諌早湾調整池閉め切り前後の
水質変化の解析・評価について

青山 貞一 環境総合研究所所長
池田こみち 同副所長
大西 行雄 同研究部長(理学博士)
鷹取 敦 同主任研究員(工学修士)


2001/1/28 撮影:潮受堤防北側水門

1.本調査の目的と暫定評価結果

 本調査報告は、環境総合研究所がすでに公表した「諌早湾調整池環境モニタリング調査結果の暫定的な解析と評価について」の続報をなすものである。本調査報告では、諌早湾閉め切り前後における各種水質汚濁物質の濃度変化を多面的に解析、評価している。

 本調査の結果、諌早湾閉め切り前(1987年〜1988年)と閉め切り後(1998年〜2000年)における調整池のCOD、T−N、T−Pの平均濃度では3倍から4倍、また閉め切り直前(1997年3月〜4月)とそれ以降の毎年同時期の期間平均濃度では3倍から5倍、水質が悪化していることが分かった。


2.国の水質調査の概要

2−1閉め切り前の調査項目と調査地点

(1)調査項目

 1987年から1988年の諌早湾閉め切り前の水質汚濁の調査項目は、農水省九州農政局が平成3年に公表した環境影響評価報告書にある以下のものとした。

@pH ADO BCOD CSS D大腸菌群数 ET−N FT−P


(2)調査地点

 図2−1に閉め切り前(昭和62年度、昭和63年度)の調査地点および測定結果を示す。

図2−1 閉め切り前調査地点およびCOD、T-N、T-P測定結果


出典:諌早湾干拓事業計画(一部変更)に係る環境影響評価書(案)、平成3年8月、九州農政局



出典:諌早湾干拓事業計画(一部変更)に係る環境影響評価書(案)、平成3年8月、九州農政局


出典:諌早湾干拓事業計画(一部変更)に係る環境影響評価書(案)、平成3年8月、九州農政局


2−2閉め切り直前及びそれ以降の調査項目と調査地点

(1)調査項目

 1997年3月から2000年末の諌早湾閉め切り直前及びそれ以降の水質汚濁項目としては、農水省、環境庁が共同で実施している環境モニタリングの以下の13項目を対象とした。

@pH DSS HNO−N
ADO E大腸菌群数 IT−N
BCOD FNH−N JPOーP
C塩素イオン GNO−N KT−P
Lクロロフィルa


(2)調査地点

 平成9年3月4より図2−2の3地点(B1,B2、S11)でモニタリングが開始され、閉め切り後の同年4月15日より2地点(本明川河口:P1,有明川河口:P2)が追加されている。調査地点は全部で5地点である。

図2−2 諌早湾調整池観測地点位置図


3.諫早湾干拓調整池閉め切り直前及びそれ以降の測定地点別の水質濃度の月平均及び年平均の推移

データ原典:農林水産省九州農政局諫早湾干拓事務所調査、平成13年1月31日

3−1 pH

図3−1 pH(月平均の推移)

図3−2 pH(年平均の推移)


3−2 DO

図3−3 DO(月平均の推移)

図3−4 DO(年平均の推移)


3−3 COD

図3−5 COD(月平均の推移)

図3−6 COD(年平均の推移)


3−4 塩素イオン

図3−7 塩素イオン(月平均の推移)

図3−8 塩素イオン(年平均の推移)


3−5 SS

図3−9 SS(月平均の推移)

図3−10 SS(年平均の推移)


3−6 大腸菌数

図3−11 大腸菌群数(月平均の推移)

図3−12 大腸菌群数(年平均の推移)


3−7 NH-N

図3−13 NH-N(月平均の推移)

図3−14 NH-N(年平均の推移)


3−8 NO-N

図3−15 NO-N(月平均の推移)

図3−16 NO-N(年平均の推移)


3−9 NO-N

図3−17 NO-N(月平均の推移)

図3−18 NO-N(年平均の推移)


3−10 T−N

図3−19 T−N(月平均の推移)

図3−20 T−N(年平均の推移)


3−11 PO-P

図3−21 PO-P(月平均の推移)

図3−22 PO-P(年平均の推移)


3−12 T−P

図3−23 T−P(月平均の推移)

図3−24 T−P(年平均の推移)


