★沖縄タイムス<2004年5月20日 朝刊 25面>
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200405201300.html#no_1

公害審、調停打ち切り/平良市産廃
 歩み寄り見られず、住民側は反発

 平良市の産業廃棄物最終処分場問題で、住民の申し立てを受け県との調停を進めていた県公害審査会の調停委員会(上田裕一委員長)は十九日、県、住民、業者間で妥協点が見いだせないとして、調停を打ち切った。同委員会は「原状回復などで歩み寄りがなかった」としている。処分場に隣接する平良市大浦自治会の下地博和会長は「県は意見を聞こうとせず、誠意は全く見られなかった。現地では今も汚水が流れ続けている」と反発、対立は深まっている。

 二〇〇一年十一月の火災発生から二年余り。処分場の焼却炉撤去などを求めた住民の訴えは司法判断にゆだねられた。

 大浦地区の住民九十四人は昨年三月、業者と許認可権者の県に対し、業務停止や環境保全対策などを求める公害紛争調停を同審査会に申請。火災による環境被害などの原状回復を求めていた。

 同委員会の上田委員長は同日午後、「三者を説得することができず、あまりにも無力感を感じている。力不足としか言いようがない」と説明。その上で「事実をはっきりさせる方向で突き進んでほしい。今後も見守っていきたい」としている。

 下地会長は「県にはよくしていこう、との気持ちが見られない」と憤った。同
日夜、地元の有志や住民らに調停の結果を説明、裁判の方向性などを話し合った。

 県環境整備課は「(委員会には専門家による調査報告書など)すべて、提出するものは出した。打ち切りは委員会の決定であり、結果を受け入れるだけだ」とコメントしている。

★「被害根拠ない」県側が証拠提出/那覇地裁

 平良市の産業廃棄物最終処分場問題で、隣接する大浦地区住民が業者と県を相手に損害賠償を求めた訴訟の第五回口頭弁論が十九日、那覇地裁(西井和徒裁判長)であった。

 業者側は処分場の稼働状況や火災の発生状況を説明。県側は県設置の専門委員会が今年二月にまとめた「健康障害の根拠はなく、リスクもない」とする結果を証拠提出。有毒ガス発生の原因となった覆土は業者が単独で行ったとあらためて主張した。

 住民側は被告双方の情報開示や経過説明が消極的だと強い不満を募らせており、次回口頭弁論で反論する予定だ。