されている。過去、3回の委員会を開催し、県、旧平良市調査委員会の調査結果を分析、これに独自の調査を加えて科学的な観点から結論を導いた。

 その分析結果を報告する住民説明会は午後1時30分から大浦公民館で開かれた。会場には大浦地区の住民や一般市民ほか、平良市の伊志嶺亮市長、旧平良市調査委のメンバー、平良市職員も詰め掛けた。県側は文化環境部内の各課長らが顔をそろえた。

 説明会の冒頭、渡邊委員長は「一番心配していたのはダイオキシン」と強調。その上でダイオキシンに関するデータをスライドで示し、結論として「健康への影響が起きないことを断言できる」とした。これらの調査結果に加えて▽処分場の排水路確保▽たまり池の埋め立て処置▽焼却施設の解体、撤去▽大浦住民への住民検診の継続―を提言した。

 委員会報告の後、質疑応答が行われたが、この中で住民の不満が一気に噴出した。大浦自治会の下地博和会長は処分場東側の集水池からの汚水流出の事実をビデオで示し、県の調査を批判。別の住民は「県が隠し事をするから不安になる」と強調した。さらに別の住民は涙ながらに「私たちの不安を解消してほしい」と訴えた。

 女性参加者は「健康への影響がないなら、どうして大浦住民は目の痛みや皮膚のかゆみを訴えたのか」と質問。渡邊委員長は「アクロレインという物質が考えられる。ダイオキシン暴露では、そのような症状はない」などと説明した。

 旧平良市調査委のメンバーは専門的な立場から県の調査の問題点を指摘した。検体を採取するポイントの選定基準や最終処分場の違法性などを問い、専門委員会に提出された県データの信頼性の希薄さを強調した。

写真説明・住民説明会で専門委の分析結果が示されたが住民側は納得しなかった。
     =21日、大浦公民館