3−13 クロロフィルa

図3−25 クロロフィルa(月平均の推移)

図3−26 クロロフィルa(年平均の推移)


4.測定地点別の閉め切り前後の水質汚濁の平均濃度解析

4−1 解析の目的

 ここでは、測定地点別、汚濁物質別の年平均濃度の推移を把握するとともに、閉め切り前後の地点別濃度の推移を解析している。なお、調査地点の位置は図2−2を参照のこと。


4−2 閉め切り前後の平均濃度の解析結果について

 表4−1は、水質汚濁別、測定地点別の閉め切り前後の平均濃度比較結果を示している。
 本調査では閉め切り直前及び閉め切り後に農水省、環境省が調整池で実施した水質モニタリングデータを用いている。しかし、同モニタリングでは、閉め切り前のデータとしては、1997年3月〜4月の約1ヶ月しかないため、「同時期比較」では、毎年の3月〜4月との比較を試みている。

表4−1 測定地点別の閉め切り前後の濃度推移
項目 地点 閉め切り前後 年平均 同時期比較
(3月〜4月前半)
閉め切り前 閉め切り後 閉め切り前後含む 閉め切り後 閉め切り前 閉め切り後
1997 1997
3-12月
1998 1999 2000 1997 1998 1999 2000
pH B1 8.1 8.3 8.3 8.1 8.0 8.4 8.1 8.6 8.4 8.5
B2 8.2 8.3 8.3 8.1 8.1 8.4 8.2 8.5 8.5 8.4
S11 8.1 8.3 8.3 8.1 8.1 8.4 8.1 8.6 8.4 8.4
P1 未測定 7.7 7.7 7.6 7.6 7.8 未測定 7.5 7.6 7.8
P2 未測定 8.1 8.2 8.0 8.0 8.4 未測定 8.2 8.3 8.5
DO
mg/L
B1 8.9 9.2 9.1 9.4 9.6 9.3 8.9 11.1 10.7 10.5
B2 9.2 9.3 9.3 9.5 9.7 9.5 9.2 11.0 10.8 10.3
S11 8.9 9.4 9.3 9.5 9.6 9.5 8.9 11.2 10.7 10.4
P1 未測定 7.7 7.6 8.4 8.5 8.4 未測定 8.6 8.7 8.6
P2 未測定 8.6 8.6 9.4 9.6 9.7 未測定 10.9 10.9 10.9
COD
mg/L
B1 3.0 6.0 5.6 7.1 6.4 8.1 3.0 12.8 8.7 5.7
B2 3.1 5.6 5.3 6.8 7.7 7.5 3.1 10.8 9.8 6.0
S11 3.1 5.9 5.6 7.6 7.7 7.6 3.1 13.0 10.1 6.0
P1 未測定 7.4 7.4 5.8 6.0 6.1 未測定 7.1 6.6 5.4
P2 未測定 9.1 9.1 6.7 9.1 9.3 未測定 8.4 11.8 5.6
塩素イオン
mg/L
B1 16328 4851 6286 679 640 587 16328 779 1159 727
B2 16476 4955 6395 701 678 671 16476 753 1099 759
S11 16652 4932 6397 669 663 639 16652 764 1075 714
P1 未測定 564 589 43 48 69 未測定 50 75 118
P2 未測定 4696 4965 650 632 659 未測定 704 1045 720
SS
mg/L
B1 38.6 61.8 58.9 55.5 67.5 116.4 38.6 132.5 43.4 28.0
B2 27.0 39.3 37.8 57.9 94.4 84.7 27.0 127.2 47.4 28.3
S11 26.4 38.9 37.3 65.7 88.9 81.9 26.4 139.7 54.5 33.0
P1 未測定 88.0 88.1 48.1 41.4 42.9 未測定 77.7 37.8 31.3
P2 未測定 135.3 135.1 70.1 139.7 137.5 未測定 106.7 127.5 22.0
大腸菌群数
MPN/100mL
B1 11 1708 1500 1347 3025 3196 11 270 90 79
B2 9 680 597 506 2133 1912 9 94 210 36
S11 11 825 727 1490 4090 4667 11 762 73 96
P1 未測定 101574 101215 35548 84137 53583 未測定 64647 39733 24483
P2 未測定 4427 4307 8596 9350 9339 未測定 870 282 46
NH4-N
