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複雑怪奇な
半島情勢のこれから


日刊ゲンダイ

掲載:2006年7月14日

 
─ Dailymail Businessより ─────────
■ 中国・韓国は何を恐れているか そしてアメリカも何を考えているか
■ 複雑怪奇な半島情勢のこれから
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北朝鮮制裁決議採決を主張する小泉外交は朝鮮半島の緊張を悪化し、かえって逆効果でどうなるか分からないと中韓は反発、アメリカも採決を先送りさせ中国の説得待ちという、日本はカヤの外のテポドン騒動

北朝鮮の暴発や金体制の崩壊は日本を含む東アジア最大の悪夢という国際常識の中で、制裁論より多国間による外交的解決が重視されているが果たしてどうなる
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 ミサイルを7発もぶっ放した北朝鮮を本当に制裁できるのか、雲行きが怪しくなってきた。珍しく日本が先陣切って国連安保理に提出した決議案は中国、ロシアの反対にあい、それに米国も同調して先送りだ。

 隣接する中国と韓国が「ちょっと時間をくれ」と外交的解決に乗り出し、その結果待ちになっている。

 複雑怪奇な半島情勢のカギを握る中国、韓国は北朝鮮をどうしたいのか――。そこが見えないと、いくら日本が「早期採決を」といきり立ち、中韓にカミついたところで、何も進まない。

 北朝鮮の暴発や金体制の崩壊が東アジア最大の悪夢という国際常識は中国、韓国も日本以上に理解している。

 事実、北のミサイルの狙いは、金融制裁解除を求めた米国へのメッセージのほかに、中国、韓国への「無言の圧力」でもある。スカッドミサイルの照準が、いつ北京やソウルに合わされても不思議はない。

 中国と韓国は、隣にいる「だだっこの問題児」をいつもなだめていなければいけない宿命を背負っているのだ。

 「北朝鮮と陸続きの両国がさらされている軍事的脅威は日本とは比べものになりません。中国は、唐家セン国務委員が言うように『北朝鮮から事前に何の通告も受けていなかった』とすれば、危機感は計り知れない。

 中国は北朝鮮に強い影響力を持つとされるが、米国によるマカオの銀行の資産凍結に中国が協力したことに金正日が不満を募らせていたのも事実です。

 そうした危機感は、暴発を防ぐために融和路線一色の太陽政策を続けている韓国も同じ。かつて『ソウルを火の海にする』と言ったとされる金正日を追い詰めすぎて窮鼠にすると、捨てバチの南侵を始める。その恐れを絶えず捨て切れないのです」(外交関係者)

▼ 中国・韓国はウマミでも北と握手 ▼

 制裁で追い詰められた金正日が暴発すれば、アメリカの攻撃で崩壊するのは目に見えている。しかし、崩壊とともに2200万人もの北朝鮮難民が流入するのは中国と韓国だし、崩壊処理の犠牲とシワ寄せを強いられるのも両国だ。

 中国外務省高官が「朝鮮半島の混乱を避けることが最大の国益。ミサイルも核兵器も実験にとどまっている限り、朝鮮半島の混乱に比べると深刻な影響はない」と言い、韓国の鄭泰浩大統領スポークスマンが、日本の閣僚らの間で敵地攻撃論が出ていることに「日本の傲慢と暴言に対しては強力に対応する」とまで言うのは、こうした背景があるからなのである。

 国際政治学者の浜田和幸氏はこう言う。

 「中国、韓国と北朝鮮との関係を理解するには、金正日政権からの“うまみ”も考慮しなければなりません。中国政府は自国企業の対朝投資を支援し、儲けさせているし、隣に独裁国家があることで、米国との防波堤にもなっている。

 中国は北朝鮮の武器開発を陰でサポートしていて、商売相手としてもありがたい存在なのです。一方の韓国にしてみても、民族の往来が盛んで経済特区に工業団地をつくったり、金政権を使って外貨も獲得している。

 なんだかんだ言っても同胞で、反日をキーワードに結束しているのです。ミサイル発射と同時期に韓国が竹島に調査船を出していたのも、偶然とは思えません」

 こうした複雑な利害関係や思惑があるからこそ、中国も韓国も北朝鮮を甘やかし、なだめすかすしかない。間違っても日本の「主戦論」に同調することはあり得ないのだ。

▼ ブッシュ政権の本音は制裁でなく外交的解決 ▼

 そこが見えれば、今回の国連で日本が要求した制裁決議が先送りされたのもうなずける。「まず中国の交渉をみよう」「日本はキャンキャン騒ぐな」というムードになっているのも当然だ。

 問題は、もうひとつカギを握る国アメリカの出方だ。急に軟化して日本政府を戸惑わせているが、北朝鮮問題に詳しい評論家の河信基氏が言う。