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イラク自衛隊派兵前提の崩壊   
青山 貞一

掲載日:2004.4.11
 
 日本人3人が釈放されるかどうかの最中、安易なことは言えませんが、今回の人質問題との関連で私たちが確認すべきは次のことだと考えます。

(1)日本政府は間違った正当性のない米英のイラク戦争を真っ先に支持する
   だけでなく、憲法第九条を勝手に拡大解釈し(実質違反)イラクに自衛隊
   を派兵することを考えた。

(2)2003年6月、与党が一方的に制定したイラク特措法との関連でも2003年
   12月以降の自衛隊派兵は同法に違反している可能性が大きかった。

(3)2004年(今年)に入ってからイラク全土にさらに戦火が拡大している。

(4)陸上自衛隊のイラクにおける宿営地であるサマワ周辺にも連日砲弾が
   落ちている。

(5)そのなかで2004年4月8日日本のNGOなど3名の人質事件が起きた。

(6)日本人3人以外にも、連日イラク各地で各国のひとびとが人質となっている。

(7)そのなかで、人質解放の条件である自衛隊のイラクからの撤退を日本政府は
   「テロには屈しない」として拒否した。

(8)マスコミは本来、(1)、(2)、(3)、(4)との関連で日本政府に自衛隊をイラク
   から撤退させるキャンペーンを張るべきであったが、キャンペーンを張るどころか、
   逆に大部分の報道は、日本政府の言い分、情報をただたれ流すばかりであった。

(9)仮に日本人3人が釈放されたとしても、(3)、(4)との関連において、日本政府が
   やっていることは(1)はもとより、(2)との関連でも違憲、違法を追認していること
   にすぎない。

 日本政府が自衛隊をイラクに派遣したら最後、政府与党ばかりか、民主党、大マスコミも(1)、(2)をないがしろしていると言える。さらに、最も重要なことはサマワに連日砲弾が着弾していることだ。にもかかわらず日本政府は自からの行為の違憲性や違法性そっちのけで、「テロには屈しない」などと独善的な言動を繰り返しているのはいかがなものか。同時に、イラク自衛隊派兵に係わる本質を隠している大マスコミも遺憾と言わざるを得ない。