mg/L
B1 0.06 0.07 0.07 0.09 0.13 0.13 0.06 0.07 0.06 0.09
B2 0.04 0.07 0.07 0.09 0.13 0.12 0.04 0.06 0.06 0.10
S11 0.06 0.08 0.08 0.10 0.13 0.12 0.06 0.07 0.06 0.09
P1 未測定 0.38 0.39 0.27 0.25 0.25 未測定 0.40 0.47 0.34
P2 未測定 0.11 0.11 0.11 0.16 0.12 未測定 0.08 0.07 0.07
NO2-N
mg/L
B1 0.01 0.03 0.04 0.02 0.03 0.03 0.01 0.02 0.00 0.03
B2 0.00 0.04 0.04 0.02 0.03 0.02 0.00 0.02 0.00 0.03
S11 0.00 0.04 0.05 0.02 0.02 0.03 0.00 0.02 0.01 0.03
P1 未測定 0.05 0.05 0.05 0.05 0.06 未測定 0.04 0.06 0.06
P2 未測定 0.05 0.05 0.02 0.03 0.02 未測定 0.02 0.01 0.03
NO3-N
mg/L
B1 0.13 0.35 0.33 0.66 0.69 0.56 0.13 0.45 0.02 0.47
B2 0.05 0.38 0.34 0.67 0.71 0.58 0.05 0.38 0.03 0.45
S11 0.06 0.34 0.31 0.66 0.73 0.54 0.06 0.34 0.25 0.49
P1 未測定 1.00 0.99 1.11 1.13 1.04 未測定 0.91 1.11 0.88
P2 未測定 0.42 0.41 0.79 0.79 0.59 未測定 0.52 0.16 0.51
T−N
mg/L
B1 0.34 1.03 0.95 1.56 1.41 1.38 0.34 1.85 0.94 1.18
B2 0.26 0.93 0.84 1.41 1.50 1.29 0.26 1.45 1.05 1.15
S11 0.24 0.98 0.89 1.53 1.48 1.30 0.24 1.87 1.04 1.19
P1 未測定 1.91 1.91 1.85 1.91 1.90 未測定 1.80 2.08 1.71
P2 未測定 1.18 1.17 1.49 1.66 1.40 未測定 1.40 1.12 1.17
PO4-P
mg/L
B1 0.027 0.066 0.061 0.141 0.138 0.143 0.027 0.058 0.017 0.030
B2 0.014 0.067 0.061 0.138 0.156 0.134 0.014 0.062 0.016 0.029
S11 0.017 0.066 0.060 0.139 0.155 0.133 0.017 0.059 0.021 0.034
P1 未測定 0.183 0.184 0.198 0.185 0.170 未測定 0.172 0.224 0.128
P2 未測定 0.131 0.129 0.175 0.190 0.154 未測定 0.083 0.046 0.029
T−P
mg/L
B1 0.056 0.158 0.145 0.264 0.228 0.249 0.056 0.354 0.159 0.103
B2 0.043 0.143 0.131 0.246 0.263 0.228 0.043 0.260 0.174 0.098
S11 0.044 0.147 0.134 0.270 0.261 0.227 0.044 0.307 0.174 0.106
P1 未測定 0.269 0.270 0.276 0.259 0.247 未測定 0.272 0.299 0.189
P2 未測定 0.254 0.251 0.278 0.312 0.271 未測定 0.237 0.219 0.091
クロロフィルa
mg/m3
B1 8.2 38.7 34.9 53.7 28.2 41.0 8.2 168.7 41.9 17.6
B2 10.9 33.2 30.4 48.8 32.9 40.5 10.9 119.8 59.4 18.4
S11 11.0 39.1 35.6 65.8 32.7 41.1 11.0 200.3 44.9 18.9
P1 未測定 23.3 22.9 19.9 20.1 31.4 未測定 19.2 16.8 12.0
P2 未測定 37.3 36.9 29.9 29.4 44.8 未測定 80.9 43.2 16.7

