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お金だけが循環する循環型社会のリーダー;荏原製作所?!
池田 こみち

掲載日:2004.4.29

  
 焼却炉建設をめぐり、荏原製作所が再三に渡り国税当局から所得隠しを指摘されている。 2003年9月の摘発では3億円だったが、今回は、2003年3月期までの3年間で5億4千万円の所得隠しとされている。

 荏原製作所と言えば、日本を代表するプラントメーカー、環境省が環境ビジネスの筆頭にあげるほどの企業である。

 社長は2004年4月から川島文夫氏(58歳)が就任している。経営面では2002年度、2003年度と赤字決算が続いたが、今期は黒字転換の見通しが立っているという(日経新聞2004.2.24記事)。

 川島氏は同じプラントでも風水力事業を担当してきたエネルギー部門の出身であり、4月末には「循環型社会研究所」を東芝と清水建設との共同出資により設立することを発表している(日経新聞2004.1.10)。

 同研究所は、『廃棄物を有効利用してエネルギーとして循環させ、地域のエネルギー供給の自立を支援する。工業地帯や山村など地域の実態に合わせて、燃料電池などの新エネルギーやリサイクル技術を組み合わせた最適なシステムを提案する。

 環境に関する技術やノウハウを各社が持ち寄り「循環型社会」の形成を後押しする。』としているが、一連の報道をみるにつけ、どうも循環しているのは資源やエネルギーよりもお金なのではないかと思わざるを得ない。

 赤字の続いたプラント部門の黒字回復をもくろんでの工作だったのだろうか。特に国内の市場がすでに飽和状態となっている焼却炉・溶融炉部門では同業他社との競争も激しさを増しており、受注のための苦労?があるようだ。代理店への販売手数料・裏金工作や他社に降りてもらうための協力金・地元工作費の支払いなど不透明なお金の流れが繰り返し報じられている。

 焼却炉や溶融炉などは国庫補助が8割を占め、公共事業の最たるものである。その受注をめぐり、このような不透明かつ不正な工作が繰り返されているとすれば、日本のプラント建設費が突出して高い理由もわかろうというものである。今回は国税当局は過去3年にさかのぼって2千数百万円を追徴したが、赤字決算のために追徴された額はきわめて少ない。

 荏原製作所側は国税当局との見解の相違や事実無根を主張し、異議申し立てをしているようだが、公正取引委員会や国税当局は支払われたお金が税金であることを重視し、徹底的な調査に基づき、業界の体質に鋭くメスを入れてほしいものである。また、荏原製作所自身も、広く国民全体が納得できるような説明と証拠を見せてほしい。

 それにしても、さんざん焼却炉や溶融炉を売りつけてきた企業から「循環型社会づくり」のコンサルティングを受けたくはない、と思うのは私だけだろうか。