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エネルギー[r]eボリューション

実現可能なエネルギーシナリオ

池田こみち

2008年2月2日


 昨年の異常に暑かった夏を相殺するように連日厳しい寒さが続いている。BBCのドキュメンタリー映画「Earth」も公開され、ようやく日本でも温暖化問題への関心が高まりを見せている。このまま温暖化がすすめば、あやういのはシロクマなど動物たちだけでなく、間違いなく人間そのものなのである。

 今日は、グリーンピースジャパンの星川事務局長からご案内をいただき、渋谷のウィメンズカレッジで開催された、「エネルギー[r]eボリューション」日本語版発表記念シンポジウム「気候変動はこうすれば避けられる」に参加させていただいた。


「エネルギー[r]eボリューション」シンポジウム
撮影:池田こみち

 「エネルギー[r]eボリューション」は、グリーンピースと欧州再生可能エネルギー評議会とが共同で調査研究し、とりまとめた持続可能なエネルギー政策、実現可能なエネルギーシナリオである。

 2月1日の日本語版発表記念シンポジウムでは、この調査研究に直接関わり、報告書の著者でもあるグリーンピース・インターナショナルのSven Teske氏から、この報告書のねらい、政策提言の内容などについての説明があった。

 その後、日本および世界の自然エネルギーの実情、温暖化対策の現状と課題、今後の方向性と展望などについて4人のパネリストによるシンポジウムが行われた。会場は寒い中、100名近くが集まった。

<パネリスト(敬称略)>
星川 淳   グリーンピースジャパン 事務局長
Sven Taske  グリーンピース・インターナショナル 
         気候・エネルギーキャンペーン担当
飯田 哲也  環境エネルギー政策研究所  所長
Jan Beranek  グリーンピース・インターナショナル
         核エネルギープロジェクトリーダー

 グリーンピースが提案したエネルギーシナリオは、現在利用可能な技術を基本として、原発や化石燃料への依存を減らし、代替エネルギー、自然エネルギーへの投資、転換を進め、エネルギー効率を高めることで、一定の経済成長を維持しながら2050年までに二酸化炭素の排出量を50%以上、大幅に削減可能であることを示したものとして各方面から高く評価されている。

 ともすれば、温暖化を食い止めることはもはや手遅れではないかと思われがちな今、政策を転換し、システムを作り上げることによって実現可能であるとするこの報告書は、人類の未来にとってまさに、明るい展望を示したものと言えよう。

 報告書のタイトルが示すとおり、現在のエネルギー政策からの大改革(Revolution)が必要であり、現行の閉塞した社会システム、エネルギー利用のあり方からの進化(Evolution)を促すものであり、実行すれば必ず実現可能であることが裏付けられている。

 とかく一人毎日1kgの二酸化炭素の排出削減、といった日常生活の節約倹約の議論にすり替えられて根本的な政策転換やシステムの見直しがなおざりにされてきた日本、そして、先端的な技術に依存して現行システムを変えようとしない日本にとっても大きなインパクトを与える政策提言であると言える。

 原発推進や道路整備が温暖化対策とするような政策がいかに真実をねじ曲げたものか、利権や既得権益によって環境政策が袋小路に入ってしまったような日本の実態をみるにつけ、エネルギー[r]eボリューション日本版の早急なとりまとめと普及、その実践が必要であると強く感じた。

 グリーンピースジャパンでは、日本版の作成に向けてすでに動き出しているという。

 今回の報告書は、グリーンピースジャパンのWebサイトからダウンロードが可能である。是非、ご覧いただきたい。

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2008年2月1日 グリーンピースジャパン プレスリリース
明日のエネルギーに、今日スイッチ!
―「エネルギー[r]eボリューション」開始
http://www.greenpeace.or.jp/press/releases/pr20080201_2_html
(同サイトから日本語版報告書のダウンロードが可能)