注)閉め切りは97年4月14日


5.測定地点グループ毎の閉め切り前後の水質汚濁の平均濃度解析

5−1 調査の目的

 ここでは、閉め切り前後の水質汚濁物質の平均濃度の解析を以下に設定した測定地点グループをもとに行っている。すなわち、ここでは調整池の水質モニタリング地点(5地点)のうち、調整池に流入する本明川及び有明川の河口での水質濃度をモニタリングしている2地点を除外することにより、調整池自身の水質汚濁の年平均濃度の推移を把握する。なお、調査地点の位置は図2−2を参照のこと。


5−2 測定地点のグルーピング

 測定地点のグループ分けとしては、グループ@として調整池水質モニタリング5地点(B1・B2・S11・P1・P2)、グループAとして調整池水質モニタリングの河川流入2地点を除いた3地点(B1・B2・S11)、グループBとして調整池水質モニタリング地点の河川流入2地点(P1・P2)を設定した。
 @では流入河川濃度プラス調整池の平均濃度把握、Aでは調整池の水質濃度把握、Bでは流入河川の水質濃度把握を行うものとする。


5−3 閉め切り前後の平均濃度の解析結果について

 表5−1は閉め切り前後における各測定地点グループにおける年平均濃度の推移を示している。

表5−1 測定地点グループ別の閉め切り前後の平均水質濃度の推移

閉め切り前調査地点: 図2−1に示す諫早湾内の全調査地点の平均値
閉め切り後調査地点の凡例: グループ@ (全地点平均濃度) 調整池水質モニタリング5地点(B1・B2・S11・P1・P2)
グループA (調整池平均濃度) 調整池水質モニタリングの河川流入2地点を除いた3地点(B1・B2・S11)
グループB (河川河口平均濃度) 調整池水質モニタリング地点の河川流入2地点(P1・P2)
項目 年平均 グループ 閉め切り前後 年平均 同時期比較
(3月〜4月前半)
閉め切り前 閉め切り前 閉め切り後 閉め切り前 閉め切り後
1987 1988 1997 1998 1999 2000 1997 1998 1999 2000
pH グループ@ 8.2 8.0 8.0 8.3 8.3 8.3 8.3
グループA 8.1 8.3 8.1 8.1 8.4 8.1 8.6 8.5 8.4
グループB 未測定 7.9 7.8 7.8 8.1 未測定 7.9 8.0 8.1
DO
mg/L
グループ@ 8.8 9.2 9.4 9.3 10.5 10.4 10.1
グループA 9.0 9.3 9.5 9.6 9.4 9.0 11.1 10.7 10.4
グループB 未測定 8.1 8.9 9.1 9.1 未測定 9.7 9.8 9.7
COD
mg/L
2.2 2.3 グループ@ 6.8 6.8 7.4 7.7 10.4 9.4 5.7
グループA 3.1 5.8 7.2 7.3 7.7 3.1 12.2 9.5 5.9
グループB 未測定 8.2 6.3 7.5 7.7 未測定 7.8 9.2 5.5
塩素イオン
mg/L
グループ@ 4000 548 532 525 610 890 608
グループA 16485 4913 683 660 632 16485 765 1111 733
グループB 未測定 2630 346 340 364 未測定 377 560 419
SS
mg/L
グループ@ 72.7 59.4 86.4 92.7 116.8 62.1 28.5
グループA 30.7 46.7 59.7 83.6 94.3 30.7 133.1 48.4 29.8
グループB 未測定 111.7 59.1 90.5 90.2 未測定 92.2 82.7 26.7
大腸菌群数
MPN/100mL
グループ@ 21843 9497 20547 14540 13328 8078 4948
グループA 10 1071 1114 3083 3258 10 375 125 70
グループB 未測定 53000 22072 46744 31461 未測定 32758 20008 12265
NH4-N
mg/L
グループ@ 0.14 0.13 0.16 0.15 0.14 0.14 0.14
グループA 0.05 0.07 0.09 0.13 0.12 0.05 0.07 0.06 0.09
グループB 未測定 0.24 0.19 0.20 0.18 未測定 0.24 0.27 0.20
NO2-N
mg/L
グループ@ 0.04 0.03 0.03 0.03 0.02 0.02 0.03
グループA 0.00 0.04 0.02 0.03 0.03 0.00 0.02 0.00 0.03
グループB 未測定 0.05 0.03 0.04 0.04 未測定 0.03 0.03 0.04
NO3-N
mg/L
グループ@ 0.50 0.78 0.81 0.66 0.52 0.31 0.56
グループA 0.08 0.36 0.66 0.71 0.56 0.08 0.39 0.10 0.47
グループB 未測定 0.71 0.95 0.96 0.81 未測定 0.72 0.64 0.69
T−N
mg/L
 0.36   0.32  グループ@ 1.21 1.57 1.59 1.46 1.68 1.24 1.28
グループA 0.28 0.98 1.50 1.46 1.32 0.28 1.72 1.01 1.18
グループB 未測定 1.55 1.67 1.79 1.65 未測定 1.60 1.60 1.44
PO4-P
mg/L
グループ@ 0.103 0.158 0.165 0.147 0.087 0.065 0.050
グループA 0.020 0.066 0.140 0.149 0.137 0.020 0.060 0.018 0.031
グループB 未測定 0.157 0.186 0.188 0.162 未測定 0.128 0.135 0.078
T−P
mg/L
0.067 0.054 グループ@ 0.194 0.267 0.265 0.244 0.286 0.205 0.117
グループA 0.048 0.149 0.260 0.251 0.234 0.048 0.307 0.169 0.102
グループB 未測定 0.262 0.277 0.286 0.259 未測定 0.255 0.259 0.140
クロロフィルa
mg/m3
グループ@ 34.3 43.6 28.7 39.8 117.8 41.2 16.7
グループA 10.0 37.0 56.1 31.3 40.9 10.0 162.9 48.7 18.3
グループB 未測定 30.3 24.9 24.8 38.1 未測定 50.1 30.0 14.4

