琉球新報 http://www.ryukyushimpo.co.jp/news01/2003/2003_12/031222d.html
更新 2003年12月22日 月 10:23

<平良市処分場問題>専門委「火災での健康影響なし」

写真などを使い、汚水の処分場外流出を専門委員や県らに訴える住民ら=21日午後、平良市大浦農村研修集会所

 【平良】平良市西原の産業廃棄物最終処分場問題で、これまでの県や同市の調査内容などを科学的に評価、検証する専門委員会(委員長・渡邊昌東農大教授)の現地説明会が21日午後、同市大浦農村研修集会所で開かれ、2001年11月に起きた処分場火災により発生したダイオキシン類などで地域住民への健康影響はない、と結論付けた。02年5月の県の調査で1リットル当たり37ピコグラムの基準値をはるかに超える高濃度のダイオキシン類を検出した処分場内のたまり水については「外に染み出している」としたものの、流出水は環境基準内と述べた。

 同専門委では、火災直後は大浦集落で大気の環境基準を超えるダイオキシン類があったが、これは一過性のもので、現在は処分場周辺の安全性は確保されているとし、今後の対策として「排水路の確保」「たまり水の埋め立て、覆土」「焼却施設解体、撤去」「住民検診」を提言。早急な決着を示したが、同集落住民らが「産廃業者の違法操業を無視している」「県の施策を示すなら、県の即応性の鈍さも合わせて検証すべきだ」と反発した。

 同処分場はダイオキシン類などの排出について、火災前に県から74回の指導を受けていたが、専門委は「県から資料提示はなかった」と答弁した。

 操業当初に業者が提示した覆土と廃棄物を交互に行うサンドイッチ工法処理も、「ボーリングコアの結果をみると、行ってなかったと思われる」と見解を述べた。

 住民らは「県と業者に都合のいい調査資料を分析しても意味がない。火災の原因や実態、今の現場の状況などについて、住民らの声を聞いてほしい」と訴え、昨年11月に業者の違法性などを指摘する調査報告書を市へ提出し、解散した市調査委員会との話し合いを求めた。渡邊専門委員長は市調査委員長を務めた関口鉄夫氏と個人的な意見交換をする意向は示したが、組織としてのかかわりについては「検討する」と述べるにとどまった