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テレ朝ダイオキシン報道訴訟が和解
 東京高裁


掲載日:2004.6.16

朝日新聞 2004.6.16 asahi.comより
http://www.asahi.com/national/update/0616/018.html
テレ朝ダイオキシン報道訴訟が和解 東京高裁

 埼玉県所沢市産の野菜がダイオキシンに汚染されているとテレビ番組「ニュースステーション」で報道され、野菜価格が急落したとして、同市の農家ら29人がテレビ朝日に損害賠償と謝罪を求めた訴訟は16日、差し戻し後の東京高裁(大藤敏裁判長)で和解が成立した。和解内容は、テレ朝が「放送内容に不適切な部分があり、所沢産の野菜の安全性に疑いを生じさせ、農家に多大な迷惑をかけた」とおわびしたうえで、和解金として1000万円を支払う、というもの。

 農家側は900万円を三宅村に、残りの100万円を所沢市に寄付するという。

 昨年10月の最高裁の差し戻し判決を受けて、同高裁が和解を勧告していた。

 農家側が求めていた「謝罪放送」については、和解条項に盛り込まれなかった。

テレ朝側は「不法行為責任を認めることになるため応じることはできなかった」と説明。ただ、16日夜の「報道ステーション」などで、和解内容を詳しく放送するという。

 テレ朝は99年2月、環境総合研究所(東京都目黒区)の実験データをもとに、所沢市産の「野菜」から1グラムあたり0.64〜3.80ピコグラム(ピコは1兆分の1)の高濃度ダイオキシンが検出されたと報道した。

 報道の直後から所沢産のホウレンソウの販売をやめるスーパーが続出して、野菜の価格が半値以下に急落。テレ朝はその後、3.80ピコグラムを検出したのは煎茶(せんちゃ)だったと認めて謝罪したが、農家側は放送で損害を受けたとして、テレ朝と同研究所を提訴した。

 一、二審ではテレ朝側が勝訴したが、最高裁第一小法廷は昨年10月、放送内容が名誉棄損にあたるかどうかについて、「一般の人の視聴の仕方を基準に、放送全体から受ける印象なども総合的に考えて判断すべきだ」とする基準を初めて示した。そのうえで、「放送内容が真実だったとは証明されていない」と指摘。農家側の請求を退けた二審判決を破棄して審理を東京高裁に差し戻す、事実上、テレ朝側敗訴の判決を言い渡していた。

 当初は376人が原告に名を連ね、総額約2億円の損害賠償などを請求した。二審判決の時点では41人に減り、上告審では29人が1人あたり20万円の慰謝料と野菜が売れなくなった分の損害など計約2600万円の支払いを求めていた。

 番組に所長が出演し、調査データを提供した環境総合研究所については上告を棄却する決定が出ており、同研究所の勝訴が確定している。 (06/16 15:18)