注)閉め切りは97年4月14日


6.閉め切り前後の水質汚濁の評価

6−1 閉め切り前後における測定値地点ループ別、汚濁物質別の平均濃度の評価

 以下の図は、COD,T−N,T−Pの3つの水質汚濁物質の閉め切り前後における測定地点グループ別の濃度推移を示したものである。閉め切り後にいずれの水質も悪化していることが分かる。

図6−1 COD年平均(97年は閉め切り前後それぞれの平均)

図6−2 T−N年平均(97年は閉め切り前後それぞれの平均)

図6−3 T−P年平均(97年は閉め切り前後それぞれの平均)


6−2 閉め切り前後同時期における測定値地点ループ別、汚濁物質別の平均濃度の評価(同時期比較)

 図6−4〜図6−6は、COD,T−N,T−Pの3つの水質汚濁物質の閉め切り前後の同時期(1997年以降の3月〜4月)における測定地点グループ別の濃度推移を示したものである。閉め切り前の調整池(グループA)の1997年3月から4月の平均濃度と、閉め切り後の1998年、1999年、2000年の各年度の3月〜4月の平均濃度を比較すると、CODは3倍、T−Nは4.7倍、T−Pは4倍悪化していることが分かった 。 

図6−4 COD 3月〜4月上旬平均(97年は閉め切り前までの平均)

図6−5 T−N 3月〜4月上旬平均(97年は閉め切り前までの平均)

図6−6 T−P 3月〜4月上旬平均(97年は閉め切り前までの平均)


6−3 閉め切り前後における調整池の汚濁物質別の平均濃度の評価(年平均比較)

 図6−7から図6−9は、閉め切り前の調整池(グループA)の1987年〜1988年の平均値と閉め切り後の1998年〜2000年の平均濃度値の比較結果を示している。結果からはCODは3.3倍、T−Nは4.2倍、T−Pは4.1倍悪化していることが分かった。

図6−7 COD濃度実測値年平均
(1997年は3月以降閉め切り前後それぞれの平均)

図6−8 T−N濃度実測値年平均
(1997年は3月以降閉め切り前後それぞれの平均)

図6−9 T−P濃度実測値年平均
(1997年は3月以降閉め切り前後それぞれの平均)


<参考・引用文献>

@九州農政局、諌早湾干拓事業計画(一部変更)に係る環境影響評価書(案)、平成3年8月
A農林水産省九州農政局諫早湾干拓事務所調査、調整池の水質モニタリングデータ、平成13年1月31日


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