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喫煙小屋」と銘打つ
朝日新聞の教条主義


 田中康夫

掲載日2005.12.9


「長野県庁に喫煙小屋がお目見え
でも『外で吸いたい』」と見出しを打って、「喫煙者の権利」ならぬ「我が儘」を認めぬとは如何か、と“高言”する「朝日新聞」全国配信2日付記事を、先ずはお読み頂きましょう。

「長野県は1日、県庁の敷地内に屋外喫煙所を設置した。れんが造りの洋風小屋をイメージしたおしゃれな建物で、群馬県の企業から無償で借りた。県は1年前、全国の都道府県で初めて敷地内の全面禁煙に踏み切った。ところが、昼休みなどに路上でたばこを吸う職員が続出。周辺住民から苦情が出ていた。 初日から早速、多いときには15人ほどの職員で混雑。広さは10平方メートル足らずで、職員は『頭がくらくらする。外で思いっきり吸いたい』と充血した目で話していた」。

 159月に学校を含む県有施設の建物内禁煙を実施すると共に、喫煙者への様々な禁煙サポートを行う中で新たに職員700名の禁煙を実現し、その実績を踏まえて昨年12月から敷地内禁煙へと移行しました。

この間、県本庁舎の正面玄関前に禁煙タクシー専用乗り場を設置し、全面禁煙の飲食店には「空気のおいしい店」ステッカーを付与する等の取り組みを行いました。

他方、県有施設で唯一、敷地内ならぬ建物内喫煙をも“治外法権”として続行し続けた県民の選良たる面々が集う県議会棟でも実施を求める文書を6回に亘って県議会議長宛に送達しました。

斯くなる過程を経て、敷地内禁煙に議会側も与し、更には受動喫煙を防止するべく、分煙スペースとしての屋外喫煙所を、本庁舎北側の議員会館敷地内に設ける運びとなったのです。

 未だ禁煙へ踏み出す覚悟を抱くには至らぬものの、周囲の路上で喫煙する勇気は何故か持ち合わせ、故に住民から苦情が寄せられていた職員に対する最大限の配慮が、今回の屋外喫煙所です。空港等で見掛けるガラス張り喫煙所と同じく、高性能な換気機能を完備した快適な空間です。

にも拘らず、本県の取り組みに共鳴し、無償提供して下さった群馬県伊勢崎市の潟Jガミの誠意を嘲笑う「朝日」は、「喫煙小屋」なる用語を大見出しに組み込みました。喫煙者を劣悪な空間へと押し込む、人権無視のアパルトヘイト施策であるかの如き印象を意図的に、教条主義的「朝日」読者に与えます。

「頭がくらくらする。外で思いっきり吸いたい」との発言は、公僕の風上にも置けぬミーイズムの極致です。早い話が、飛行機の機内が分煙だった往時、自身は愛煙家にも拘らず、他人の煙は吸いたくないと禁煙席に座り、吸いたい時だけ喫煙席に移ってプカプカしていた身勝手野郎と同じ屁理屈なのですから。

一体全体、担当記者は如何なる心智で執筆したのでしょう(苦笑)。が、それ以上に理解不能なのは、長野総局なる組織のキャップ、デスク、総局長、更には本社社会部の担当責任者も、この記事は不味いぜ、と露思わずに出稿した驚愕的センスが、「朝日」社内に横溢している事実です。

若しや、全国紙の中で最も小泉ファシズムを礼賛する昨今の自紙面に対する忸怩たる思いが、「禁煙ファシズム」に物申す、今回の迷走記事を誕生させたのでしょうか。だとしたら益々、「朝日」は末期的ですっせ。