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八ッ場ダム、工事再開
民主党、官僚支配に屈服
マニフェストことごとく反故
鈴木 郁子
STOP八ッ場ダム・市民ネット代表
掲載月日:2011年12月27日
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 建設の是非をめぐって賛否利用論が議論されてきた八ッ場ダム問題で十二月二二日、前田武志国土交通相はダム着工を表明。来年度予算編成ギリギリであったが計上されることになった。

 ゆるがぬ既成事実作りに前田国交相は直ちに現地入りし、一九時五〇分、居並ぶ地元役員や行政筋から拍手が起きる中「お詫び会見」を行った。

 その後の記者会見では「温かな歓迎をうけて有難い。予算は内閣が提出して国会が決める。任されたのだから検証も法案提出も事業もでき、私が責任持って行う」とのべた。

 遡る二年前の〇九年九月の政権交代後、当時の国交相として「八ッ場ダム中止」を打ち出した前原誠司政務会長は四回の民主党分科会決議の上に提出の部門会議で「あくまで中止。

 予算執行をせぬ」として強硬姿勢を崩さなかった。が、同日一六時からの国交省側の説明ありの報に出席した民主党議員にもたらされた説明は「政府主導による建設決定」の報であり、「藤村官房長官の裁定案【注】ではなく、単なる国交省の「八ッ場ダム建設事業に関する対応方針」の中に組み込まれ直ちに本体着工が可能な文言と、前田国交相の現地報告会の説明であった。

 しかも、現地長野原町以下関係機関には既に一五時半に国交省から手回しよく電話がなされていたのだ。

 怒った民主党群馬県会長代行の中島政希衆院議員は「国交省のクーデーーだ」と烈火のごとく怒って退室。二四日付で「マニュフェストに反した政党の自殺」として民主党を離脱し、記者会見した。

 民主党はまたしても政権公約を反故にしたことになり、野田政権の責任は大きく、反対市民団体からは前田国交相への進退問題もでている。

 このペテン的巧みなシナリオは、官房副長官によるものと言われ、官僚支配にも屈服した民主党政権は、今後に大きな火種を残すことになった。
 
【藤村官房長官による裁定案】

1、現在作業中の利根川水系に関わる「河川整備計画」を早急に策定し、これに基づき基準点(八斗島)における「河川整備計画相当目標量」を検証する。

2、ダム検証によって建設中止の判断があったことを踏まえ、ダム建設予定だった地域に対する生活再建の法律を、川辺川ダム建設予定地を一つのモデルとしてとりまとめ、次期通常国会への提出を目指す。

3、八ッ場ダム本体工事については、上記の2点を踏まえ、判断する。

 (3項目にあるように、前田大臣も受け入れ、1と2の条件を踏まえてから、本体工事を判断することになっていたはずであった。 http://www.mlit.go.jp/common/000186641.pdf
 ところが 国交省の「八ッ場ダム建設事業に関する対応方針」、1と2は今後の取り組みに入っているだけで、本体工事の条件にはなっていない)