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彩の国資源循環工場

をとりまく問題

環境総合研究所 顧問
池田こみち
掲載月日:2014年1月17日
 独立系メディア E−wave
無断転載禁


 彩の国資源循環工場については、開業前から周辺住民による環境監視活動が行われてきたこともあり、これまでも調査結果を踏まえて何回となく問題提起を行ってきた。以下、関連ブログを再掲する。現地を視察して動画で施設配置の様子なども紹介している。

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◆池田こみち:埼玉県主導「彩の国資源循環工場」がもたらすリスク
 掲載日:2006年6月22日
http://eritokyo.jp/independent/ikeda-col0131.html

◆池田こみち:隠蔽される鉛流出の実態〜資源循環に名を借りた
   巨大廃棄物処理施設の闇〜 掲載日:2007年1月16日

http://eritokyo.jp/independent/ikeda-col0550.html

◆青山貞一、池田こみち:【動画】彩の国・資源循環工場現地視察
http://www.youtube.com/watch?v=eUb2ClQdUDk

◆池田こみち:巨大ゴミ処理施設の累積的影響〜市民参加の
   環境監視活動で明らかに〜
   掲載月日:2013年2月7日

http://eritokyo.jp/independent/ikeda-col1298...html

◆青山貞一:松葉ダイオキシン調査で基準超過が判明
   埼玉県「彩の国資源循環工場」周辺
   掲載月日:2013年1月18月、1月23日拡充

http://eritokyo.jp/independent/aoyama-pine12004.html

◆池田こみち、加藤晶子:松の針葉を生物指標とした大気中の重金属類濃度
   の実態把握調査〜サーマルリサイクル工場稼働前後の比較調査〜

http://eritokyo.jp/independent/eforum-vol1-no1-10-ikeda-pineneedleheavymetals1.pdf
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 この度、2013年度に市民グループ(生活クラブ生協熊谷支部)が実施した松葉による金属類測定調査の結果について2月8日に地元報告会を開催することとなったので、改めて彩の国資源循環工場のその後の実態についてデータなどをチェックした。

 施設の概要については、埼玉県の以下のサイトを参照のこと。
■埼玉県;彩の国資源循環工場の紹介Webサイト
 公共関与による総合的な資源循環モデル施設「彩の国資源循環工場」

http://www.pref.saitama.lg.jp/page/901-20091218-69.html

 そして、その中のひとつ(株)エコ計画の環境調査データをみて驚愕した。雨水最終排水口の水質測定結果を見たところ、なんと極めて高濃度のダイオキシン類が検出されている結果が、2年にわたり掲載されていたのである。
(下図参照)


雨水中のダイオキシン類濃度推移

 単位をpg(1兆分の1グラム)とすべきところng(10億分の1グラム)と間違えて表記した結果、1000倍高濃度になっているようにも思えるが、2年もの間、誰も気がつかず、管理監督の立場にある埼玉県も放置していたこととなる。監視活動をしていた市民も気がつかなかったのは問題だ。しかしpgだとしても1.8〜4.7pg-TEQ/Lというのは、水質の環境基準が1pg-TEQ/Lであることを考えると高すぎる。また、調査した日付が違うにもかかわらず、全く同じ数字の組み合わせが並んでいるのも不思議である。

 併せて、排ガス中のダイオキシン類濃度を見てみた。下図に示すとおり、平成23年度〜25年度について見たところ、平成25年度は年4回測定されており、測定日も異なるにもかかわらずすべて同じ数値である。23年1月〜24年度中はすべて同じ数値で、6つのデータがあるが、日付は、24.1.21、24.3.29、24.5.31、24.7.14、24.7.14、24.7.14となっており、同じ日付が続いている。


排ガス中ダイオキシン類濃度の推移

 これでは到底この分析結果は信用できない。単位が間違っている(そうでなければきわめて高濃度である)、日付は同じ日がいくつもある、数値は小数点以下4桁、有効数字2桁で示されているにもかかわらず、同じ数値が記載されている。


(株)エコ計画の データ公表サイト
注)緑の枠のデータがpg-TEQ/Lで表記されているのに対し、赤い枠の8回分のデータはng-TEQ/Lで表記されている。

■(株)エコ計画の環境調査結果が掲載されているWebサイト
http://www.eco.co.jp/environmental/facilities/yorii.html

 会社の管理能力を疑われても仕方がないし、埼玉県も何のチェックもしていないことが露呈した。

 同社Webサイトから最新の環境調査結果を添付する。(PDF)

 1月20日、このデータの疑義について監督責任者である埼玉県に問い合わせを行った。

 最初に電話した、埼玉県環境部資源循環推進課では、事業者からの測定データをもっておらず、現場の環境整備センターに連絡してほしいとのことだった。そこで、改めて、現場の埼玉県の事務所である環境整備センターに連絡すると、次のような回答だった。

「各事業者から測定データは報告を受けており、それは、ファイリングして、閲覧できるようにしている。そのデータはチェックしているが、各会社が掲載している情報まではチェックしていない。県に報告されたデータはホームページでは公表していない。」

 ということは、県民や市民が排ガスの状況などを確認する方法は各企業がそれぞれのWebサイトに掲載している情報を見る以外にないことになる。それにもかかわらず、二年間も異常な数値が放置されたままということは埼玉県庁はなんら監督管理者としての仕事をしていないと言われても仕方がないことになる。

 今回のエコ計画のデータについては、一両日中に確認し、報告してもらうように担当者に依頼し電話を切った。

 彩の国資源循環工場の敷地内ではダイオキシン類濃度が極めて高く、松葉の濃度から換算した大気中の濃度は環境基準を大きく上回っていた。また、水銀も高濃度に検出された。

 市民が繰り返し埼玉県に松葉調査の実施を要望したり、事業者の規制や監視の強化を求めてきたにもかかわらず、市民の心配の声に真摯に対応する姿勢を見せていない。

 埼玉県と市民グループとのやりとりは以下に掲載されている。上記の公表データを見る限り、およそまともな監視やチェックは行われていないとみて良いのではないかと思われる。

●埼玉県への要望
http://ecohiroba.net/modules/wordpress/index.php?p=83

○埼玉県からの回答
http://ecohiroba.net/modules/news/article.php?storyid=533

●寄居町への要望
http://ecohiroba.net/modules/wordpress/index.php?p=82

○寄居町からの回答
http://ecohiroba.net/modules/news/article.php?storyid=544