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核不拡散条約再検討会議に際し、
核軍縮への具体的努力を求めるアピール


2005年4月20日
世界平和アピール七人委員会


掲載日:2005.3.16

ジョージ ブッシュ アメリカ合衆国大統領殿
ウラジーミル プーチン ロシア連邦大統領殿
アンソニー ブレア 英国総理大臣殿
ジャック シラク フランス共和国大統領殿
胡錦濤 中華人民共和国国家主席殿

コピー:核不拡散条約再検討会議議長
セルジオ・ドゥアルテ大使殿

2005年4月20日
世界平和アピール七人委員会 
伏見  康治
武者小路公秀
土山  秀夫
大石   芳野
井上 ひさし
池田 香代子
小柴  昌俊
事務局長  小沼  通二

核不拡散条約再検討会議に際し、
核軍縮への具体的努力を求めるアピール


 核不拡散条約(NPT)が発効して今年で35年になります。本条約には、核兵器保有5カ国の核保有を認める一方で、その他の加盟国の核兵器保有を禁止するという不平等性を持っているとの批判が根強くあります。しかし、現在すでに約190カ国が批准書を寄託している、核軍縮をめざす唯一の重要な国際条約であります。
 2005年5月の再検討会議を目前にして、この条約における「核廃絶の約束」が、死文化させられかねない状況に陥っていることに、私たち世界平和アピール七人委員会は深い危惧を感じております。

 私たちの世界平和アピール七人委員会は、50年前の1955年に、核兵器開発競争が深刻に進む中で、ラッセル・アインシュタイン宣言に呼応して結成され、60年前の被爆国・日本から、世界に向かって平和を訴え続けてきました。
 私たちは、今年5月のNPT再検討会議に際し、核兵器廃絶に向けての実質的な成果を生み出すために、核兵器保有5カ国が真摯な努力をされるよう、次の通り要請します。

1  条約交渉における国際的約束の履行を
 1995年5月に核兵器保有5カ国は、核不拡散条約再検討会議において全会一致で採択された文書「核不拡散と核軍縮に関する原則と目標」に述べられているように「第6条に書かれている核軍縮の交渉を誠実に行う」ことを再確認しました。また2000年5月の再検討会議では「保有する核兵器の完全廃棄を明確に約束する」との最終文書にも合意しました。 これら一連の約束は、政権が代わっても、国際的、道義的に順守されるべき性格のものです。私たちは、その忠実な履行をあくまで求め、核兵器完全廃棄の確認を求めます。
 
2  核不拡散のためにも核軍縮を
 最近、「対テロ戦争」の名の下に、核兵器保有国の中に核拡散防止の重要性のみを強調し、核軍縮への努力を軽視する風潮があることに、私たちは強い憂慮の念を抱きます。
 核保有国自体が核兵器依存の政策を改めない限り、一部の非核兵器保有国がこれを見倣い、あるいは対抗することによって、核兵器の拡散はむしろ増大すると考えるからです。核兵器保有国が率先して核廃絶への具体的な道筋を示すことこそ、何よりの核拡散防止策なのです。私たちは、核兵器保有国が時期を明示した核兵器廃絶への道筋を明らかにするよう求めます。

3  「後戻りしない」核軍縮政策の確認を
 私たちは冷戦終結後の現在でも、核兵器保有国が戦略核兵器を使用可能な状態におき続けると共に、「使える兵器」としての小型核兵器の研究と開発を進めていることに抗議し、直ちに中止するよう求めます。
 核不拡散条約には、重要な原則として、核軍縮の不可逆性を守ることが謳われています。米国やロシアによる新たな小型核兵器の研究や米国での地下核実験再開に向けた動きは、明らかにこの趣旨に逆行するものです。私たちはそうした計画を永久に破棄することを求めます。

 以上、核兵器保有5カ国が、NPT再検討会議において、平和を願う世界の人々のこころをこころとし、真摯に課題に取り組み、歴史的な成果を上げられるよう要請します。
                                   以上

連絡先:小沼 通二(こぬま・みちじ)(物理学、慶應義塾大学名誉教授)
      〒247−0014横浜市栄区公田町200−9
      電話・ファクス:045−891−8386
      携帯:080−5463−3454
      メール: mkonuma254@m4.dion.ne.jp