沖縄タイムス2000年6月27日 朝刊 1・33面

キャンプシュワブ沖の海底排水口を調査


 米軍普天間飛行場の移設先とされる名護市のキャンプ・シュワブ水域で二十五、二十六の両日、高教組の自然保護検討委員会や市民団体のメンバーらが環境総合研究所(東京)の青山貞一所長とともに、環境調査を行った。

 調査はシュワブから出て海底を通っている排水溝の出口付近を中心に実施。海底の砂や海草、水のサンプルを採取した。重金属やPCB(ポリ塩化ビフェニール)などの値を分析する。調査結果は一カ月後に出る予定。

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キャンプシュワブ沖の海

どうなっているの基地の海

 名護市辺野古のキャンプ・シュワブ水域で二十五、二十六の両日、労組や市民が独自に環境調査を実施した。国内の環境基準が適用されない米軍基地の存在が、周辺の自然に及ぼす影響については、全国的にもほとんどデータがない。今回の調査結果は貴重な資料になりそうだ。市民らは専門機関に依頼して来月中にも結果をまとめ、公表する予定。

 調査は高教組を中心に県内の労組、自然保護団体などが、東京の環境総合研究所(青山貞一所長)に委託して実施。青山所長ら五人の調査団が、シュワブ内から辺野古沖に約三百メートル延びる排水溝の出口付近で海水、海底の砂、海草のサンプルを採取した。データを比較するため同沖合約二キロ地点でも同様の調査をした。

 同研究所がカナダの専門機関にサンプルを送付し、鉛やカドミウムなどの重金属、PCB(ポリ塩化ビフェニール)の値を分析する。

 ダイオキシンなど環境問題に詳しい青山所長は「米軍基地からは、どんな物質がどのような方法で処理され、排出されているか、はっきりしない」と指摘。

 「行政は問題が起こらないと、なかなか調査しない。住民が独自に調べて、現状を把握しておくことが大事」と調査の意義を話した。

 同行したジュゴン保護基金委員会の東恩納琢磨事務局長は「この調査を、市民の中にあるさまざまな疑問点を明らかにしていくステップにしたい」と述べた。

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